故障を疑う前にUSB無線マウスやWi-Fi子機の不安定を3つの方法で解消
目次
USBの「バスパワー」というメリット
USBの大きなメリットのひとつに「バスパワー」という仕組みがあります。これは、パソコンなどのUSBポートにつなぐだけで電源も同時に供給され、USB機器を動作させることができるというものです。
「ケーブル1本で使える」という手軽さはUSB普及の大きな理由となり、現在でもUSBが幅広く利用され続けている要因のひとつになっています。
しかし、USBはどんな機器にも無制限に電力供給できる万能な電源ではありません。USBには世代ごとに「給電能力の上限」が存在しています。
以下は主なUSB給電規格の一覧です。
| 規格名 | 最大電圧 | 最大電流 | 最大電力 | 主な特徴・用途 |
|---|---|---|---|---|
| USB 1.1 / 2.0 | 5V | 500mA | 2.5W | マウス、キーボード、USBメモリなど低消費電力機器向け |
| USB 3.0 / 3.1 / 3.2(Type-A) | 5V | 900mA | 4.5W | 従来より給電能力が向上。外付SSDなどにも対応 |
| USB BC 1.2 | 5V | 1.5A | 7.5W | スマートフォン充電向けに拡張された規格 |
| USB Type-C Current | 5V | 3.0A | 15W | Type-C端子で利用される基本給電 |
| USB PD 2.0 / 3.0(SPR) | 最大20V | 最大5A | 最大100W | スマホ、タブレット、ノートPC向け急速充電 |
| USB PD 3.1(EPR) | 最大48V | 最大5A | 最大240W | 高性能ノートPCや一部高出力機器向け |
※注意点:急速充電(USB PD)の成立条件
USB PDによる急速充電(100Wや240Wなど)を安全に行うには、「充電器(ソース)」「ケーブル」「充電する機器(デバイス)」の3つすべてがその規格に対応している必要があります。特に100Wを超えるEPR(最大240W)を利用する場合は、EPR対応専用のType-Cケーブルが必須となります。
USBの弱点、問題点はこれだ!「電源供給の限界」

たとえばUSB1.1やUSB2.0では、基本的な給電能力は最大500mA程度です。このため、消費電力の大きい外付けHDDや光学ドライブでは、電力不足によって正常動作しないことがありました。
よく、外付けHDDの製品レビューなどで「認識しません」とか動作しませんと言っている中には、そのような給電量が足りないポートにつないでいるというパターンがあります。
特に古いノートパソコンでは、USB給電能力が安定しないものも多かったため
・認識しない
・途中で切断される
・動作が不安定になる
といったトラブルが実際によく発生していました。
一方、USB3.x(Type-A)では給電能力が900mAまで向上していますが、それでも大容量機器を多数動かせるほど余裕があるわけではありません。これも、せいぜいUSB光学ドライブ1台くらいです。
現在ではUSB PDによって大電力供給も可能になっていますが、それはUSB Type-CとPD対応機器を前提にした話です。従来型のUSB Type-Aポートでは、依然として給電能力には限界があります。
そのため、USB機器の中にはACアダプタなど外部電源を必要とする製品も存在します。
USBハブ使用の注意点

最近はUSB接続機器が増えたことで、USBポート不足に悩むケースも珍しくありません。そのため「USBハブ」という分岐できる装置でポートを増やして利用することも多くなっています。
また、「電源が足りないなら分岐すればいいじゃない!コンセントみたく」ということで、USBハブで解決を図ろうとするかもしれませんが、それは無謀です。
USBハブで単純にポート数を増やしたからといって、供給できる電力まで増えるわけではありません。
特にACアダプタを持たない「バスパワーUSBハブ」では、接続された複数機器で電力を分け合うことになります。
その結果、
・機器が認識しない
・通信が不安定になる
・途中で切断される
・動作しなくなる
といった問題が発生することがあります。
これは家庭用コンセントの「たこ足配線」に近い考え方です。容量以上の機器を接続すれば不安定になります。
バスパワーUSBハブでは、
・マウス
・キーボード
・USBメモリ
・プリンタ
など比較的消費電力の小さい機器を中心に使用するのが安全です。
外付HDDなど消費電力が大きい機器を複数接続する場合は、ACアダプタ付きの「セルフパワーUSBハブ」を使用しましょう。
USBは本来小電力供給を主目的とした規格だった

そもそもUSB自体は当初、小電力を供給する目的で規格策定されていて、大電流を供給する電力線としては想定されていなかったという事情があります。
USBがPCに搭載されるようになった当初は、バスパワーで使う用途としてマウスやキーボード、フラッシュメモリ程度を想定していたと思われます。それ以外の機器は自前で電源を持ったものを使用するという前提でした。
データ信号とともに大電流を流すためには、それに適したコネクタの形状や配線の大きさ、強固なシールドなどが必要です。そうするとコストがかかるだけでなく配線が太くなるなど利便性を損なってしまう可能性があります。それは現在、給電能力が高いケーブルが強固な仕様になっていることでも証明されています。
USBを家庭用コンセントのように使うのは故障の元

最近ではUSBを利用した暖房器具、小型家電、モーター機器なども数多く販売されています。
もちろん、規格に準拠した製品すべてが危険というわけではありません。しかし、安価な輸入雑貨や品質不明製品の中には、
・保護回路が不十分
・消費電力設計が不適切
・異常発熱対策が弱い
・USB規格を十分考慮していない
と思われる製品も存在します。
そのような製品を長時間パソコンへ接続した場合、USBポート側に負担がかかり、
・動作不安定
・ポート故障
・異常発熱
などの原因になる可能性があります。
怪しげなUSB電気毛布やUSB冷蔵庫、USB電気ポット、USB扇風機など次々と繰り出してくるアクロバティックなUSB関連商品を、私は間違っても自分の大事なパソコンにつなぐ勇気は絶対にありません。
実際、USB機器の中には「パソコンには接続しないでください」と注意書きがある製品もあります。これは、USB充電器やモバイルバッテリー利用を前提としているためです。
そもそもノートパソコンは省電力設計技術という、世界でも競争が激しい高度な最先端技術の塊です。いかに電力消費を小さくして長時間ノートパソコンを駆動できるかということを追求した技術で作られている精密機器です。
また、リチウムイオンバッテリーの制御も緻密なコンピュータ制御が必要で、今でも研究開発の最先端にある超精密技術です。そういうものから熱源とか動力源として電力をガンガン引き出すことがいかに矛盾に満ちた行為であるか、また無謀であるか専門家としては声を大にして注意喚起をしたいと思います。
要するに、パソコンが必死に電力を節約してやりくりしているのに、横からドバドバと散財しているような行為に等しいのです。
USBの便利さの裏にはこうした制限や注意点もあることを知っておくと、周辺機器トラブルの予防にも役立ちます。
九州インターワークス 注目のページ
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm



