15時の鮮度チェックが、売上と生産性と営業利益を大幅にアップさせる! スーパーマーケット重要戦略
近年、地方のスーパーマーケットでは、少子高齢化とドラッグストアやディスカウント・ストアとの競争が激化し、「売上低迷と営業利益の低下が深刻な課題となっている」という中小スーパーが多くなってきています。
そして、
「今後さらなる人件費の高騰と人手不足がやってくる」 「起こってから慌てても遅い」 このことをスーパーマーケットの経営者は、正しく理解し改善策を実行する必要があります。
このような状況下で、経営を安定して継続するためには、この問題に対して効果的な手段が求められます。その一つが、社内の『標準化』です。
今回は、『業務の標準化』の重要性と正しい改善の進め方(効果の出し方)について解説します。
■人が集まらない = 他業種への労働力移動が始まる
都心でコンビニやファストフード店へ入ったら分かりますが、従業員の多くが外国人です。片言の日本語でレジを打ったり盛り付けなど作業をしたり、外国の人が遣っている光景をよく目にします。
もうそこで働こうと考える日本人は少なくなっているということでしょう。
IT企業などへの労働移動は、日本経済の発展のためには重要なことであり必然なことです。
しかし、小売業など一部の業界では、今後さらに労働力不足が問題となり、人件費が上がることにも繋がります。
また、小売業やサービス業において週末や祝日の休みが取れない現実は、多くの若者層には敬遠されています。
これらのことも市場の労働力移動と合わせて、スーパーマーケットの現場の人手不足と人件費の高騰へと向かう原因になると考えられます。
■標準化の重要性
標準化とは、簡単に言うと、組織内のプロセスや手順を統一し、効率性や品質の向上を図るための手法です。
平たく言うと、平均ペースより少しできる人(方法)を標準と考え、そのレベルにチームの全員を引き上げて、チーム全体の生産効率を引き上げようということです。
そして、スーパーマーケット経営においても、以下のようなメリットがあります。
①効率性向上
標準化により、作業プロセスが明確化され、従業員の仕事の進め方が統一されます。
これにより、作業時間の短縮やムダの削減が期待できます。
②品質の向上
一定の基準や手順に則って業務が行われるため、品質のバラツキが少なくなります。
顧客満足度の向上につながります。
③コスト削減
標準化により、作業のムダやムラ、そしてムリが減少し、経費の削減が可能となります。
これは利益率の改善に直結します。
④作業負荷の低減
ムダな工程やムリなやり方の削減(低減)によって、作業担当者の作業負荷が低減できます。
結果として、作業が楽にスムーズに進められるようになります。
これらのことから、前述した労働力不足や賃金の高騰などの重要・課題解決(対策)には、大きな意味を持つことになるのです。
■標準化の進め方
標準化を進めるためには、以下の手順が重要です。
①現状の把握
まずは、現在の業務プロセスや手順を詳細に把握します。
(1)現場でどのような作業が行われているのか
(2)どのような手順で行われているのか
などを明確にします。そのうえで問題を発見し課題設定を行います。
②標準化の目標設定
標準化の目標を具体的に設定します。
例えば、設定した大小の課題に優先順位をつけて、
特定の・・・
(1)作業を効率化する
(2)品質を向上させる
(3)コストを削減する
(4)作業時間を減らす
などの明確な目標を設定します。
■標準化の手順の策定
1.現状の改善目標を踏まえて、
(1)あるべき出来栄え
(2)手順(方法)
(3)処理時間
(4)遂行上の留意点
など、標準化された業務手順やプロセスを策定し、従業員が容易に理解し、遵守できるように
工夫します。
2.従業員への教育とトレーニング
新たな標準化手順を担当従業員に周知し徹底するために、トレーニング計画を策定し、
それを定時定例で行います。
従業員の理解と協力が不可欠ですので、目的や留意点などについての説明会や
コミュニケーションの場(機会)を設けて、必要に応じてその回数を増やすことも重要と
なります。
3.モニタリングと改善
標準化手順が導入された後は、定期的にモニタリング(観察、観測)し、
記録を取り問題点や改善の余地を観付けます。
必要に応じて、適宜手順の改善などを行い、標準化レベルの向上をはかります。
4.持続的な改善
経営環境や顧客ニーズの変化に対応するために、標準化レベルを向上させるための
手順や方法の見直しなど、持続的な改善を行っていきます。
このように、常に最適化をはかり競争力を維持します。
標準化はスーパーマーケット経営において重要なことは言うまでもないことですが、重要『戦略』として理解実行することが経営者の責任であり責務です。
上述した通り、
・効率性の向上
・品質の向上
・コスト削減
・時間の削減
など、多くのメリットがあります。
しかし、標準化を進めるには、
「計画性」と「徹底した実行」が不可欠です。
今後さらに高まる競争と人件費の高騰などの課題対策とそれらの解決のためにも、標準化の導入を積極的に検討し、組織の競争力強化に取り組むべきです。
■遂行上の注意点について
標準化の進め方に関する上記の手順は、効果的な標準化の実現に向けた重要なステップを示しています。しかしながら、実際の遂行に際しては以下のような注意点も考慮する必要があります。
1.従業員の参加とフィードバックの取り入れ
標準化の策定や実施においては、従業員の参加とフィードバックを積極的に取り入れる
ことが重要です。
従業員は日々の実地作業に精通しており、彼らの意見や提案は実践的な視点からの貴重な
情報源となります。
2.文化や組織の特性に配慮する
標準化手順を策定する際には、組織の文化や特性を考慮することが必要です。
一律の手順が全ての状況に適用可能とは限りません。
地域や店舗の環境、従業員のスキル(知識・技能)レベルなどを考慮し、柔軟性を持たせる
ことが重要です。
3.定期的な評価と改善のサイクルの確立
標準化は一度導入しただけで終わるものではありません。
定期的な評価と改善のサイクルを確立し、継続的な進化を促進することが重要です。
市場状況や競合環境の変化に迅速に対応するために、標準化手順の見直しや改善を行うこと
が必要です。
4.情報の共有と透明性の確保
標準化手順や進捗状況に関する情報は、経営層から現場の各担当者全ての関係者と共有
されるべきです。
透明性を確保することで、組織全体が同じ目標に向かって協力し、効果的な標準化の実現に
貢献します。
これらの注意点を踏まえながら、標準化の実施を計画し、実行することで、スーパーマーケットの経営環境の改善と競争力の強化に寄与することが多いに期待できます。
そして、会社内にその改善経験の有る無しに関わらず、「専門家の意見を聞く」ということは、現場の問題発見とその後改善プロセスに大きな影響を与えることになるでしょう。
またそのことが改善スピードと効果を拡大することになるでしょう。
事実、弊社でも過去に業務改善チームを持つ企業から複数回の相談をいただいていますが、「社内で気付いていない」問題や課題が多くあることは間違いありません。
「専門家の意見を聞く」という行動自体が、業務改善でもあるのです。
■現場に答えがある
私は、サラリーマン時代には、「もっと早く、もっと簡単にできる方法は無いか・・・」ということを考えていました。
そして5年間、標準化推進室のリーダーを務めさせていただき、
・作業工程基準書の策定
・各種マニュアルの作成
・店長教育
・社内用語の統一化
・開発会議メンバー
・店舗レイアウト(進店・改装店)の作成
・科学的棚割り作成
・作業設備の設計
・作業指示書のフォーマット作成
・月間、各種稼働計画 〃
・売買差益管理 〃
・部門別損益計算書 〃
・実地作業調査
・ストアコンパリゾン
などなど、標準化のための多くのことに携わり改善業務を行ってきました。
しかし、はっきり言えることは・・・、
たった一つの問題でも、改善することが出来れば、とんでもないお金や時間を削減することが可能であり、年間の売上や営業利益を飛躍的に伸ばすことが出来るということです。
その「お宝を探すか、探さないか」は、読者のあなたの思考と行動にかかっています。
さて、あなたは、今からどう行動しますか・・・?
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