15時の鮮度チェックが、売上と生産性と営業利益を大幅にアップさせる! スーパーマーケット重要戦略
中小零細企業の多くは、数字に弱い。
本質的な数字の持つ意味を正しく理解していない。(大手でも・・・)
ある訪問先で、
「生鮮部門の、毎月の在庫金額を把握するように、店長に指示しています」と、本部の部長からの話があった。
私は、
「金額で、問題(成否)が解りますか?」と切り返したら、
部長は、
「・・・・・?」
私は、
「ほとんど意味を持たないと思いますよ」
「在庫は、現場で現物を視て、内容を確認することが重要です」
と答えた。
データは、現場の本質を良く熟知した人が見ると、一つの仮説を設定するツールになることは確かである。
しかし、あくまでも仮説の範囲内である。
良いか悪いかを判断してはいけない。
現場の状態を視ず、数字しか見ていない場合の、商品回転率、回転日数などは、全く何の役に立たない。逆に、誤った指示を現場に伝えることにもなりかねない。
データの無力さ・・・
単純な話、
土曜日に棚卸をしたら二日分の在庫であるし、土日の売上が高い店舗の場合は、二日分では済まない。
また、
在庫は、量や金額ではなく、中身やその質が問題なのである。
理念を理解していない店は、棚卸し前になったら発注を控え、在庫金額を減らそうとする。
結果として、欠品が起こることも少なくない。
この様な店の棚卸の時の在庫は、売れ筋が少なく、回転の悪いB~Cランクの在庫比率が高い状態となる。平常から在庫過多で、当然、品質の低下(日付が古い)した商品が多く、商品ロスも多い。
本質を理解している店の在庫は、平常時は、ほとんど(量的に)適正に保たれていて、棚卸だからといって発注を抑えたりはしない。
欠品には罪悪感を持ち、お客様にご迷惑をお掛けしないことを優先する。
数字に頼る、多くの弊害
このように、机上でのデータのやり取りだけで議論をすると、多くの場合間違った見解を導き出すことも多くなる。
スーパーマーケットの場合、今後、厳しい競争の中で勝ち残るためには、生鮮品の鮮度と品質が勝負である。
この場合在庫は、戦略上、どれくらい高い品質を設定するかということになる。
葉物は、カット商品は、揚げ物はというように、日、時間、そして目利きで管理される。
野菜などは特に、市場の相場の騰落で、金額ベースが大きく変化するという特徴もある。
また、グロサリーで、賞味期限の長い商品で、売れ筋の場合。
フェイシングの拡大を行い、陳列増量を増やして、回転率を落とし、発注回数と補充回数を減らす工夫が生産性を高めることになる。
以上のことは、一例に過ぎないが、机上の数字では、ほとんど見えてこないことであるし、見方を間違えば、間違った指示を出ししまうことにもなりかねない。
現場を視て、あるべき標準を設定する
在庫予算を設定することは大切なことである。
しかし、最も重要なことは、その内容をしっかりと全員が把握して、ことに当たることが最も重要である。
「野菜の相場が高騰し、結果的に金額ベースで在庫金額が多くなった」という様なことは、何の問題もない。
部門の売上規模にもよるが、
⇒B~Cランク品は、開店後、(売り場に出し切って)バックルームには在庫がない。
⇒商品毎に、在庫日数の設定されている。
⇒商品特性毎に、品質特性上、売り場の陳列量が大方決められている。
という様な数値目安の設定は、現場で工夫して行いたい。
これらが在庫管理の基本である。
そして、その総和が、あるべき在庫金額ということになる。
強い会社にするための在庫管理
不適切な在庫量は、機会ロス、商品ロスというような、商品に関わる多くのロスを発生させ、粗利益の低下を招く要因となる。
そして、意外に考えられていないことが、人時ロスである。
過剰であれば、荷受検品、商品移動、作り過ぎ、出し過ぎ、手直し加工、疲労など、多くのムダな人時投入を行うこととなる。
結果として人件費効率を落とし、営業利益の低下につながる。
このように、ムダな在庫、不適切な在庫量は、競争力を確実に低下させてしまう。
もう一度現場で、それぞれの在庫(陳列量も含む)について、深く検証し業務改善に繋げていただきたい。
改善できれば、多くの成果が感じられると思います。
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