ノウハウ以上に、ノウホワイが大事!
最低賃金のアップは、経営者にとっては悩ましい問題かもしれませんが、その中でも、確実に営業利益を押し上げる解決策はあります。
特に、全体的なコストが上がっている今が、それを実現していくチャンスの時でしょう。
戦術的に、売上だけを追い続けていて、生産性や経済合理性など、普段あまり考えていない経営者には、頭の痛い問題かもしれません。
しかし、考え方と、少し行動を変えれば、結果を大きく変えることは、十分可能なのです。
このコラムのタイトルの「ローコスト経営体質を有する商業だけが生き残る」は、7月30日の商人舎の結城先生のブログの中の言葉をお借りいたました。
経営が複雑でなかった時代は、生産性のことを考えなくても、売上の上昇がコストの問題を解決してくれました。
しかし、競争環境が複雑になり売上が下がり、あれもこれもとコストが上がると、戦略的な考えをもって、計画を立て行動しなければ、経営そのものが持たないようになります。
年商300億円未満のスーパーの1/3は、赤字経営
数年前の数字ですが、年商300億円未満のスーパーマーケットの1/3は、赤字経営のようです。
そして、その多くは、営業利益率が1%未満です。
コロナ特需で、一時的に利益がアップしたスーパーマーケットですが、コロナ禍に慣れた消費者の行動が変わったことから、外食産業の売上が回復して、売上を落としている企業がほとんどです。
そして、仕入原価や光熱費などのコストの上昇によって、適切な努力が出来ない企業は、確実に営業利益が低下するでしょう。
このような状況では、営業利益率が低く、労働分配率が高い会社は、残念なことですが、すぐに赤字に転落してしまいます。
外食産業や旅行業界が回復して、ネットスーパーの売上拡大などを考えれば、スーパーマーケットの生産性向上は、待ったなしの経営課題であると考えられます。
生産性の数値を知らない。見ていない。考えていない。
先日、初めて訪問したスーパーの社長と話していると、
「人時売上高や人時生産性の考え方を、社員に解りやすく教えられない」や、
「社員が、数字のことを正しく理解できていない」
と、おっしゃられていました。
ところが、この会社では、月々、部門別損益を出して、各店各部門に伝えていると言います。
各部門の責任者が、自分の部門が、「儲かっている」のか、「儲かっていない」のかを知っているということは、経営的に素晴らしてことです。
そして、このこと自体、戦略的に考えて行動しているということの証です。
結果として、この会社は、3%以上の高い営業利益を出して経営されています。
しかし、多くのスーパーマーケットの現場を観てきた私は、この様な会社は、業界では例外的だと思います。
3回のアドバイスで、2400万円の利益改善!
この1ケ月半の間に、3回訪問した地方のスーパーがあります。
弊社の業務改善のコンテンツの一つである、『ロスの削減システム』を取り入れてもらい、実行してもらった事例です。
その詳しい内容は、私の他の記事でご説明したいと思いますが、やり方をチョッと変えてもらったら、各部門やカテゴリーのロスが大幅に改善して、年間に換算すると、約2400万円の利益改善が予測される結果となりました。
決して、自慢話をしたい訳ではありません。
焦点を変えて、やり方を変えれば、意外と簡単に結果が変わるという事実を、お知らせしたかったのです。
そして、この予測数値は、商品の値引きや廃棄だけのものであり、最大値ではありません。
欠品改善や作り過ぎや出し過ぎなどのムダな作業を無くせば、人時投入を削減出来て、さらに、営業利益を拡大することが出来ます。
24億円の売り上げ拡大
仮に、営業利益を1%出している会社で考えた場合、2400万円の営業利益アップは、24億円の売上アップと同等になります。
たった1ケ月半、3回のアドバイスで、基幹2店舗が実現した実績ですが、改善活動を日々継続していただければ、一年間で大きな成果をもたらすことでしょう。
私の経験則から、スーパーマーケットの現場には、多くのムダが有ります。
そして、それ自体を削減していくプロセスは、多くの動力を要することではなく、少しだけ勉強して、行動を少しだけ変えるだけで、大きな成果を出すことが可能なのです。
決して、大きな会社や素晴らしい人材が揃っていなくても、十分実現可能なことばかりです。
課題は、そのことに焦点を当てて、正しく勉強して、正しい改善の行動を取ること。
そして、リーダーのコミュニケーション力と正しい行動(リーダーシップ)です。
トレード・オンを考えて、実現する
例えば、「地域一番の鮮度を届ける野菜売り場」というコンセプトを立てたとします。
スーパーマーケットの営業戦略上重要な部門ですから、そのことを日々実現維持していくことは、お客の信用を獲得し、売上は勿論、来店客数とその頻度を増すことにも繋がります。
そして、このコンセプトを実現するためには、鮮度の高いものを仕入れることは勿論、ムダな仕入れや、作り過ぎや出し過ぎなど、ムダな作業を減らすことになります。
今、高騰している包装資材なども、ムダに消費することを減るでしょう。
結果として、生産性は確実に向上することになります。
お客様の満足と生産性は、(こちらを立てれば、あちらが立たずの)トレード・オフの関係ではなく、どちらも実現していく、トレード・オンの関係なのです。
最低賃金31円アップの問題の改善策は、「お客目線に立った正しい行動」に答えが有るのではないでしょうか。
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