売上と粗利益を簡単に上げるサイレントセールスマンを創る POPの力と基本原則を知る
売れる青果売場をつくる。
それは、そんなに難しいことではない。
何か…。
何処にも負けない、地域一番の高鮮度の野菜売場を実現すること。
そして、地域一番の美味しい商品を提供する果物売場を実現すること。
そして、そのいたってシンプルな課題を日々追求する活動を継続することです。
【地場野菜コーナー】店舗一番人気の売場。青果の3~5割程度の構成比を占める
人時生産性(営業利益)は、抜群に高くなる
ここが、マーケティング上もマーチャンダイジング上も、非常に重要な要素であり、生産性が高く、確実にお客の支持を得て成長し続けるための原則です。
昨今の青果部門の販売動向と消費動向
「業界的には…」「市場では…」という様に、傾向や動向というものを知りたがる人が多い。
しかし、単なる過去のデータでしかない。見る角度によって見えるものが違ってくるし、活用方法も違い、得られる結果も違ってきます。
どのお店も、地域も違えば、ターゲット顧客も違うのですから、過去の数値は、気休めにしかなりません。
団体のデータや市場の相場などは、スマホを活用すれば、簡単に入手できるので、そちらをご覧いただきたいと思います。
青果部門の場合は、コロナ禍の影響以上に、相場の上げ下げに左右される部分が大きいでしょう。
その中でも、もやしなど、節約志向に影響される商品の動きは良いといえます。
また、免疫力を上げるなど健康面を意識したニーズに対応できる商品は、お店側がそれに対する提案をしていれば、確実に売上を伸ばしていることが確認できます。
そして、 巣ごもり需要の観点からいえば、通常の野菜に加えて、簡単便利に使える冷凍野菜や果物、カット野菜やカットフルーツなどは、今まで以上に注目され、販売量を伸ばすことが期待できると思います。
コロナ禍が青果部門に与えた影響
コロナ禍によって、飲食業など大きな打撃を与えたことから、農作物の生産と流通、そして、相場にも大きく影響が出ています。
また、弊社のクライアントでも、ECサイトを活用した、オーガニックなどのこだわり野菜などは、確実に販売量を伸ばしています。
このように、市場外流通の拡大や、消費者の安心安全や健康への関心の高まりが、確実に大きくなり、SMの売場でも、無視することのできない課題になって来ていると感じます。
また、コロナ禍で、お客の来店回数は減っています。
ということは、野菜を家庭でストックする日数が長くなり、お店で買った商品の鮮度を、今まで以上に実感するようになります。
お客に支持される青果売場づくりの方向性と、具体的な取り組み事
地域差はあるものの、テレワークやリモート会議など、家にいる機会が増えている人が多いことで、総じて野菜の販売量は増えています。
時短や料理に慣れていない人も多いと思われ、カット野菜やカットフルーツの需要も好調です。
また、マーケティングの基本は、お客の顕在ニーズを瞬時に読み取り、それを売場に反映することです。そしてプラス、お客の知らない「こんな物(使い方)があるの…?」というもの(潜在ニーズ)を気付かせるために、「知らせる」ことを積極的に遣ることです。
具体的には、「皮をむくことが面倒」「ゴミが出るのが嫌」といった『買わない理由』が存在することを考えれば、カットフルーツやカット野菜のニーズは高く、粗利益拡大のチャンスです。
【カットフルーツ】手間いらずで、すぐ食べれて、ゴミも抑えられる
また、バナナや生姜、トマトなどのように、免疫力を高める効果があると言われるものは、そのことを解りやすく掲示することや、「美味しい」メニュー提案なども重要になります。
【レシピ・カード】メニュー提案は、重宝されて購買率がアップする
そして、「楽しいこと」や「面白い」ことには、ストレスの溜まりやすい今の生活環境を考えれば、その提案で支持を得ることは十分可能でしょう。
青果に関して注目すべきトレンド
コロナ禍を含む『健康思考』の高まりや、『時短』になること、『美味しい』を実感できる提案は、確実にお客の支持を得て、高い値入率を実現できます。
そこで、キーワードをもとに売場提案を行うことをお奨めします。
例えば、
【健 康】 「基礎体温を上げる」、「免疫力を高める」
生姜、バナナ、トマト、フルーツビネガー、クルミなど
【安心安全】 「無農薬」、「減農薬」
オーガニック野菜、オーガニックナッツ・ドライフルーツなど
【簡単便利】 「簡単便利」、「美味しく時短」
冷凍アボカド、剝皮かんきつ、カットフルーツなど
【美味しさ】 「高糖度」、「美味しい時間」
調理提案(レシピ+リーフレット)、試食販売(安全確保)など
【楽 し さ】 「ストレス解消」、「新たな発見」
フルーツたっぷりスイーツ作り、ポット植えの花(苗)など
【スイーツの開発】契約農家とのコラボでつくるお菓子は、差別化が際立つ
このように、具体的なニーズに焦点を当てて、お客の購買意欲を高めていきます。
青果部門が今後解決するべき課題
ここからは、戦術ではなく戦略的な話です。
青果部門が今後解決するべき課題は、ズバリ、鮮度と味です。
そして、それを実現するためのムダの少ないオペレーションの仕組みづくりが重要となります。
SMで、ダントツに支持率が高いのが、野菜です。
その野菜が、地域ダントツ一番の鮮度で、且つ値段が安ければ、集客力と客単価を高め、店舗は確実に強くなります。
また、地域一番に味の良い果物を提供できれば、リピーターを生み、確実に客単価を増やすことができます。
その意味で、青果部門は、責任が重く重要な部門であること言えます。
しかし、私が知る限り、このことを実現しているSMは、多くはありません。
そのことによって、売上が伸び悩み、商品や人時のロスも多くなり、FLコストを押し上げ、結果的に粗利益率を高くせざるを得ない企業が多く存在します。
このことについては、現場のチーフや店長だけではなく、経営幹部やオーナーも、しっかり理解してもらいたい課題です。
具体的には、まず、ムダを徹底的に無くすことです。
一番改善効果が期待できることは、在庫削減(適正化)です。
在庫過多は、ムダな作業(工数と量)を多く発生させてします。
また、数量管理ができていない場合、欠品も多くなります。
【商品ロス】 在庫過多⇒品質低下⇒商品ロス ☛粗利益低下
【人時ロス】 仕入れ過ぎ⇒作り過ぎ⇒出しすぎ⇒見切り・廃棄作業 ☛作業工数拡大
【機会ロス】 データ管理不足、現場確認不足、作業指示の不出来、マンネリな品揃え
☛粗利益損失
このような、現場のムダを削減することによって、粗利益率のアップと投入人時の削減という、一石二鳥の効果が期待できます。
営業戦略上は、FLコスト削減分を、野菜の低価格販売や、作業改善で余裕の出た人時を、カットフルーツなどの品揃えの拡充やメニュー提案、試食(推奨)販売に割り当てることも効果的です。
その他の工夫としては、冷蔵ケースをフルに活用して、商品を陳列することで、鮮度を保ち、補充回数を減らすということも、売る側、買う側双方にメリットがあります。
このように、「目先の売上を追う」戦術的な視点ではなく、お客の視点と従業員の視点に立って、業務全般の見直しをする必要があります。
そして、何より、売上や粗利益だけの管理では不十分であり、部門別損益管理(管理会計)が、戦略的な運営では不可欠であると言えます。
※FLコスト:F=food(原価、材料費)、L=Labor(人件費) を足した費用のこと
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⇒ 月刊商人舎 新谷千里の「お客と社員に支持される生産性向上策」
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