知人の話を鵜呑みでデータを喪失!必要なくやってはいけない最適化(デフラグ)とは

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:ITサポートの事例と実例

知人から聞いた話を鵜呑みにしてデータが消えてしまった!


●これはサポートで実際にあった話です。情報を正しく利用しなかった結果、「データ」と言う大切な財産がまた失われてしまいました。

●先日、USBメモリのデータ復旧依頼がありました。USBメモリをWindows7で「最適化」したらデータが開けなくなったとの事。

●USBメモリを最適化(デフラグ)するという行為自体がタブーなのに、なぜ突然そんなことを思いついたのか疑問です。いきなり普通のユーザーがそんなことを思いつくはずがありません。

●そこで「ネットの情報か、知り合いからパソコンが速くなるとか聞いてそのままやりませんでしたか? 」とたずねると、バツが悪そうなご様子でどうやら図星の模様。話によれば知人からデフラグしたらパソコンが速くなると言われてHDDの最適化のあとにUSBメモリにも適用してしまったとのこと。

●その結果、USBメモリは復旧不可能な状態に破損してしまいました。データを完全に失うことになったのでした。


情報は鵜呑みではなく自分の理解度の範囲内で利用する

●確かにネットの情報などで、パソコンを快適にする方法としてHDD(ハードディスク)の最適化(デフラグ)をすればパソコンが速くなるなどたくさん検索に出てきます。

●しかしHDDの不必要なデフラグはトラブルのリスクを増大させます。第一、パソコンがおそい場合の解決方法としては根本的な解決法ではありません。それに今のOS(Vista以上)は、自動でデフラグしますので通常では行う必要はないのです。

●初期のWindowsでは確かに効果がある方法でしたが、今ではその必要性はほとんどなく化石化した情報です。ところがネット上や「詳しいという知人」たちがそんな化石化したデフラグ信仰を拡散させています。

●今では大して必要性がないデフラグ。しかし昔は初心者が一度はやりたがる機能の代表格でした。「デフラグ」というカタカナ語や「最適化」という専門用語的な言葉は人を魅了する呪文のような魔力があります。

●何か高度なことをやっているかのようで、好奇心も手伝ってやってみたいという衝動に駆られるのかもしれません。

●一度知ってしまうと、永遠の初心者は今では必要がないという情報がアップデートされていませんので本当に困っている人に手を差し伸べるというより、優越感に浸りたいという不純な動機でそれがどのようなものなのかを深く考えずに拡散を始めてしまいます。

●「デフラグって知ってる?」といえば、初心者なら今でも「難しい専門用語を知っててパソコンに詳しいすごい人だ」というリアクションを見せるでしょう。情弱相手に今日からその人はもう、パソコン大先生です。

●中途半端な情報や過去の化石化した情報で誤解を蔓延させてしまう顕著な例です。プロならパソコンのトラブル解決で最初にデフラグという言葉を出すことはありません。もし、そのような業者やサポートエンジニアがいたとすればその時点でアウトです。そもそもトラブル解決のプライオリティーが間違っています。

●とにかくその目の前のパソコン大先生に言われるまま、聞いたまま設定などやって、大事なパソコンをおかしくしてしまう例はかなり多いのです。

そもそも"最適化"とは何か?


●デフラグ、つまり最適化はデータが断片化しやすいHDDに対してのみ効果があるといって良いでしょう。HDDの特徴としてデータは空いたクラスタへランダムに書き込まれます。つまり写真1枚のデータでもデータは連続していないこともあり、HDDのディスク上にあちらこちらに散らばって記録されるのです(断片化)。

●そうすると、データ読み込みの際には散らばった円盤上のデータを探して拾いにいくのにヘッドは忙しく動くことになります。その分、読み込みが遅くなるためデータの断片化はパソコンを遅くする原因の一つになります。

●そこで、デフラグ「最適化」という機能で断片化して散らばったセクタ上のデータを連続したデータに再配列させます。最適化することでデータは整列し連続した状態になります。ヘッドを動かしてデータを拾いに行かずに済む、つまりHDDヘッドの機械的動線(移動量)が減ることで、データアクセス速度が多少は速くなることが期待されます。

●以上が最適化の仕組みでありメリットです。

●しかしやり過ぎるとHDDに負荷がかかります。それは、長時間データの読み書きが続くためそれだけでもHDDが高負荷になり高温になるからです。特に夏、冷房が無いところなどで頻繁に行うことはHDDの寿命を縮めてしまいます。

●デフラグを人に勧めるならば、その仕組みをきちんと理解しているのかどうかが肝心。ここまでWikiを見ずに説明が出来て始めて人に教えるべきなんです。





●USBメモリやSSDなどは内部データ転送にHDDのような機械的なものが介在しないため、データが断片化してもほとんど影響が無い仕組みとなってます。基板のパターン内を走るデータ信号速度は抵抗値次第ですが、原理的には電気の伝導速度に匹敵していますので非常に高速なため遅延しにくいのです。

●また、フラッシュメモリは読み書きの回数に限度があります。最適化は猛烈な回数で読み書きが行われるため寿命も急速に縮めることになります。ですからUSBメモリやSSDに対して最適化はやってはいけない事であり、仕組みを理解しているならやらないはずなのです。

●以前のコラムでHDDデータ復旧の話が出てきましたが、HDDデータが飛ぶということを「住民台帳が無くなったマンション」に例えました。

https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4005584

●ところが前回の話でトラブルになったUSBメモリでは、インデックス情報は残っていて、ファイル名とフォルダ一覧は見えているのですがクラスタチェックでは完全にデータ領域が崩壊してる。デフラグ中のトラブルでデータの再配列に失敗した可能性があります。

●なぜこのような事が起きるのでしょうか?、USBメモリの記憶領域はHDDと比較して耐久性や代替処理に弱く、更にHDDのように内部転送ではなくUSBでの外部ストレージ転送になることもトラブルに陥りやすい一因となるからです。HDDのデータ転送と同格には扱えないのです。

データが開かない!ジグソーパズルに例えると・・


●どういう状態になってしまったのかわかりやすく例えると額縁に作品タイトルや作成者、作成日などが書かれている完成したジグソーパズル100作品が一気に崩されて、ピース全部が混ぜ混ぜになった状態になってしまったということです。

●1つの作品のジグソーパズルを崩して元に戻すことは我慢すれば出来そうですが、100作品の完成品を崩してピースを混ぜたら果たして復元できるでしょうか?メンタル的にも無理ですが実際問題として100作品のパズルピースが混ざってしまえば図柄の手がかりはほぼ失われたも同然で絶望的です。

●ですが、額縁だけは残っているので誰のどんな作品名でいつ作成したものがあったかはわかります。しかし、額縁だけ残っても意味がありませんね。必要なのは中身(データ)です。


九州インターワークス 注目のページ
「パソコンがおそい、固まる主な原因」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/osoi.htm

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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