ビジネスとは『愛』である
私のクライアントである地方のローカルチェーンのスーパーマーケットで、入社14ヶ月の若手社員がチーフに昇格しました。
「え?14ヶ月でチーフ?」
そう思われた方も多いかもしれません。現場経験も浅く、負担も大きい役職。正直、私自身も「潰れてしまわないか?」と心配したのが本音です。
しかし、彼と実際に会って話すうちに、そんな不安は少しずつ消えていきました。
会社の武器は“基本の徹底”
彼は以前、基幹店舗で青果部門の担当として働いていました。その店舗は売上が低迷していたため、私が青果と惣菜の部門を中心に、業務改善のコンサルティングを行っていた現場です。
コンサルティングに入るとき、私が必ずやることがあります。
それは 「現場の確認」です。
オペレーションで、特にチェックするのはこの6つです。
•開店前の作業段取り
•売場の完成度(開店時)
•在庫の持ち方
•マテハン(物流機器)の使い方
•作業動作の質
•作業指示書の活用
基幹店舗では、最初はまるでバラバラの状態でした。
朝の準備は遅れ、カートの使い方も非効率。売場も“売れる売場”とは到底呼べない状態。しかし、2ヶ月、3ヶ月と徹底的に現場を見直し、仕組みを整えた結果、開店時には商品がきれいに並び、チームも見違えるように動けるようになったのです。
彼はその現場にいた一人です。つまり、 基本の動きを体感し、訓練された経験者。その経験が今、別の店舗でチーフとして生かされています。
前向きな姿勢と“聞く力”の大切さ
面談で彼が最初に言った言葉が印象的でした。
「おかげさまで、基本を教えてもらえたのが本当によかったです。」
この一言に、彼の素直さと成長意欲が詰まっていました。
売場はまだ荒削りで、ボリュームや品切れといった改善点はあるものの、基本動作、作業指示書の運用、在庫管理の意識などはきちんとできている。これは大きな成長の証です。
ただし、今後の課題は明確です。
•季節ごとの売場づくり
•重点商品の選定
•タイムリーな仕掛けの実行
これらは経験からしか学べません。失敗も糧にしながら、トライ&エラーで現場での判断力を磨いていくしかないのです。
彼は非常に前向きで、「もっと学びたい」という意識が強い。私はこれこそが最大の成長エンジンだと信じています。
“聞く人”が成長する
昼食を共にした際、私は彼にこう伝えました。
「とにかく、聞け。常に、意識しろ。」
どんなに優秀な人でも、“聞く姿勢”を忘れてしまえば、成長は止まります。
反対に、素直に「教えてください」と言える人は、周囲から多くの学びを得られる。人生の先輩たちは、そういう姿勢を持つ若者には、驚くほど親身になって教えてくれるのです。
仕事ができるかどうかよりも、「学ぶ姿勢があるかどうか」の方が、成長のスピードに大きな差を生みます。
“一人の育成”は“組織の未来”
今回の若手チーフの事例を通じて、私が皆さんにお伝えしたいのはこういうことです。
•頑張っているけれど成果が出ない人
•容量が悪くて時間がかかる人
そんな人たちでも、前向きにやっているならば、教える価値は十分にあるということです。
もちろん、すぐに成果が出るとは限りません。
ときに、時間を多く費やす必要もあるでしょう。
しかし、本気で人を育てることができる組織には、必ず未来があります。
社員一人ひとりが会社の“資産”である
スーパーマーケットは、ブランド力だけで動くものではありません。
それを支えているのは、現場で汗をかく社員一人ひとりの努力です。
その一人に、本気で時間を使い、育てる覚悟があるかどうか。
ここが企業としての「器」を決めるのではないでしょうか。
読者の皆さんの会社では、若手を育てる『仕組み』がありますか?
現場を支える“人”の育成に、本気で向き合っているでしょうか?
今一度、自社の現場と向き合ってみてください。
未来を担う人材は、今、目の前にいる"彼"かもしれません。
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