USBの使用で気を付けたい「規格の混在」、簡単便利なUSBに潜む弱点や問題点を検証

古賀竜一

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テーマ:USBは簡単便利だけど知っておきたいこと

USBのメリットとは?

●USBはパソコンのインターフェースの中でも最も成功したインターフェースです。

その理由としては

○挿すだけで使用できる手軽さ
○理論上接続できる機器数が多い(127台)
※ただし電源供給は1ポートあたり容量の制限がある。
○バスパワード(電源一体化)
○簡単な構造
○比較的高速なデータ転送速度(USB2.0、3.0)
○広い普及度(緩やかな規格ライセンス)


などが上げられます。



●初期のUSB1.1規格は転送速度がおそかったためトラブルの温床になっていましたが、USB2.0以降は転送速度が高速になったために実用的に十分な範囲のインターフェースとして拡がって行きました。

●最近ではUSB3.0~3.2以上が登場して更に規格が進化し、コネクタの種類も多様化。デスクトップPCはもちろんのことモバイル機器、家電、自動車にまで搭載されインターフェースの王座に君臨しています。

●ところが実はUSBにも特有の弱点や問題点があります。USBは手軽さとメリットばかりが注目され、デメリットや問題点というものはなかなか理解がされていません。

●パソコントラブルには、USBに対する理解度が低いために起こっている、もしくはユーザーが起こしているものも少なくありません。トラブル防止のためにも、問題点や弱点について知っておいて損はありません。

USBの弱点、問題点はこれだ!「規格の混在」

●USB3.0以上の規格もかなり普及してきましたが、まだすべてのPC、すべてのUSBポートが3.x化しているわけではありません。

●バリューパソコンや格安の端末などはUSB2.0だけのものや2.0と3.xのポートが混在しているものもあり、接続の際はよく確認する必要があります。

●ところで、以前の規格のUSB機器は3.0以上のポートで使えないのでしょうか?

●コンピュータの規格には一般的に「下位互換性」というものがあります。ですから以前のUSB1.1や2.0の周辺機器、デバイスなどはUSB3.0以上のポートでも問題なく動作します。しかし、問題はその逆の場合です。

●デバイスや周辺機器がUSB3.x対応の場合、PC本体側のUSB2.0ポートに挿しても使用はできます。ただし、制限があります。電源容量がUSB2.0規格内の機器に限ります。それ以上に消費する機器をつなぐことはできません。機器が電源容量不足で動作しないことがあります。動作しても不安定だったり途中で接続が断たれたりすることがあります。

●また、電源の問題以外にも転送速度の問題があります。USB2.0の設計仕様速度がボトルネックとなり、機器側が対応していてもUSB3.xの高速転送速度は出ません。

●ですから、USBの周辺機器などを使用する際はUSB対応規格と使用するポートの対応をきちんと整合させる必要があります。


混在したUSBポートを正しく使ってトラブルを回避しよう

●出張サポートなどでよく遭遇する状況ですが、パソコンにUSB3.xポートが2箇所しかないのに、すでにマウスとプリンタで埋まっていて、USB3.x対応のHDDを2.0の本体側ポートに挿して使用しているという場合があります。これはUSBの効率的な活用をあまりにも無視していると言えます。パソコンの使い方としてはアバウトすぎな事例です。

●USBに絡んだトラブルを誘発するのはこういった漫然とした使い方にも要因があります。

●マウス、キーボード、プリンタなどは速度や電力的にUSB2.0ポートで十分です。パソコン本体側の少ないUSB3.xポートを不用意に占有して使用しないようにするのが上手なパソコンの使い手といって良いでしょう。

●また、ポートが足りないからということでUSBハブを利用することがあると思います。その際にUSB2.0しか対応していない安価なハブを購入しUSB3.xポートにさしてしまうとそれがボトルネックになって転送速度は遅くなってしまいます。ハブだけでなく、ケーブルも対応のものが必要です。

●多少は高額になりますが、高速転送にはそれぞれに対応した規格のものを購入するようにしましょう。そうすることでボトルネックが生じることがなく転送速度などが高速化されて快適な操作が可能になります。

●ボトルネックについては以下のコラムを参考にしてください。

「IT機器やパーツだけを最新規格にしてもボトルネックを解消しないとデータ通信・転送速度は改善しない」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5102853/



パソコンのUSBポートが全部3.xでない秘密とは

●最近のパソコンは上位機種ならすべてのUSBポートが3.xになっているものもあります。しかし、まだ格安PCなどではUSB2.0ポートが残っています。メーカーはなぜPC本体全部のUSBポートを3.xにしないのでしょうか?

●実はUSBコントローラの規格はチップセットに依存しています。チップセットの世代によって0個、2個、4個、6個などUSB3.xをサポートしている数が違います。そのため、一昔前のPCやバリューモデルには、USB3.x自体がない、または2箇所だけという場合が多くなっています。最新のPCではようやく4~6個装備しているものも出てきています。

●低価格のPCはチップセットも廉価版でUSB3.x対応数が少なくなります。CPU、メモリ、HDDの仕様がほぼ同じ構成でも格安のパソコンが存在するわけは、チップセットでコストを落とすことによってメーカーがパソコンの価格の差を生み出しているからです。これ以上暴露するとメンインブラックがやってくるかもですので、この部分の話はこれくらいにしておきます。

●それ以外にもすべてのポートが3.x化しにくい理由として電源供給の問題があります。それは次回に解説したいと思います。

●すべてのUSBが3.x化するのも時間の問題とは思いますが、古いパソコンや格安PC、周辺機器、デバイスが使い続けられる限り、規格が混在した状況は続くと思われますので、USBに絡んだトラブルを招かないためにも日ごろから留意しておきたいものです。

●次回は 
USBは元々電源ではない!簡単便利なUSBに潜む弱点「電源供給の限界」を検証
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4007700

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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