多くの人が知らない・・・在庫の科学:実践編 【商人舎magazine・6月号】
スーパーマーケットは、小売業と製造業が、同じ屋根の下で仕事をしているようなものです。
しかも、同時にその二つを科学的にマネジメントする必要があります。
その点では、ドラッグストアよりオペレーションが複雑で、「生産性を上げにくい」と言う側面を持ちます。
そして、小売業として、商品選定、展開場所、プロモーション、価格設定など、実践的なマーケティングのスキルが求められます。
一方、製造業としては、レイアウト、工程管理、作業指示、作業者スキルなどの生産効率が重要なファクターとなります。
一見複雑そうですが、前向きに考えれば、改善要素が多く、利益改善のチャンスが隠れているとも言えます。
粗利益高を上げることと、コストを下げること
ビジネスの目的は、当然「稼ぐ」ことです。
粗利益を高くして、人件費を含むコストを低位に保つことの二つが、求められることは言うまでもありません。
その時に重要となるのが、マネジメント層の『現場を診る力』です。
「百聞は一見に如かず」です。
計画がいかに素晴らしいかではなく、現場がどのようになっているかで、良くも悪くも結果が、大きく変わることになります。
現場の担当者のスキルも重要ですが、それ以上に重要なことは、マネジメントするほうの『現場を診る力』が最も重要になって来ます。
そして、
「百行は一果(効)に如かず」です。
いくら頑張っていても、成果に繋がらないやり方では、時間が無駄に使われてしまうことになります。
粗利益の拡大と経費のコントロールについて、成果の出るやり方になっているかを、現場で確認する必要があります。
粗利益高を上げることと、コストを下げること
粗利益を上げるためには、値入を高くして、ロスを少なくすることにつきます。
簡単なことなのですが、現場では、そのための行動がとられていない場合が多々あります。
それは、根拠の無い売価設定。戦略の無い売価設定などです。
ナショナルブランド(NB)の値入は、競争上低位に設定することになります。
ですから、競合店が販売していない商品を販売することに重点を置くべきです。
そのためには、商品開発に力を入れる必要があります。
それと、忘れてはいけないことが、欠品です。
「あれば、売れたのに・・・」ということです。
欠品は、定番の欠品もありますが、今店舗で売っていないものや、売ったことの無い商品も含めて考える必要があります。
商品ロスについては、値引きと廃棄があります。
仕入れ、陳列、売り切りなどに、数量管理のスキルが求められます。要するに仕入れ過ぎ、作り過ぎ、出し過ぎなどを減らすことが、重点管理の優先事項です。
そして、廃棄する前に売り切るということも、粗利益を減らさないと言う意味でとても重要なことです。
コストをコントロールして、生産効率上げる考え方
生産効率を考える上で、特に重要な実績数値が、人時売上高と人時生産性です。
人時売上高は、投入人時当たりの『量』が、問われることになります。
また、人時生産性は、投入人時当たりの『質』が、問われることになります。
『量』については、人時当たりの生産高ですから、
①個人個人のスキルを上げること
②段取りを見直すこと
③無駄な作業を無くすこと
④ムダな人時投入を無くすこと
⑤使う道具を変える
などが、改善課題となります。
『質』に関しては、人時当たりの付加価値(粗利益高)ですから、
①個人個人のスキルを上げること
②商品開発力を上げること
③確実な人時投入を行うこと
④価値情報を伝える仕組みをつくること
⑤成果物の達成目標レベルを上げること
などが、目標課題となります。
要するに、『量の作業』に対しては、適正に人時をコントロールして、『質の作業』については、戦略的に人時投入するという考え方を持つことが重要です。
その他、設備什器、販促費などについては、全体的な生産効率や費用対効果を勘案した、戦略的投資の考え方が重要です。
その他、水道光熱費などは、技術の進歩によって効率機器やシステムが開発されています。また、契約交渉も賢く遣ることで、大幅な削減を実現している事例が多く有ります。
確実に一つずつ、改善のプロセスを踏む
確実に成果を拡大するためには、「百考は、一行に如かず」です。
目標設定をして、常にそちらを向いて行動すること。
そして、現場で起こっている『事実』について、それを観て確認する。
必要があれば、早期に修正指示する。
という、行動を取ることを癖付けすることです。
答えは、現場に有ります。
現場を観ないで、論議しても無駄です。
現時に、誤った指示を出してしまうことにもなりかねません。
現場力を上げるためには、
マネジメント層が、『現場を観る目と力』を身に付けることが、重要です。
それが解らなければ、勉強することが責務です。
言い訳をしていられません。