日本の製品は、絶対的な信頼を得ている
スーパーマーケットの利益改善の鍵は「適正な値上げ」にあります。
多くのバイヤーや店長が陥る「安売り競争」の罠と、そこから脱却するための価格設定の考え方、粗利を確保する具体的な手法について、専門コンサルタントが解説します。
多くのスーパーに存在する「安すぎる商品」の正体
多くのスーパーマーケットの売場には、必ず「安すぎる商品」が存在します。
目次
これは戦略的な特売品のことではありません。
「本来もっと高く売れるはずなのに、安く売ってしまっている商品」のことです。
利益改善を目指す上で、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
その理由は、驚くほど単純です。
担当バイヤーや店長が、価格設定に対して「臆病」になっているからです。
競合店のチラシ価格と「客離れ」の恐怖
「競合店がキャベツ98円のチラシを出してきた」
「近隣の相場より高いと、お客様が離れてしまう」
「業界的にこの価格帯でないと売れない」
バイヤーや店長は、常に競合店の動向や相場を気にし、
「客数が減ること」に怯えています。
しかし、経営の視点で冷静に計算してみたことがあるでしょうか?
仮に売価を10%値上げして、販売点数が5%減ったとします。
スーパーマーケットのような薄利多売のビジネスモデルであっても、シミュレーションを行えば、多くの場合トータルの粗利益額は増えるのです。
それにもかかわらず、多くの現場では「数学(利益計算)」ではなく、「感情(恐怖)」で売価を決めてしまっています。
お客様は「安さ」だけでスーパーを選んでいない
「ウチの商圏のお客さんは、安くないと買わない」 そう思い込んでいませんか?
厳しい現実ですが、価格だけで店や商品を選ぶ層は、全体の15%にも満たないと言われています。
しかもその15%は、特売品だけを購入する層であり、店舗の利益に貢献する「優良顧客」ではない可能性が高いのです。
残りの85%のお客様は、説得力のある理由さえあれば、高いほうの商品を喜んで手に取ります。
彼らが安いほうを選ぶのは、単に「高い商品と安い商品の違いがわからない」から、失敗しないように安いほうを選んでいるだけなのです。
利益改善の鍵は「価格」ではなく「価値の伝達」
つまり、問題の本質は価格設定そのものではありません。
商品の価値を「説明(プレゼンテーション)」できていないことです。
•その青果がどれだけこだわって作られたか、コトPOPで伝えていますか?
•その精肉がどんな料理に合うのか、メニュー提案をしていますか?
•高い商品を買うことが、お客様にとってどんな「メリット」になるのか、基準を示せていますか?
売価を上げられないのは、商品力がないからではありません。
その価格を支えるための「売場での情報発信」が設計されていないだけなのです。
ライバル店を見るな、自店の「価値」を見よ
私はいつもスーパーマーケットのコンサルティング現場で申し上げています。
「ライバル店の価格調査ばかりしてはいけない」と。
多くの場合、ライバル店もまたマーケティングや価値伝達においては未熟で、ただ安売りに走っているだけだからです。
売価を適正に戻し、確実に利益改善を図る方法は2つあります。
1. 松竹梅の法則を使う(ラインナップ設計)
「安くて普通の品」だけでなく、「高くて良い品」をあえて並べて選ばせることです。
もし多くのお客様が高いほうを選ぶなら、それがその店にとっての「適正価格」です。
2. 価値を伝えて堂々と売る
POPや接客、試食販売を通して、その商品のストーリーを伝えることです。
「この品質なら、この価格はむしろ安い」とお客様が納得すれば、競合店より高くても商品は必ず動きます。
価格設定とは、勇気の問題ではありません。 「設計」と「数学」の問題です。
自店の商品の価値を正しく理解し、その違いをお客様に語ることができれば、価格は自然と上げられます。
安売り競争から抜け出せないのは、市場や競合のせいではありません。
あなた自身の「選択」なのです。



