『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
スーパーマーケット企業では、数字をあまり理解(勉強)していない人(会社)が多いように感じます。
とても重要であり、数字を正しく理解してないと、戦略そして、日々の行動が全く変わったものになってしまいます。
チームとしての生産性、そして、結果として出てくる実績数値など、時間の経過とともに、結果に大きな差が生まれてしまいます。
会社全体で、実績数字を正しく理解し、判断出来る。
そして、日々、数字で物を言う(説明する)癖をつけることが、非常に重要です。
そうでなければ、部下は社長が何を言っているのか正しく理解することが出来ません。
ですから、生産性を上げるためには、部下の数字に対する教育が重要であることは、言うまでも無いことです。
もちろん、数字で全てを片付けることはできません。
実績数値の確認と同時に、現場を確認してその裏付けを取ることや、欠品など実績数値に現れないことについて、時間ごと、場面ごとに検証を加えることによって、確実にマネジメント力が向上することになります。
コミュニケーションの質を上げるためには、必要に応じて、写真や動画なども活用して共有するとも効果的でしょう。
データの『情報化』と『見える化』で戦略武器を整える
実績数値は、数値(定量)データを、目的を持って『情報化』し、解りやすいフォーマットに仕上げることも重要です。
そして更に、色付けや図表化するなどして、『見える化』することによって更に理解力が高まり、コミュニケーション力や説得力が大幅に向上することになります。
詳しい事例については、関連記事をご覧ください。
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ムダ無く活動するための管理帳票と数値の一例
今まで携わってきた現場では、あまり役に立たない帳票も少なくありませんでした。
目的を持った帳票を作り、見る人が理解(判断)しやすいものを作らないと、
❶作成の時間がムダになる
➋会議の質が低下し生産性が低下する
➌会議後の改善行動の成果が低下する
という様なことになります。
ですから、時間の経過とともに、その良し悪しは、会社の業績(成果)に大きな差を生むことになります。
帳票を作る(または指示する)人は、
❶数値自体を正しく理解(認識)するスキルを持っていること
➋帳票の目的と得たい成果を理解していること
が絶対条件となります。
会社(営業段階)の生産性を向上させるための幾つかの帳票(数値)をお伝えします。
⑴損益計算書
営業活動の目的である営業利益について、営業組織(グループ)のカルテ的帳票であり、日々の営業活動において、どの程度のリターン(付加価値)を生んでいるかを、定期的に知るためのもの。
戦略の実行性と成果確認、改善課題を見付けるための重要な指標。
⑵部門別・損益計算書
店舗の損益計算書を細分化して、部門単位で営業成績を求め戦略策定の基になるもの。
部門単位で営業利益率(生産性)に大きな差があり、利益が高い部門と低い部門があることが解かる。また、企業によってもその差は違ってくる。
特に、粗利益高や営業利益高、各コストの前年対比を意識することで、営業戦略を立てる場合や業務改善に活用する元となる重要な管理帳票。
⑶カテゴリー別・単品別販売実績管理表
特に、POSデータのベストレポートを加工(見える化)したものは、売場づくり、数量管理、品質管理、在庫改善、作業計画、人時投入計画などに大きく関わり、各種改善を行うための重要指標となる。
そして、日々の確認と検証、課題設定といった活用度が、生産性(得られる成果)に大きく関わることになる。
⑷重点商品等・販売実績管理表
カテゴリー(分類、販売企画など)ごとに管理して、各カテゴリーの売上上位品目(重点アイテム)を知り管理することは、部門の売上や粗利益に大きく関わり重要といえる。
また、重点アイテムは、顧客からの指示も高いことから、品揃え(欠品対策)や差別化戦略の立案など、営業戦略上重要といえる。
⑸部門別・生産性指標
スーパーマーケットは労働集約型の業態であり、営業経費で一番高いのは人件費であるから、人時売上高や人時生産は重要管理数値となる。
作業改善やマーケティング、マーチャンダイジングの技術を進化させることで、実績数値を高めていくことが求められる。
一部を紹介しましたが、社内で活用していない場合は、早急に学習して活用していくことを強くお奨めします。
要らない数値は、帳票から削除する
目的が明確でない帳票や、必要でない数値が入った帳票などは、見る人の理解度を低下させ、成果を生みにくいばかりでなく、誤った行動を引き起こし、時間と動力をムダにすることも少なくありません。
売上を上げるため。
粗利益(率)を高めるため。
ロスを減らすため。
人時売上高を上げるため。
など、目的を明確にして、必要でないもの、関係性の薄い数値は、帳票にのせないことです。
そのことによって、管理帳票は見やすく、見る人が理解しやすくなります。
当然、戦略策定や改善課題の決定、方向性を正しく、そして早く導かせてくれます。
ついでに申し上げると、数値自体を知っていても、その中身を理解していなければ、全くといって役に立たない場合もあります。
例えば、実地棚卸しの在庫高です。
通常、月末など管理月度の末日に実地棚卸しを行って在庫高を求めます。しかし、生鮮部門などは、曜日によって在庫高が大きく変動します。
また、月末(月次末)に在庫を減らす行動を取るところも有ります。
それ自体が欠品などの問題を引き起こしたり、作業の平準化を妨げたりしてしまいます。
特にスーパーマーケットの場合、鮮度管理や作業管理の観点から、金額より、日々の在庫の中身(品目と適正数量)が問題となります。
当然ですが、その意味を知らずに在庫回転日数などを見ても、何の意味も持ちません。在庫は、色々な条件の中で、適正量を守るということが重要な技術であり、現場にある実物の在庫の内容が問題なのです。
そういう観点で、生鮮品などの商品回転率(通常年間)や交差比率などは、あまり意味が無いものと言えます。
とにかく数値の意味と、帳票の効果的活用法を学習すること
もしあなたが、数字に弱いと思うのであれば、すぐにでも勉強をスタートさせることです。
そして、会社として、効果を出せる帳票を作り上げて、戦略的に活用することです。
経営者はもちろん、バイヤーや店長、そして現場のチーフレベルまで、正しく学んで活用の方法を理解するべきです。
個人もチーフも戦略的武器を手にして、一挙に戦闘能力を増すことで出来ます。
あなたの会社は、数字に強いでしょうか・・・?
本当の意味と、効率の良い活用方法を知っているでしょうか。
日々、その活用レベルを向上させているでしょうか。
会議でも、共有して使う癖ができているでしょうか。
曖昧な数値(表現)で、コミュニケーションをしていないでしょうか。
強い会社は、パート社員の方たちが、レベルの高い数値管理の実務を日々行っています。
だから、時給を上げても問題ないのです。
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