コンセプトを立てたら、客層が完全に変わって、売上が大きく上がった! 【リニュアル・オープン支援コンサルティング】
スーパーマーケットにおいて利益率の高い商品とはどのような種類のものでしょうか? 商品群別の目標利益率をベースとして紹介するとともに、目標利益率や相場に惑わされずにきちんと利益をとることができる事例を紹介します。野菜の原価率や平均値に惑わされてはいけません。
目次
スーパーマーケットの商品別利益率
どのような商売であれ、利益を上げ続けていくためには、単純に売上を作ればよいわけではありません。利益が低い商品ばかりで売り上げを作ったとしても、人件費や設備費、輸送費などを考えればかえってマイナスになってしまう可能性もあります。売れれば売れるほど赤字が膨れ上がるといった現象は、決して珍しいことではないのです。
安定して利益を上げ続けるためには、単純に売上を作るのではなく、できるだけ利益率の高い商品を売るようにしていかなくてはなりません。そして、そのためにはどの商品が利益率が高いのかを知る必要があります。
ここでは、全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体が2020年10月に発表した、「2020年スーパーマーケット年次統計調査報告書」。ここで紹介されているスーパーマーケットの商品別目標利益率(平均値)を「青果」「水産」「畜産」「惣菜」「日配品」「一般食品」「非食品」の7種目に分けて紹介します。
青果の利益率
ここでの青果は、野菜類・果実類・花の3品目を指します。これらの目標利益率は、22.8%(2020年・2019年)、22.9%(2018年)です。
保有店舗数別で見ると、1~3店舗で23.7%と若干高めで、保有店舗数が増えていくごとに減少していき、51店舗以上では20.4%と少し低い数字となっています。
また、売場規模別で見ても、小規模店舗中心型では23.8%、大規模店舗中心型では20.4%と小規模店舗中心型のほうが高い数字です。これらの結果から、幅広くチェーン展開をしておらず、店舗面積も小さいスーパーマーケットほど、青果の目標利益率を高く設定していることがわかります。
そして都市圏と地方圏で比較すると、都市圏が23.5%、地方圏が22.4%と、都市圏のほうが目標利益率を高く設定しています。
水産の利益率
水産は、魚介類のほか、干物や西京漬けなどの塩干物が含まれます。これらの目標利益率は、28.2%(2020年)、27.8%(2019年)、28.2%(2018年)です。青果よりも約5%高く、全体でも3番目に高い数字となっています。
保有店舗数別で見ても、青果のように店舗数が少ないほうが高く、店舗数が多いほうが少ないといったことはありません。最も高いのは4~10店舗の28.6%、次いで26~50店舗の28.1%とまばらな結果です。
売場規模では、小規模店舗中心型と中規模店舗中心型が28.3%、大規模店舗中心型27.2%と約1%の違いがありますが、これも青果と比べるとそれほど大きな違いではありません。
そして、都市圏と地方圏ではどちらも28.1%とこれも同じ結果となっています。これらの結果から、水産は保有店舗数、売場規模、都市区分ではそれほど大きな違いはなく、どこも同じような目標利益率を設定しているといえるでしょう。
畜産の利益率
畜産は、食肉類のほか、ハムやベーコンなどの肉加工品が含まれます。これらの目標利益率は、28.4%(2020年)、28.5%(2019年)、29.0%(2018年)です。水産とほぼ同じ数字で、全体では2番目に高い数字となっています。
保有店舗数で見ても、水産と同じような傾向です。最も高いのは、26~50店舗の29.5%、次いで4~10店舗の29.1%、最も低いのが51店舗以上の27.4%です。
また売場規模で見ても、大規模店舗中心型と小規模店舗中心型が28.5%、中規模店舗中心型が28.4%と、水産以上に違いがありません。
ただ都市区分で見ると、青果と同様に都市圏で29.2%、地方圏で28.3%と都市圏のほうが約1%高いという結果となっています。
惣菜の利益率
惣菜は種類が多く、惣菜、折詰料理、揚物、弁当、おにぎり、寿司、インストアベーカリー、ファーストフードなどを指します。これらの目標利益率は、36.6%(2020年)、36.3%(2019年)、37.3%(2018年)です。通年、30%を超える唯一のカテゴリーで、全体で最も高い数字を示しています。
保有店舗数で見ると、最も高いのは1~3店舗の37.1%。次に高いのが51店舗以上の36.8%と両極端の規模数のスーパーマーケットが1位、2位という結果です。ただし、最も低い数字は11~25店舗の35.7%ですから、1位と2%も離れていないため、全体としてそれほど大きな違いはありません。
売場規模で見ると、最も高いのは大規模店舗中心型の37.7%、次いで中規模店舗中心型の36.8%、小規模店舗中心型の36.0%と続いています。これらの結果から、保有店舗数の違いというよりは、売場規模の大きな店舗ほど、惣菜を販売する面積を多く取り、力を入れて販売しているのではないかと推測できます。
ちなみに都市圏と地方圏ではどちらも36.5%と変わらず、ここでは特に差異はないようです。
日用品の利益率
日用品は最も種類が多く、豆腐、こんにゃく、納豆、練製品、佃煮、漬物、パン、卵、乳製品、生菓子、冷凍食品、アイスクリームなどを指します。これらの目標利益率は、22.8%(2020年)、22.4%(2019年)、22.7%(2018年)です。2020年に関しては青果と同じ数字ですが、3年間で見ると青果よりも若干低く、全体では5番目となります。
日用品は保有店舗数が多いほど、目標利益率も高く、51店舗以上で24.4%、次いで26~50店舗で23.7%となっています。最も低いのは4~10店舗の22.0%で、ここだけ1~3店舗のほうが高い数字(22.7%)ですが、全体としては、保有店舗数が多いほど目標利益率も高いといえるでしょう。
売場規模では、中規模店舗中心型が最も高い数字(22.9%)です。ただし、大規模店舗中心型(22.6%)、小規模店舗中心型(22.8%)と0.1~0.3%の違いしかありません。都市区分でも都市圏(23.3%)、地方圏(22.8%)と大きな差異はありません。
一般食品の利益率
一般食品は、食品調味料、瓶缶詰、乾物、米、小麦粉、乾麺、嗜好品、菓子、酒類などを指します。これらの目標利益率は、19.3%(2020年)、18.9%(2019年)、18.3%(2018年)です。唯一、目標利益率が20%を割っていて、全体でも最も低い目標利益率です。
保有店舗数で見ると、最も高いのは1~3店舗の19.9%で、次いで11~25店舗の19.5%、50店舗以上の19.1%と続いています。また、売場規模で見ても最も高いのは、小規模店舗中心型の20.1%で、次いで中規模店舗中心型の19.0%です。
この結果から、店舗数が少なく、売場規模も小さいスーパーマーケットが最も一般食品の目標利益率を高く設定していることがわかります。ちなみに都市区分で見ると、都市圏が20.4%、地方圏が18.8%となっています。
非食品の利益率
非食品は、日用雑貨品、医薬・化粧品、家具インテリア、家電製品、婦人衣料、紳士衣料、文具、玩具などを指します。これらの目標利益率は、20.5%(2020年)、20.4%(2019年)、20.2%(2018年)です。どの年もかろうじて20%を超えていますが、全体としては、7種目中6番目と低い数字となっています。
保有店舗数で見ると、50店舗以上が最も高く23.6%、次いで11~25店舗が21.0%、最も低いのが4~10店舗の19.4%です。売場規模で見ると、小規模店舗中心型が20.8%、次いで大規模店舗中心型が20.5%、中規模店舗中心型が20.4%となっています。
保有店舗数では、大手のスーパーマーケットのほうが高い数字設定をしていますが、売場規模で見ると、小規模店舗中心型のほうが高く設定しているという結果です。ちなみに都市区分では、都市圏が21.5%、地方圏が20.3%と都市圏のほうが高い数字となっています。
全体として、最も高い目標利益率を設定しているのは、「惣菜」。次いで「畜産」「水産」と続いています。3年間で見てもこの順位は変わらないため、基本的にこれが一般的なスーパーマーケットの利益率を表していると言えるでしょう。
青果に比べ、惣菜が高い利益率となっている最大の理由は、年間を通して大きな価格変動がないことが挙げられます。青果のような生鮮食品は、どうしても年によって不作・豊作があり、価格が一定ではありません。これに対し、惣菜も生鮮食品が具材であることは確かですが、基本的には加工食品のため、状況に応じて臨機応変にメニューの変更が可能です。生鮮食品のように「それだけしかない」といったことがないうえ、加工次第で価格設定も柔軟に行えるため、利益率も高く設定できると考えられます。
野菜、果物の目標粗利益率を信じないことが重要
スーパーマーケットの業界では、青果部門の粗利益は「野菜で24~25%、果物が22~24%程度」という人が多くいます。
しかし、これって本当でしょうか?実は、これは、あまり根拠のない「業界の常識」です。
例えば、
①仕入れ原価、商品のグレード(等階級)、品種などの商品戦略の違い
②人件費、地代家賃、販促費などの固定経費(率)の違い
③コンセプト、戦略、戦術などの戦い方の違い
などなど、売価を決めるためには、値入れも、粗利益計画も違って当たり前なのです。
また、
④数量管理や品質間の出来不出来
によって、チャンスロスや商品ロスも店舗によって、2~3%の差は、実際に幾らでもあります。
ですから、営業利益のことを考えれば、企業別、店別、部門別に粗利益計画が違って当たり前なのです。
更に、マーケティング力で、売価をコントロール(高める)することは簡単に出来ます。
事例:野菜の粗利益率37.1%のスーパーマーケット
昨年12月、弊社クライアントの基幹店舗で、野菜部門の粗利益率が37.1%を記録しました。この冬、「相場が安くて売上が上がりません」という、悩みの声を多く聞きます。
しかし、それは、当たり前のことであり、基本的には何の問題も無いことです。
単純なことですが、そのうち相場は間違いなく上がります。
そして、これからも、相場は上がったり下がったりを繰り返します。過去もそうです。
今回のような相場安の時に重要なことは、粗利益高を落とさないことです。
この店舗の競合店は、すぐ近くにあるローカルチェーンのスーパーマーケット、ドラッグストアでは、地域の単独店が1店、ローカルチェーン1店、上場企業1店と、競合店が多く有ります。地方のスーパーマーケットにしては、なかなか厳しい競合状況です。
その中で、以下の表が、その青果部門の12月の実績数値になります。
売上高の前年対比は、88.6%と、相場安を受けて苦戦しています。
しかし、粗利益率37.1%と健闘して、粗利益高の前年対比は、107.8%と前年を大きく上回りました。
利益率は店舗の運営で変化する
粗利益は、コンセプト、戦略、マーケティング、そして、オペレーション、個人スキルなどで、どのようにも変わります。
『限界』を決めるのは、自分自身の過去の経験則であり、業界常識という考え方です。
多くの人が、「こんなものだ」と勝手に思い込んでいます。
この店舗では、
①出来る限り高い鮮度をお客に体感してもらう
②果物やトマトなどは、味の良いものを体感してもらう
ことをコンセプト(思い)として活動しています。
そのためには、これまで甘くなっていた、
①商品管理や数量管理の基本を徹底する
②プロの目で、品質をチェックして、早期に見切り販売する
③味を吟味して、基準以下のものは仕入れ(販売)しない
など、「当たり前」を実行しているのです。
そして、商品の持つ価値を、お客に情報として伝える努力を徹底して行うことによって、お客の信頼、信用のレベルを少しずつ上げて行っています。
野菜の相場が安い時は売上高を追わないこと
野菜の相場が安い場合の対策としては、
①目先の売上を追わない
②基本的に市場から品質の高い商品を仕入れて販売すること
が鉄則です。
大切なことは、お客に、野菜の高品質をアピールして、それを実感してもらうことです。
決して、安物を仕入れて、目先の売上を追ってはいけません。
結果が出ないチームは、このことを理解していないのです。
売上高が前年を割っても、販売数量が伸びて、粗利益高が前年並みか、それ以上であれば何の問題も無いのです。
売上高を追って、粗利益額を下げてしまえば、前年の粗利益高を達成するために、その後にそれを補填するために値入をアップすることが必要になってきます。
高利益率の部門の支持率を上げていく施策を
とは言え、売上高は前年値を割っています。
今後は、お客の支持の高い商品を、計画的に安く販売して、野菜全体の支持率を上げていくことが大切です。
また、味に自信がある商品を試食販売などでアピールして、売上高をアップさせることも考えて行く必要があります。
そのことによって、更に部門のファンを獲得すことを考えます。
何れにしても、一度高粗利率を実現できれば、それが彼らの能力となり、今後粗利益が低下することは無いと思います。
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