パソコンが起動しない原因はSDカード?フラッシュメモリ故障の実例

古賀竜一

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テーマ:ITサポートの事例と実例

まさかの原因だけど意外と多いトラブル事例

先日お伺いしたサポート事例です。

「パソコンが起動しなくなったので診断してほしい」という依頼でした。早速お伺いして電源を入れると、起動に失敗したことを示す "DISK BOOT FAILURE" という表示で画面が止まります。

このような場合、多くは内蔵HDDやSSDなどのシステムディスクに問題があるか、ブート領域やブートパーティションに異常が発生しているケースが多く、比較的深刻なトラブルであることが少なくありません。

しかし、ふと気づいたのが、デスクトップパソコン前面のUSBポートにカードリーダーが接続されていたことです。そこにはSDカードも挿さっていました。

試しにそのカードリーダーをUSBポートから抜き、再度電源を入れ直してみると、何事もなかったかのようにWindowsが正常起動したのです。

原因はカードリーダーに挿さっていたSDカードメモリでした。

起動後、改めてWindows上でSDカードの状態を確認してみることにしました。再びカードリーダーをUSBポートへ接続すると、Windows自体はSDカードを認識しましたが、「フォーマットしますか?」という表示が出ます。依頼者によると、中にはデジカメで撮影した写真データが保存されていたそうですが、どうやらSDカード側に異常が発生していたようです。

幸い、データはすでに別の場所へバックアップ済みとのことでした。また、この16GBのSDカードはかなり長期間使用していたそうで、信頼性の面も考慮し、今回は廃棄することになりました。

では、なぜSDカードの異常がOSの起動に影響したのでしょうか。

それは、現在のPCの起動の仕組みが関係しています。

パソコンに接続された機器も起動時に確認されている


パソコンの電源を入れると、Windowsが起動する前に、まずメーカーロゴやBIOS・UEFIと呼ばれるメインボード側の制御画面が動作します。昔のPCでは英語ベースの画面が多かったため、今でも「英語の画面」と表現されることがあります。

この段階では、POST(Power On Self Test)と呼ばれるハードウェア確認処理や、その後の起動デバイス確認処理が行われています。CPU、メモリ、キーボード、ストレージなど、PCに接続された機器が正常に利用できるかを順番に確認しているわけです。

今回のケースでは、BIOS/UEFIがUSBカードリーダー内のSDカードを起動デバイスとして認識しようとした際、SDカード側に異常が発生していたため正常に読み取れず、その結果 "DISK BOOT FAILURE" が表示された可能性が高いと考えられます。

つまり、「SDカードそのものが起動に必要だった」のではなく、PC側が「起動できるディスクかもしれない」と判断してアクセスした結果、正常に読み取れず起動処理が止まってしまったわけです。

また、このPCではブートプライオリティー(起動順位)がUSB機器優先になっていた可能性があります。こういった場合は、BIOS/UEFI設定で起動順位を変更したり、USB機器からの起動を無効にすることで、カードリーダーを接続したままでも問題なく起動できる場合があります。

なお、BIOS/UEFI段階でPCの起動が止まる原因は、内蔵ストレージだけとは限りません。

メインボード、キーボード、マウス、USB機器、無線LANアダプタ、外付けHDDなど、接続されている周辺機器が原因になることもあります。

これまでの別件でも、無線マウスのUSB受信機(ドングル)の故障が原因で起動時トラブルが発生していた事例もありました。

英語の画面が出たからといって、必ずしも難しい故障とは限りません。あわてて修理依頼をする前に、まずは不要なUSB機器を外してみるだけで改善するケースもあります。

SDカードやUSBメモリは意外と壊れやすい


さて、話をSDカードメモリに戻しましょう。

SDカードやUSBメモリなど、いわゆる「フラッシュメモリ」と呼ばれる記憶媒体は、便利である一方、意外と故障も多い記録媒体です。

これは、内部で使われているNANDフラッシュメモリの仕組みや、電子的な記録方式による特性が関係しています。

フラッシュメモリには書き換え回数に限界があり、繰り返しの読み書きによって徐々に劣化していきます。また、製品品質やコントローラの設計差、使用環境などによって寿命にも大きな差があります。

特に、安価な製品や長期間酷使された製品では、突然認識しなくなったり、読み込みエラーを起こしたりすることも珍しくありません。

さらに、フラッシュメモリはホコリや接点汚れ、静電気、不安定な接触状態にも比較的弱い傾向があります。

接点不良などによって正常な通信ができなくなると、読み書きエラーや書き込み失敗が発生し、結果としてファイルシステム破損につながる場合があります。その結果、「フォーマットしますか?」という表示が出たり、保存データが正常に読めなくなったりすることがあります。

また、フラッシュメモリは長期間通電しない状態で保存した場合、保存データが徐々に消失・破損するリスクもあります。高温環境での保管なども劣化を早める原因になります。

もちろん、現在の高品質なSDカードやUSBメモリは以前より耐久性も向上しています。しかし、それでもHDDやSSD同様に「いつかは故障する消耗品」であることに変わりはありません。

フラッシュメモリは、データの受け渡しや一時保存、データ移動用途には非常に便利です。しかし、唯一の保存場所として長期保管を任せるには、ややリスクが高い記録媒体と言えるでしょう。



フラッシュメモリだけにあるデータは危険です


SDカードやUSBメモリは非常に便利な記録媒体ですが、フラッシュメモリは消耗品であり、突然故障することもあります。

特に、「そのメディアにしか存在しないデータ」はバックアップではありません。

重要なデータは、HDDやSSD、クラウドなど別の場所にも複数保存しておくことが大切です。

また、パソコン起動時のトラブルでは、今回のようにUSB機器やカードリーダーが原因になることもあります。

英語の画面が表示された場合、まずは不要なUSB機器を外して確認してみましょう。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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