売上を簡単に上げる方法 【商品開発・編】
「せんせ~いッ!」バックルームから、私を呼ぶ声が聞こえました。
私が、売場からバックルームに入ると、「14度が出ました」とカットフルーツの担当者が言います。
その日カットしていたスイカの中から、糖度14度のものが出たようです。
試食させてもらうと、香りも良く、久々に食べたとても美味しいスイカでした。
私は、「値上げしようか?」
「POPに書いて、お客さんに知らせよう」
と、担当者に告げて、POPをつくってもらいました。
売価は、それまで売っていたものに対して、2割程度高い設定です。
すぐにお客の反応
結果は、すぐに出ました。
14度のスイカを買い求めるお客が、次々に現れます。
中には、POPに気付かず、他のスイカを買う人もいますが、POPと糖度表示に気付いたお客は、すぐに買い物かごに入れてくれます。
私は、その様子を遠目で見ていましたが、楽しいものです。
担当者も、現実目の前でその光景を観ていて、自分たちが今やっていることに、自信を付けたのではないかと思います。
『売れてしまう』仕掛け
このお店は、2年ほど前から、あるコンセプトを立てて行動して貰っています。
それは、
「地域でダントツの美味しい果物を売る店になろう」
というものです。
言ってみれば簡単なことなのですが、
価格を気にして、日々の売上を追っていた店には、中々切り替えが利きません。
しかし、ここ1年半ほどは、徐々に行動が身に付きだして、良い結果が出てきています。
バイヤーは、仕入れ原価を気にすることなく、美味しい果物を仕入れることに集中できるようになりました。
改善行動を具体的には、
①仕入れを徹底して、「美味しくないものは仕入れない」
②糖度測定を行い、商品とPOPに糖度表示をする
③お客の商品の糖度基準が解るように、比較表を掲示する
④定期的に、試食販売をする
というものです。
「美味しい」を売って、結果が出ることは、販売する側にとっても嬉しいものです。
商売の醍醐味でもあります。
そして、何と言っても、お客が悦んでくれます。
気に入ったお客は、かなりの確率でリピータになってくれるのです。
実践型マーケティングを知る
商売は、お客と一度限りの付き合いではありません。
今日買ってくれたお客が、2度3度と買ってくれれば、商売は非常にうまく行くことになります。
売上を上げる方法は、3つです。
①客数を増やす
②客単価を増やす
③来店頻度を増やす
の3つだけです。
この、たった3つです。
こちらの都合で、目先の売上を追っている人達は、このことを理解していない人が多いと思います。
「美味しいスイカ」を買った人は、リピータになってくれます。
客単価も確実に上がります。
評判が良くなり、口コミも増えるかもしれません。
結果的に、お客は、その店で継続的に買い物をしてくれるようになり、顧客生涯価値が上がります。
お客の立場で商売をする
「どうしても、売価が気になる」という人も、少なくないとは思います。
でも、売価を決めるのは、原価の積み上げではありません。
商品の価値。正確に言えば、「お客が感じる価値」が重要です。
「納得」すれば、お客は、少し高くても商品を買ってくれます。
その納得するための行動を、販売側がとっているかが重要なのです。
自分の経験則で、限界を決めてしまっている人が、圧倒的に多くいます。
でも、今までと違う行動を取ることをやってみないと、何も得られません。
失敗しても、大きな痛手にはなりません。
しかし、先述した方法で、「美味しいスイカを値上げして販売」すれば、失敗する確率は、ゼロに近いと言えるでしょう。
「お客の立場で商売をする」ということは、言い古された言葉かもしれません。
しかし、実行している人は、決して多くないと、私は感じています。
お客の喜ぶことに、ビジネスの基本が有ります。
そして、会社と個人の成長と発展の基本でもあります。