中古パソコンの怪しげな販売形態とITセミナーの罠
ネット情報で安易に試行すると取り返しのつかないことに
●今日持ち込まれてきたのは、HDDビデオカメラです。操作中に内部のデータが見えなくなったとのこと。
数年分のビデオ画像が撮り貯めてあったそうで、喪失はかなり痛手が大きいので何とか復旧して欲しいとの要望です。
持ち込まれてきたHDDビデオカメラ
●早速、復旧用PCに接続して内部にアクセスしてみます。この時に注意が必要なのは、接続時にやっておかなければならないこと、やってはいけないことがあるということです。
●復旧にはセオリーがあり、手順等を守らなければ復旧したいデータが完全に出てこなくなってしまいます。この手順(セオリー)は、HDDなどの構造や挙動を理解していなければできません。
PCにUSB接続。接続にはデータに影響が出ないよう手順を踏む必要がある。
●一般の方がネットの情報などを元に自己流でトラブルシューティングして、出てくるはずのデータを完全に喪失してしまうのがこの部分での失敗ですので、十分な注意が必要です。
●調べていくと、ファイルシステムがフォーマットされているのが判明。手違いで約40GBの内部HDDをまるごと初期化してしまったようです。
PCに接続すると「ディスクは空です」と表示がでました。
依頼者が操作ミスで初期化(フォーマット)してしまったようです。
●こうなると通常の復旧作業ではデータは出てきませんので「クラスタ解析」でサルベージに臨みます。クラスタ解析とはHDDの全クラスタをスキャンすることで、クラスタに残留しているデータを読み取って残されたアドレスを解析、回収していきます。
フォーマットの意味
●HDDを分かり易く例えるなら、何百戸も居住しているマンションの1戸1戸がHDDのクラスタに相当し、データは住民です。フォーマットとは、管理窓口で号数と住民の名簿が失われた状態になることです。
●名簿が無ければ、どこにだれが住んでいるかわからないということになり、処理上では誰も住んでいない、つまりデータが"無い"ということになり「ディスクは空です」と表示されます。しかし住民自体がいなくなったわけではありません。要するにデータ自体は「残っている」のです。
●けれども時間が経つと住民は入れ替わったり転居したりしますので元の住民構成は時間と共に次第に失われていきます。データを喪失した場合に一刻も早く復旧を急いだ方が良いというのはこのためです。
●特定の住民のところへ行こうとしても名簿と号数が無いのでたどりつけません。そこで1戸ずつ訪ねていくことになります。この場合、時間がかかりますが一戸ずつ訪ねていけば再度名簿はできます。これがクラスタスキャンです。
●これは実際に恐ろしく時間がかかります。
●データ復旧が主にデータ量で料金設定が変わるのは、このクラスタ解析に要する時間がかかるためでもあります。
●約10時間後、データが見つかりました。
●見つかったデータは外付けHDDやDVDなどに移してお渡しとなります。今回は約37GBのデータ回収となりました。
無事データが復旧。データは外付けHDDに転送してのお渡しです。
●回収率は95%です。残りの5%は、持ち込まれてくる間に何らかの操作によってクラスタが上書きされていたために回収できない部分が出ました。
●しかし、数年分のデータがほぼ復旧出来たので一安心です。
データは完全に消去しないと復元可能
●フォーマットしても、データが出てくるということがこのように実際に証明できます。ですから、パソコン廃棄の際はHDDの「完全消去」というのを行わなければ、回収されたPCから誰かがデータを復元、回収、転売する可能性があります。
●ごみ箱から空にしただけ、フォーマット(初期化)しただけではデータはクラスタに残留します。
●消去を完全に行う約束をしてくれるところへ廃棄処分を依頼しないと、情報漏えいの可能性は高まります。
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