「建築の品質崩壊!」(「建築生産システム」の最適化へ向けて。)
「住宅瑕疵担保履行法」の規定に基づく資力確保の手段には、「保険」と「供託」の2種類があります。
「保険」は、「保険法人」に保険料を支払い保険契約を結ぶものです。保険料は掛け捨てになります。
「供託」は、売主等が自らの資力で瑕疵担保責任に対応するものであり、供給した戸数に応じて算定された額の保証金を10年間、「供託所」に預け置くものです。一旦供託すると、10年間は基本的に取り戻すことができません。
いずれの場合も、売主等の倒産などにより瑕疵担保責任が履行できなくなった場合に、住宅購入者等に対して、保険金の支払いや保証金の還付で、補修等に必要な費用が確保されるものです。
「保険」と「供託」は、性格や支払いの対象となる範囲が異なるため、住宅供給業者は、事業規模や瑕疵担保責任への対応の仕方などを考慮して、どちらを利用するか、あるいはこれらを建物別に組み合わせて利用するといった検討が必要となります。
「供託」は、住宅品質確保法で定められた10年間の瑕疵担保責任をカバーする必要があるため、「基準日」から過去10年間に遡り、引き渡した新築住宅の戸数に応じて法令で定められた算定式により計算した額の保証金を、法務局等の供託所に預けおくものです。たとえば、過去10年間の新築住宅の合計戸数が5,000戸(年平均500戸)の住宅供給業者の場合は、3億4,000万円を供託することとなります。
供託金額は、瑕疵の補修に要する費用の支払いを確実な額とするため、供給戸数が多いほど供託金額も多くなりますが、大数の法則(law of large numbers)により一戸当たりに相当する金額は少なくなります。
なお、戸数の計算の対象となるのは、施行日(平成21年10月1日)以降に引き渡される新築住宅であり、施行日以前に引き渡された新築住宅は戸数から除かれます。
調査鑑定/設計監理/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所