徹底した“高鮮度”を売ることで地域一番店になる!
輸入食品をほとんど取り扱っていない、また、売り込んでみたことがないという店舗は、是非ともチャレンジしてもらいたいカテゴリーである。
それは、楽しさ、美味しさ、新奇性など、『面白さを感じる店には、お客は集まる』ということと、取り組むことによって、担当者のマーケティングの力が向上すること。そして、輸入食品以外の『こだわり品』などを売ることにも、大いに技術の応用が出来るからである。
定番(ドレッシング・オリーブオイル)
ゴールデンライン1、2段で展開(関連陳列)
コンセプトを持った企業は、何年も前から取り組んでいる
一般のスーパーマーケットで輸入食品を扱い始めたのは、25年前くらいからで、卸問屋が取り扱う輸入食品を、定番売場に缶詰数品、オリーブオイル数品陳列すると言う程度の品揃えだった。
当時の輸入食品は、輸入食品専門店や高級酒店、高級スーパーなどで販売されていた。一般のスーパーマーケットは、まだまだ、低価格大量販売の時代で、輸入食品や菓子といえば、東南アジアの価格の安い商品を販売して、品質、安全に不安がある商品を販売していた店舗も少なくなく、あまり良いイメージがなかった時代である。
やがてバブル期が到来して、お店を高級(質)化する店舗も出始めた。この頃から輸入食品や菓子の導入する店が増え始めた。ただ輸入食品を定番ゴンドラ1本、菓子ゴンドラを1本程度の少ない中途半端な品揃えでは、思うような結果が出せず、やがて売場から消えて行く店も少なくなかった。
そして現在、パソコンとスマートフォンの普及によって、都市部と地方の情報格差が確実に縮まった。ところが、実際に買い物にいった店舗には、物がないという体験をしているお客は多い。
お客の持っているニーズと、お客の利用する店舗の品揃えとのギャップ。実は、そこに大きな商機が隠れているのである。
北海道の片田舎、オリーブの実の瓶詰めが欠品
もう、15年以上も前のことである。北海道の田舎町の小さなスーパーマーケット。定番の棚の上段に目をやると、オリーブの実の瓶詰めが、2、3本になって、売り切れ寸前になっていた。
私は、「なぜ・・・こんな田舎町で売れているのか・・・?」と思わずハットさせられた。
間違いなく、そこには確かなニーズがある。そう思った私は、女性週刊誌に載っていた輸入スパムの特集記事を見て、スパムの販売実験をしてみたくなった。女性週刊誌には、おにぎりや炒め物、サラダなど、スパムを使った20~30種類のメニューが載っていた。
早速、クライアントに話を付けて、価格条件の出るロット(20ケース)を問屋から仕入れて、陳列演出をした。販促ツールは、その女性週刊誌だけである。
結果は、大いに売れて、短期間に3回の再発注を掛けて、見事に売り切ることができた。
(その商品が)「私に、どんな良い経験をさせてくれるの・・・?」というお客の声に対して、売る側が、明確なアイデア(提案)を出すことが出来れば、商品は安くなくても売れるのである。
そこには、売れる店、売れない店という定義は働かない。売る人、売らない人がいるだけである。
売る側のマーケティング力が低く、お客に対して機能的価値(物として)しか提供できなければ、お客の購買行動は起こらない。
特に、女性客の行動を理解していない、スーパーマーケットの男性従業員(オーナーも含めて)は少なくない。
“需要の創造”という言葉がある。
お客の「欲しい」に答える商売もあるが、「こんなもの欲しかった」を気付かせてあげることが、売る側、買う側双方に対して、商売を楽しくさせてくれる。
お客の『買いたくなる』という心理に答えることができれば、そのモノやサービスは、意外に簡単に売れる。しかも、適正値入れを実現して。
とにかく全員で試食する・・・全員が営業マン
輸入品だからといって、特別に考える必要はない。
国産品でも、こだわって作っていて、単価の高い商品は幾らでもある。
品質が良く、美味しければ売れば良い。他の競合店が扱っていなければ、お客に奨めるべきである。それが、私たちの重要な仕事なのであるから・・・。
価格には、絶対価格と相対価格がある。価格競争で喘いでいる店は、コモディティ(NBなど大衆化された商品群)を中心に品揃えして、絶対価格の商売をしている。
こだわり品や品質の良い輸入品は、お客の価値観に訴えて、相対価格(商品価値優先)で勝負する商品群である。この原理原則を理解して、品揃えとプロモーションを行う必要がある。
(過去に)「やったけど売れなかった」という意見を、今まで耳にタコができるほど聞いている。
でも、そういう店舗は、結局、「何もやっていない」か「やり方が悪い」だけなのである。
「何を」売るかも重要であるが、それ以上に、「どう売る」かが、結果を大きく左右し、今後、厳しい競争の中で重要な要素となることは、間違いない。
ワクワク感の演出で稼ぐ ・・・バレンタイン、クリスマス、ハロウィン、そして、コストコ・フェア
ワクワクするような非日常感のある売り場の前で、めちゃくちゃ興奮した経験は無いだろうか。有るなら、その時のことを思い出して欲しい。
早く友達に教えたい、話したくてしょうがなかった経験。そういう売場を作るのに、輸入食品は、もってこいのアイテム群である。
ハロウィン:輸入菓子の他にも雑貨を使って、華やかさを感じさせる演出を施す。
販売の仕方として、定番とイベント企画に大きく分かれるが、定番は、ゴールデン・ラインをフルに活用して、価値や情報(こだわりや使い方など)を伝えるPOPと、スポッターを取り付けて、視認率を上げて売場を完成させる。調味料などは、用途関連を徹底させることも忘れてはならない。
また、菓子は、お客の反応が早いので、ゴンドラ2台3台と定番の展開でもOKである。
バレンタイン、クリスマス、ハロウィン、そして、コストコ・フェアなどのイベントは、視認率が高く、通過率の高い主要通路で展開することが、企画の成功の確立を高めるために、最も重要である。
そして、プロモーション手法として、取り扱いのお知らせをする、新聞折込みチラシや、ポスティング・チラシへの掲載。店内では、POPや試食販売で、顧客にダイレクトに訴えることが、大きな成果に繋がることを良く理解しておいて欲しい。
過去の経験からいうと、従来の品揃え商品に加え、輸入菓子を新規に導入して、バレンタインやクリスマス、ハロウィン、のイベントを実践した店舗では、企画の売上が、前年比150~200%程度、確実に伸びている。
そして、高級感のあるラッピングのサービスやワインと菓子の詰め合わせなどを商品化したりして、プロモーションの幅を広げていくことは、大変有効である。
バレンタインデー:柱を利用して、レジ前特設台で展開(国内産+輸入品)。
(女性パート社員が陳列を担当した事例)
例えば、バレンタイン企画で、それまで、友チョコや義理チョコなどのアイテムの他に、ご褒美チョコや夫婦間のプレゼントというような、高級チョコレートなどを売り場に投入して、新たなターゲットを設定することによって、新たなニーズ(売上)を創出することができるのである。これが、『顧客の創造』である。
コストコフェア:女性誌などで話題になることも多いコストコ商品。
「近所にコストコがない」という地域は少なくない。年会費なしで気軽に楽しめる
という点でもイベント性は高い。
POPと試食販売、メニュー提案が効果的
販売(企画)を成功させるためには、マーケティングの原理原則を理解している方が断然有利である。
まず、フロント・エンド(集客の仕組み)とバック・エンド(儲けの仕組み)である。
先ほど説明したように、フロント・エンドとして、チラシなどの活用により、特売や楽しさの演出により、集客率を上げること。そして、バック・エンドとして、商品やイベント企画を、お客に『強く訴える売場作り』をすることが重要である。
インストア(バック・エンド)においては、『売り場づくりの4P』を良く理解して、確実に現場で実行することが、高い成果を生むことになる。
①良い商品(Product)、
②良い場所(Place)、
③良いプロモーション(Promotion)、
そして、
④価格(Price)(値ごろ感)が4Pである。
良い商品だけでは売れない。良い商品×良いマーケティングで商品は売れるのである。
お客が、「買いたくなる・・・」「買ってしまう・・・」心理につながる、『価値提案』の中身で購買につながるのであるから、美味しさやこだわり、生産者の思いや歴史などのストーリーの価値、使い方やレシピーなど、あらゆる商品情報(価値)を伝えることが欠かせない。
定番で加工食品を展開。
上部は、「楽しさ」を感じさせる、陳列演出を施し、お客の目を引くようにする。
《輸入食品の販売ポイント》
①商品に興味を持つ(持つ人が担当する)
②商品知識を付ける(生産国、品質、安全、味、取り扱い方など)
③商品を伝える、先ずは仲間に、そして、お客様に!
④商品にPOPを付けて、ワンポイントでコメントを伝える(アップ・セル:単価を上げる)
⇒キャッチコピー(立ち寄り率を上げる)+ボディ(特徴、証拠などを伝える)
⑤試食、試飲を実施して、商品そのものを実際にお客様に食べて(飲んで)もらい、安全性、健康性、
利便性、希少性、機能性、などの価値情報を同時に伝える
⑥単品売りではなく、『輸入チーズとワイン』など生活提案を行い、客単価を上げる(クロス・セル)
⑦販売時における接客応対を通じて、店の考え、ポリシー、今後の方向性をお客様にアピールする。
⑧接客時のお客様の声を参考にして、今後の新しいプロモーション・ツールを作り上げる
⑨定番ゴンドラの陳列は、ゴールデンゾーンで、フェースをダイナミックに陳列する
⑩お客が欲しくなるような、『話題性』や『美味しい、楽しい、面白い』という様な、『情緒的価値』を伝える
⑪売れ筋を中心に欠品を起こさないこと。
⇒余りもの感のある売り場では、お客の支持も得ず、売上も粗利益も上がらない
⑫売り場のメンテナンスを徹底する(陳列演出、日付管理、クリンリネスなど)
専門店と同居、または、競合する際の、売り方
販売数を伸ばしたければ、試食、試飲を戦略的、計画的に実施する。
例えば、チーズは、試食は勿論、ワインとの相性などを伝え、クロス・セル(関連販売、客単価アップ)を考えて提案する。
調味料は、店内の生鮮品などの食材を使って、メニュー提案する。
いずれの場合も、商品の持つストーリーを伝えることや、価値観・・・・・と言った感情に訴える仕掛けで、お客の購買心理に火をつける取り組みが、結果を大きく変えることになる。このことを原理原則として理解してもらいたい。
「商品を売るのではない・・・」
「高いから売れないのではない・・・」
「お客は自分へのベネフィット(得)を感じなければ買わない」と、考えて行動するべきである。
「楽しく食べる(使う)」コツ。それを「教えいくれる店」には、お客は期待感をもって集まる。
ストックの補充という、機能的価値だけではなく、「生活を楽しみたい」、「豊かにしたい」という情緒的価値を理解した、コンセプトを持った取り組みが、大きな成果に繋がってくる。
もう一度いうが、高いから売れないのではない。価値を感じられないから買わない。
経験の浅い、マーケティングの勉強不足の担当者だから売れないのである。
「競合店が有るから・・・」などは、努力の足りなさの言い訳でしかない。
売れる店は、
①陳列ゴンドラが輸入食品を3本~4本
パスタ、パスタソース、スパゲッティーも品質の良い価格の高い物と価格の安い物、オリーブオイル、スパイス、
タコス、ピクルス、缶詰など
②嗜好品2本
コーヒー、紅茶、ハーブ、砂糖など
③ジャム1本
ジャム、定番、特売、メイプルシロップなど
④輸入菓子3~5本
チョコレート、キャンデー、ミント、グミ、マシュマロ、クッキーなど
というように、ゴンゴラ本数10本程度の展開をしている。
売場作りでは、
①楽しく、ウキウキした売場の提案
・レンガやカゴ、箱、紙パッキン、ディスプレ備品などを利用して楽しさを演出する
・POPも商品毎にコメントを付けてアピールする
②陳列時には、パート社員、アルバイト社員も一緒に陳列
・陳列しながら商品の特徴、美味しさ、販売の仕方、他店での販売例を聞かせる
・発注する担当者(パート社員)には、発注の仕方まで丁寧に教える
③全従業員で試食会を実施
・商品の良さを共有する
・お客に伝える力を付ける(信頼・信用)
④女性従業員の参加を促す
・①~③の項目に渡って、女性従業員の意見や情報を吸い上げて売場作りに反映させる
などを行うことは、成功確率を更に高めることになる。
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