『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
リ・スケ(reschedule:債券返済の繰り延べや返済条件の変更のこと)状態で、相談されたスーパーマーケットの事例です。
正確には、リ・スケジュールで、「スケジュールを変更(修正)する」という意味で使われ、計画を修正すると言う意味で、プロジェクトや経営計画などでは重要な判断です。
今回の事例の場合は、投資判断を誤り、多額の借金が払えなくなって、銀行にリスケをお願いしていると言う内容です。
改善活動は待ったなし
十数年ぶりに訪問させていただき、売場を観させていただいたあと、会議室で面談をさせていただきました。
弊社の環境事業部のサービスである節電システム、保守契約料低減、初期費用なしで導入できる設備の導入システムなど、説明をさせていただきました。
その後、粗利益アップと人時削減を実現するためのサミットリテイリングセンター独自のシステムについて説明をさせていただきました。
値引きロスや欠品を削減して、ムダな作業が大幅に減らすことが出来る、簡単で即効性のある仕組みです。
1時間ほど説明をしていると、「先生の時間は空いていますか」と社長から質問がありました。コンサルティングを遣ってもらえるかということです。
お話を伺うと、リ・スケで銀行の支援を受けていること。
そして、大手チェーンやディスカウントストアの出店などが続き、売上が低迷して深刻な状況が続いているとのことです。
また、銀行の紹介でコンサルタントと従業員が入っているのですが、何も改善には至っていないとのことです。
しかし、売場を確認すると、遣るべきこと、遣れることがハッキリと見て取れます。
即刻コンサルティングのスタート
「承知しました」と社長に返事をして、早速次月からコンサルティングを実施させていただくことを約束しました。
その場で、「明日から、POSデータを取って送ってください」と、その内容を説明して帰りました。
私は、三日後に送られてきた各カテゴリーの販売データを加工して情報に変え、さらに「見える化」してメールで送り、改善ポイントを具体的に伝えました。
通常は、次回の訪問日から取り掛かる作業なのですが、経営内容が厳しく、社長や従業員のことを考えると、私もゆっくりと構えてはいられません。
救いは、こちらの指示した通りに早く動いてくれたこと。
そして、女性スタッフさんが、的確に一連の作業を行ってくれたことでした。
問題と課題は明白
サミットリテイリングセンターでは、「見える化帳票」と呼んでいるものが有ります。
POSデータなどの複雑なデータを、新入社員やパート社員でも理解できるように、情報化して見易くしたものです。
問題点がすぐに発見できて、「何をすべきか」「何を止めるべきか」の判断が即時にできます。
今回送ってもらったデータから見える化の作業を行い、その内容を確認すると、思った通り多くの値引きロスや欠品(推測)が確認できます。
私は早速、メールで簡単な説明と作業改善の内容を伝えて実行としてもらう様に社長に伝えました。
コンサルティング一回目の訪問と全体ミーティング
経営幹部と簡単な打合せを行い、基幹店の全社員を2班に分けていただき、全体ミーティングを開催しました。
自己紹介のあと、
・これから何をするのか
・そもそも、私がなぜ此処にいるか
・見えている問題は何か
・目指すものは何か
・取りあえず、今すぐに取り掛かってもらうことは何か
そして、
・ムダを無くして、もっと、「簡単に楽に」仕事をすること
・お客様目線で、商品を、売場を、そして、作業を行うこと
などを1時間程度で伝えたのです。
参加してくれた全員が、私の話を真面目に聞いてくれています。
そのうちの何人かは、メモを取ってくれています。
私は、成功の確率を高く感じ取った瞬間でもありました。
皆、「会社を元気にしたい」「良くなりたい」と思っているのです。
全員集めて説明するは、社長以下全員と課題や思いの共有をするためです。
スター選手がいてもチーム力を発揮できない会社は、
・共有と理解
・ある程度の納得
が、出来ていない場合が殆どです。
特に、数店舗ほどの、さほど大きくない会社の場合は、共有という重要な作業が遣りやすいと言えます。
ここのところは、小さな会社の強みを発揮できるところでも有るのです。
今まで「出来ていないこと」を追いかけて実現する
流通評論家の故・吉田貞雄さんの「夢」という詩があります。(夢八訓とも呼ばれています)
夢のある人には希望がある
希望のある人には目標がある
目標のある人には計画がある
計画のある人には行動がある
行動のある人には実績がある
実績のある人には反省がある
反省のある人には進歩がある
進歩のある人には夢がある
というものです。
正に、「コンセプト」と、それを実現するための「PDCA」の下りですが、この詩を見れば、なんとなくイメージしやすくなり、アイデアが湧きやすくなるのではないでしょうか。
※Plan(計画)→Do(行動)→Check(評価、反省)→Action(改善、対策)というプロセスを繰り返すこと
「夢と希望が心の支えになる」、「夢をかなえるためには夢をもて」ということだそうです。
今まで出来ていないことを、「どうせ無理」というのは簡単なことですが、それでは何も生まれません。
「どうしたら出来るか」という前向きな思いが、アイデアを出し、正しい行動を生み、今まで成し得なかった成果を生むことが出来る様になるのです。
前向きに考えれば、会社には「多くの資産」が有ることがわか
今回紹介している会社の様に、「どうしたら出来るか」という前向きに考えられるようになれば、自然と大きな変化が生まれてきます。
そして何より、夢の実現のための協力者も引き寄せる様になっていきます。
もうすぐ2回目の訪問の日が遣ってきますが、もうすでに、カテゴリー単位で大幅なロスの削減が出来ていて、ムダな作業も減っていることが推測できます。
また、1回目に指摘した売場の改善も直ぐに行って、その写真を送ってくれました。
短期間に、多くの改善の効果が出ています。
今後は、1回目からの改善作業に加えて、品揃えや売場変更を行っていきます。とても楽しい仕事です。
今まで、「だから出来ない」という、売り手目線から、「お客さんは、どうしたら喜んでくれるかな・・・」という、お客目線で考えて行動してもらいます。
彼ら彼女らに、思いっきり楽しんで潜在能力を発揮してもらいます。
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