「マンション」が傾斜:横浜市
分譲マンション耐震強度不足問題をめぐって、静岡地裁は「建築確認不十分で静岡市に賠償を命じる。」判決を下しました。この判決において、建築主事の審査範囲について、「建基法は、全ての申請書類を厳密に逐一審査することまでは求めていない。」「建築確認制度は、建築士の技術的能力や責任感に対する信頼を前提としている。」と認めた上、「保有水平財力比が法令の定める基準を満たしているかについて、二次設計の結論部分を確認することは最低限必要。」と判断。最終ページの欠落という「頻繁にあるとは通常考えがたい事態」が生じた以上、「提出されていた計算過程との連続性について慎重に確認すべきだった。」との見解を示しました。市の建築主事は職務上、通常尽くすべき注義義務に反し、国家賠償法上の違法があったとして、賠償責任を負うと結論付けています。
構造設計者と代表者については、整合性のない構造計算書を提出して放置したことなどを指摘。元請け設計事務所の関係者3人については、「構造計算書の結論部分を形式的にチェックさえしていれば、結論部分の欠落に気付き、構造計算書や構造図の瑕疵を是正できた。」と言及しました。
両者に対し、建物としての基本的な安全欧が欠けないように配慮すべき注意義務に違反したとして、不法行為責任などに基づく損害賠償責任を認めました。
そのうえで静岡地裁は、「静岡市ら被告らは客観的にみて一体ないし不可分の損害を原告に与えた。」と判断。共同不法行為者として連帯債務を負担するという結論を下し、建て主に対して建物の住民からの買い取り費や解体費など約9債6000万円の賠償を命じました。
市は14日、東京高裁に控訴することを決定しています。
《添付資料は、「日経アーキテクチュア2013-1-10」抜粋》
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所