USBメモリにデフラグは絶対NG!知人の話を鵜呑みにしてデータが完全崩壊した実話

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:ITサポートの事例と実例

知人から聞いた話を鵜呑みにしてデータが消えてしまった!


これはサポートの現場で実際にあった話です。情報を正しく精査しなかった結果、「データ」という大切な財産がまた失われてしまいました。

先日、USBメモリのデータ復旧依頼がありました。USBメモリをパソコンで「最適化」したらデータが開けなくなったとのこと。

USBメモリを最適化(デフラグ)するという行為自体がタブーなのに、なぜ突然そんなことを思いついたのか疑問です。いきなり普通のユーザーがそんなことを思いつくはずがありません。

そこで「ネットの情報か、知り合いからパソコンが速くなるとか聞いてそのままやりませんでしたか?」とたずねると、バツが悪そうなご様子でどうやら図星の模様。話によれば、知人から「デフラグしたらパソコンが速くなる」と言われてHDDの最適化をしたあと、その流れでUSBメモリにも適用してしまったとのこと。

その結果、USBメモリは復旧不可能な状態に破損し、データを完全に失うことになってしまいました。

情報は鵜呑みではなく自分の理解度の範囲内で利用する

確かにネットの情報などで、パソコンを快適にする方法として「HDD(ハードディスク)の最適化(デフラグ)をすればパソコンが速くなる」という記事はたくさん出てきます。

しかし、HDDであっても不必要なデフラグはトラブルのリスクを増大させます。第一、パソコンが遅い場合の解決方法としては根本的なものではありません。それに今のOS(Windows 10や11など)は、バックグラウンドで自動的に適切なメンテナンスを行いますので、通常ユーザーが手動で行う必要はないのです。

初期のWindows(95や98の時代)では確かに劇的な効果がある方法でしたが、今ではその必要性はほとんどなく、化石化した情報と言えます。ところが、ネット上や「自称・詳しいという知人」たちが、そんな化石化したデフラグ信仰をいまだに拡散させています。

今では大して必要性がないデフラグ。しかし昔は、初心者が一度はやりたがる機能の代表格でした。「デフラグ」というカタカナ語や「最適化」という専門用語的な言葉には、人を魅了する呪文のような魔力があります。何か高度なことをやっているかのようで、好奇心も手伝ってやってみたいという衝動に駆られるのかもしれません。

一度その言葉を知ってしまうと、知識がアップデートされていない“永遠の初心者”は、本当に困っている人に手を差し伸べるというより、優越感に浸りたいという不純な動機で、仕組みを深く考えずにアドバイスを始めてしまいます。

「デフラグって知ってる?」といえば、初心者相手なら今でも「難しい専門用語を知っていてパソコンに詳しいすごい人だ」というリアクションをもらえるでしょう。情弱相手に、今日からその人はもう「パソコン大先生」です。

中途半端な情報や過去の化石化した情報で誤解を蔓延させてしまう顕著な例です。プロならパソコンのトラブル解決で最初にデフラグという言葉を出すことはありません。もし、そのような業者やサポートエンジニアがいたとすればその時点でアウトです。そもそもトラブル解決のプライオリティーが間違っています。

とにかく、その目の前の「パソコン大先生」に言われるまま設定を変更して、大事なパソコンやデータを壊してしまう例は本当に多いのです。

そもそも"最適化(デフラグ)"とは何か?

デフラグ(断片化解消)は、データが物理的に断片化しやすいHDDに対してのみ効果があるものです。

HDDの特徴として、データは内部の円盤(プラッタ)の空いている隙間へランダムに書き込まれます。つまり写真1枚のデータであっても、連続した場所に保存されず、あちらこちらに散らばって記録されることがあります(これが断片化です)。

そうなると、データを読み込む際に、磁気ヘッドという部品が散らばったデータを必死に探して拾い集めなければならず、物理的な移動に時間がかかります。これがパソコンを遅くする原因の一つになります。

そこで「デフラグ」の出番です。散らばったデータを連続した場所に再配列させることで、磁気ヘッドの機械的な移動量を減らし、データへのアクセス速度を多少なりとも高速化させます。以上がデフラグの仕組みでありメリットです。

しかし、やり過ぎるとHDDに大きな負荷がかかります。長時間の連続した読み書きによってパーツが高温になるため、特に夏場、冷房の無い部屋などで頻繁に行うことはHDDの寿命を縮めてしまいます。

デフラグを人に勧めるならば、この仕組みをきちんと理解しているかどうかが肝心。ここまで何も見ずに説明ができて初めて、人に教えるべきなのです。




なぜUSBメモリにデフラグをしてはいけないのか

一方で、USBメモリやSSDなどの「フラッシュメモリ」は、HDDのような磁気ヘッドや円盤といった機械的な駆動パーツが一切ありません。

電気的なスイッチングだけで瞬時にデータにアクセスできるため、データがどれだけ断片化(散らばって記録)されていても、読み込み速度はほとんど低下しない仕組みになっています。つまり、フラッシュメモリにとってデフラグは速度向上という意味では全く無意味なのです。

それどころか、フラッシュメモリには「データの書き換え回数に限度がある」という致命的な弱点があります。デフラグは猛烈な回数の読み書きを強制的に行うため、寿命を急速に縮めるだけの自傷行為になります。仕組みを理解しているプロなら絶対にやりません。

【注意】SSDの「最適化」について

現代のWindowsにおいて、SSDに対して行う「最適化」はデフラグではなく、空き領域を整理して書き込み速度を維持する「TRIM(トリム)」という安全な別の処理が行われます。

通常は自動的に行われますので、普通の使い方をしていれば日常的なメンテナンス操作は不要です。

それでもネット上には「TRIMで快適になる」といった記事が散見されます。確かに大容量のデータを頻繁に扱うようなヘビーユーザーなら有効かもしれませんが、一般的な使い方をしていれば不要な情報です。

現代でも形を変えて、こうした「やらなくてもいい最適化の噂」が飛び交っているのが実情です。

USBメモリに対して手動で行うデフラグは寿命を縮めるだけで完全に有害です。

今回トラブルになったUSBメモリは、インデックス情報(ファイル名やフォルダ一覧のリスト)は辛うじて残っています。しかし、データの実態がある領域は完全に崩壊していました。ですからデータとしては開かなくなっています。

単に寿命を迎えたというよりは、デフラグという猛烈な高負荷処理の最中に、USBメモリが熱暴走を起こしてフリーズしたか、あるいは通信の瞬断などが発生し、データの並び替え(書き換え)の途中で致命的なエラーが起きた可能性が極めて高いです。

USBメモリの記憶領域はHDDと比較して耐久性やエラー処理能力が低く、転送経路も不安定なため、デフラグ中のトラブルで一発でクラッシュしてしまうのです。

データが開かない!ジグソーパズルに例えると・・

以前のコラムでHDDデータ復旧の話が出てきましたが、HDDデータが飛ぶということを「住民台帳が無くなったマンション」に例えました。

https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4005584

今回はどういう状態になってしまったのかわかりやすくジグソーパズルに例えてみます。

ファイル名やフォルダ一覧のリストだけが残っている状態というのは、つまり「完成したジグソーパズル100作品が、一気にバラバラに崩されて、すべてのピースがごちゃ混ぜに混ざってしまい、作品タイトルや作成者が書かれている額縁だけ100個が残った状態」ということです。

1つの作品のパズルが崩れただけなら元に戻せますが、100作品分のピース(数万ピース)が混ざってしまったら、図柄の手がかりは完全に失われ、復元は絶望的です。

額縁(ファイル名の一覧)だけは残っているので、誰のどんな作品があったかは分かります。しかし、中身のピースがバラバラでは意味がありません。必要なのは額縁ではなく、中身(データ)そのものなのですから。


九州インターワークス 注目のページ
「パソコンがおそい、固まる主な原因」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/osoi.htm

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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