粗利益を上げよう!報酬を上げよう! 粗利益アップを実現する方法と優先順位とマネジメント
スーパーマーケットは、食品を中心に販売している業態という性質から、1店舗の売上高が高い業態だ。
しかし、売上が高いから営業利益率が高いかというと、決してそうではなく1%~2%、また、1%を割り込み、月によっては赤字になる店舗も決して少なくない。
それを考えると、ビジネスとして、投資対効果が非常に低いということが分かる。
商売をしていると、どうしても、売上、売上となりがちだが、利益が残らなければビジネスを遣っている意味がない。
厳しい経営環境を考えれば、「今の売上規模で確実に利益が残る会社」にする必要がある。
投資対効果が低いということから、解決しないといけないことは、まず贅肉のついた不健康な経営体質から、ムダな脂肪を落とす努力をして、決して筋肉質とも言わなくても、ある程度の健康体に戻す必要がある。
私のコンサルティングの経験から、少しの改善でも、売上が10%~20%伸びるくらいの効果を出している事例は少なくない。
今後も続くコスト高と業態を超えた競争
電気代もガス代も高騰し、商品や包装資材などの仕入れ原価も大幅に高騰している。当然、粗利益、そして、営業利益を取りにくい方向に確実に向かっている。
簡単な算数を理解すれば解ることだが、損益計算書を考えれば、売上が前年割れでも粗利益が前年比をキープするかそれ以上になっていれば、商売としては特に大きな問題はない。
さらに今まで手をつけてこなかった経費を一つひとつ見直して、たとえそれが1%程度であろうと改善することができれば、結果として、売上アップと同じような営業利益を出すことができる。
そして、変動費と固定費の違いである。
変動費は、売上が上下することによって変化する。また、それを繰り返すことになる。
現状の商品原価の高騰がここにあたる。
固定費は、売上が高かろうが低かろうが、それに関係なく毎月ほぼ固定して掛かる経費だ。
だから、固定費の管理ができてない、また、コントロールの仕方を知らない企業は、売上が上がらない、また、この先もそのアップが見通せない場合は、いずれ成長はストップして、企業活動が継続できなくなる。
今、電気代の高騰やこれからも段階的に高まるであろう人件費など、全国のスーパーマーケット企業(店舗)で、固定費のアップが起こっている。
また、ドラッグストアやディスカウントストアの進出や商圏人口の減少などによる売上の減少は、営業戦略の基本的な見直しを必要とする。
少しの改善で、未来は大きく変わる
この経営環境の厳しさを人の体に例えて考えると、固定費の部分の改善を行い、肥満体の体を少しずつ健康体に戻し、BMI(体重と伸長から求められる肥満度)25を切らないといけない。
固定費(ムダ)の改善に手を付けなければ、厳しい経営状態はずっと続くことなる。
逆に、たとえ少しでも改善することが出来れば、その先良い状態が継続されることなる。
「どこに手をつければ良いのか」、また、今の外的要因を考えて、「どうすべきか」は、自ずと分かってくる問題だと思う。
もし、やり方を間違えてムダに時間を費やすことを考えれば、経験を多く持つ外部の専門家の意見を聞くことも経営者の重要な仕事である。
これから先も、これまで10年20年と続けてきたような、チラシを巻き、ハイアンドロー戦術で、日々の売上を上げることだけを考えるような経営では、この先の未来の成長と発展は望めないかもしれない。
損益計算書の一番上の数値(売上高)ではなく、一番下の数値(営業利益高)に視点を置き、そこから問題解決を考えなければならない。
経営者は、時代と環境がそうなっていることを正しく理解することが重要である。
売上の中身を変える 目先の売上を追わない戦略
「厳しい競争環境で、売上が伸びない、低下している」と考えている、また、実感している人は少なくないと思う。
私自身も、「目先の売上を追うな」と常々口にする。
しかし、「売上を上げることをしない」と言っているのではなく、「売上の上げ方を変える」という意味で使っている。
また、利益に繋がらない売上であれば、結果的に余分にコストやロスが増えたり、現場のムリが常態化して労働劣化を起こしたりと、何時までも続けられることではないし、続けるべきではない。
「売上は、お客の問題解決(満足)の対価」だ。
その対価は、低価格だけでは決してないし、それしか提供できなければ、徹底したコスト低減を図らなければならない。
それ自体は、ディスカウントストアとして、当然戦略として成り立つ。
しかし、通常の商売を考えれば、単なる価格競争ではなく、お客に対する『価値の伝え方と方法』を変えることで、売上の中身を変えることが出来るし有効な手段だ。
例えば、味や鮮度などの品質、無添加などの安全性や機能性、メニュー提案や使い方提案など、商品の持つ多くの価値を情報として伝えてくれる(体験させてくれる)お店を目指すこと。
また、顧客に対して、「今までに提供していない何か」を品揃えし、また、サービスとして加え提供することを考えれば、売るものは無数にあると言っても良い。
「売上は、お客の問題解決(満足)の対価」として考えれば、今までの小さい枠の中に納まっていることはないし、それ自体、勿体ないことだ。
経営の健康と遣るべきこと
BMIを正常な数値にすることを考えれば解る通り、身長は伸びないのだから、体重を減らさないといけない。
スーパーマーケット企業も、営業利益を目標値にもっていくためには、売上が伸びない環境なのだから、今までのやり方を変えて、粗利益を増やす(ロスを減らす)ことや、経費を落とす活動をしないといけない。
このいたって簡単な理屈を理解して、改善行動を取らなければならない。
伸びにくい売上を追ってストレスを溜めるよりも、視点を変えて新しいことに挑戦する方が、ずっと健康的で仕事のやり甲斐も高まるのではないだろうか。
スーパーマーケットの業態は、人件費率の高い。
そして、人時事売上高や人事生産性が低い企業は、この厳しい経営環境を健康体に変えるチャンスと考えて、改善を加えることが経営において非常に重要な時だと考える。
スーパーマーケットは、その貢献によって、地域のお客さんや取引業者もたくさんいる。
当然のことながら、そこに働く従業員には、多くの家族もいる。
非常に、社会貢献の高い仕事。
その会社を健康で長生きさせることが、経営者の使命であると思う。