スーパーの売上を上げる8施策まとめ 買い上げ点数を上げ、客単価向上を目指せ
早いもので今年も11月。あっと言う間に年末がやって来る。
スーパーマーケットに於いては、クリスマスの売場づくり、年末年始商戦のMD計画と忙しいこの時季です。
クリスマス商戦やおせち料理の予約などは、競合スーパーはもとより、コンビニエンスストアなども大いに頑張っています。予約用のカタログを見ても素晴らしいものが有ります。
特に、大手コンビニエンスストアのものは、何と言っても、信用のブランド力がものを言います。
その様な中、地域のスーパーマーケットは、どのように戦略を立てて、販売計画書をつくり、売上を確保すれば良いのでしょうか。
今月は、客単価アップに焦点を当て、『売場づくりの4P』を活用した、売場の展開販売計画書の作り方について解説していきます。
客単価を上げる『売場づくりの4P』
マーケティングの4Pは、製品開発(Product)や価格設定(Price)、流通チャネルの選定(Place)、そして、イベントやキャンペーン、各種広告などのプロモーション(Promotion)のことです。
この4つのPをミックスして、ターゲット市場に対して、売上拡大のためのマーケティング(=売れる仕組み)をつくり上げていくのです。
これを、売場づくりに応用して実践するのが、『売場づくりの4P』です。
1.商品/製品/企画テーマ(Product) ・・・・・・・ 何を売るか?
2.展開場所(Place) ・・・・・・・・・・・・・・・どこで売るのか?
3.販促活動(Promotion) ・・・・・・・・・・・・・どのように売るのか?
4.価格(Price) ・・・・・・・・・・・・・・・・・いくらで売るのか?
の4つのPを、戦略的に活用することです。
この4つのPを、物理的に限られた売場の中で、どの様に組み合わせるかで、客単価は変わるのです。
【参考資料】
客単価を高める“売場づくりの4P” 【商人舎WEBコンテンツ 2017年09月】
https://magazine.shoninsha.co.jp/magazine_content/m_serial201709/76412
客数が増えなくても、売上げを上げるには‼
売上を上げるためには、
①客数を増やす
②客単価を増やす
③来店頻度を増やす
の3つの中で、何を増やすか、です。
売場づくりの4Pは、「客数を増やさずに(増えなくても)売上げを上げる」ための実践型マーケティングの戦略ツールです。
特に、②の客単価を増やすことに注力します。そして、その実践によって結果的に、③の来店頻度を増やす。ことにも繋がります。
いつもと同じ来店客数でも、一品単価や買い上げ点数を増やして、客単価をアップさせることによって、売上げをアップさせることが出来ます。
そのためには、重点商品(企画)を中心に、優先的に販促のアプローチを掛けます。結果的に生産性もアップすることに繋がります。
競合店と大して違いのない商品を、他者と同じような売り方をしているようでは、客単価を上げることは難しいと言えます。むしろ低下することになるでしょう。
年末商戦では、特にパーティー用食材やお節料理材料など、お客の支持の高い商品(カテゴリー)に集中してプロモーションを仕掛けることで、売場のメリハリをつけて賑わい感を出して、売場を活性化させます。
2つのシートで売り場を科学する
計画書は、種類や枚数が多くて、厚ければ良いというものでは有りません。
大切なことは、中身(質)が問題であり、売場の実効性が高く、結果が出せるかです。
例えば、「経験の浅い担当者でも、ある程度の結果を残せるか」ということです。ですから、計画書の中身が問われるところです。
実際に、クライアントの現場で使ってもらっている『展開計画書』のシートが、下記のものです。
細部については、個々に応用して修正して使ってもらえば良いと思いますが、ここでは基本的な考えを理解してもらいたいと思います。
それと、展開計画書を作る上で最も重要であることは、
①実行した結果から、如何に定量データと定性データを導き出すか
②①から、評価検証を加えて、次の実行機会の計画に対して、バージョンアップを行えるか
ということです。
ここのところが理解されていないと、計画に多くの時間を取られるばかりで、結果が期待できない計画書が出来上がってしまうことになるのです。
P-D-C-Aサイクルの“効果的に回す”
PDCAサイクルとは、
・Plan・・・目標をもとに、それを達成するための計画を立てる
・Do・・・計画をもとに、現場で実行する
・Check・・・実行したことの評価検証を行う
・Action・・・次の実行機会のために、実行結果の課題点の改善を加えて更に進化させる
ことです。
特に、盆商戦や年末年始商戦など、売上規模の大きい営業戦略上重要な販売計画については、CheckとActionが重要な意味を持つことになります。
ここのところの出来は、売上や利益に大いに関わることは勿論のこと、効果的な人員計画や経費計画などへも関わることになります。
CheckとActionの検証シート
計画書の類は、目で見て大まかな内容が理解できることが、重要なポイントとなります。
もっと具体的に言えば、経験の浅い社員でも、実行出来るということが望ましいと言えます。
そのためには、
定量データと定性データが、簡潔にポイントを押さえてまとめられていることが必要となります。
下の表1と表2は、盆商戦の評価検証シートの実例です。
表1は、売場の実行レイアウトと売上の検証シート。
表2は、売場づくりの4Pを活用した検証シートです。
(表1と表2の各カテゴリーの売上高の差は、検証期間の違い)
【表1】実行レイアウトと売上の検証シート
<押さえておきたいポイント>
①実寸の縮小版に近いレイアウト図であること
②各重点アイテム(カテゴリー)の優先的マグネット展開する
③ 〃 の売上高と前年対比を表記する
④表2から、各アイテムの売上高の数値をコピーする(表計算ソフトを活用してリンクさせる)
【表2】売場づくりの4Pを活用した検証シート
<押さえておきたいポイント>
①各重点アイテム(カテゴリー)別にグルーピングする
②POSデータから、対象期間の日別実績(売上高と販売点数)を入力する
③②の売上合計金額をカテゴリー別に算出する
④各重点アイテム(カテゴリー)の課題と対策などを、大小すべて書き出す
ex.商品の品質やグレード、発注や納品、作業計画や人員配置、売場状況など
⑤売場や商品の写真を添付する(必要に応じて解説を入れる)
売場づくりの4P・販売計画の作成
上記の表1と表2のように、CheckとActionの検証シートが出来ていれば、販売計画書は、八割方出来上がったと言っても良いと思います。
下の表3が、展開販売計画書(売場づくりの4P計画シート)になります。
作成方法としては、
①表2から、対象カテゴリー、販売品目、販売実績、特記事項など、表計算ソフトの機能を利用してコピーする
②計画時の競合状況や市場環境の変化などを勘案して、必要に応じて、適宜加筆修正をおこなう
【表3】売場づくりの4P計画シート・事例
売り場展開計画(陳列指示書)の作成
次は、売場の実行レイアウト計画です。
各マグネットに、重点カテゴリー(アイテム)を配置していきます。
作成方法としては、
①上記、表1の実績シートを、表計算ソフトを利用して、コピーする
②実績(売上高や前年対比など)、マグネットの強弱(通過率、視認率など)から、必要に応じて展開位置を変更する
③定性データを中心に、特記事項を記入する
④売場展開期間に分けて作成する
ex.・21日~25日・クリスマスの展開
・26日~29日・日持ち食材の展開
・30日~31日・際物食材の展開
・その他
【表4】グロサリー部門・陳列指示書・事例
【表5】惣菜部門・陳列指示書・事例
【表6】鮮魚部門・陳列指示書・事例
「売場から逆算して考える」癖をつける
これまで、数多くの計画書を見て来ましたが、思いのある売場(レイアウト)になっていないことや、そもそも無い場合も多く有ります。
「なかなか結果が出せない」や「結果が安定しない」ということの原因の一つでもあると思います。
お客との接点は、売場であり、そもそも買う側に立って売場(買い場)を考えることは、マーケティング戦略上、大変重要なことであり、当たり前のことです。
そこで検証を加えることの癖付けが、販売戦略上重要な行動であると言えます。
課題解決の答えは、現場に有るのです。
作る時間よりも、戦略を考える時間に重点を置く
先述したように、計画書自体を作ることは、表計算ソフトを使えば、意外に短時間で且つ簡単に出来上がります。
ですから、その分、分析や調査など、「営業戦略の質を高める」ことの時間を多くすることを考えるべきです。
・商品計画(新規導入、グレード、数量、商品化・・・)
・各マグネットとカテゴリー(商品)展開、優先順位
・プロモーション(店内、店外全般)
・価格(価値)設定
・効果的人員計画
・競合店対策(差別化)
・市場調査
などなど・・・。
ここに時間を掛けることが、営業利益を拡大することに繋がるのです。
■商人舎WEBコンテンツ11月号
■ 『スーパーの経営戦略』 その他の参考記事
参考記事はこちらから、ご覧ください ⇒ スーパーの経営戦略
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