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転抵当(てんていとう)とは?
抵当権を利用して他の債権を担保することをいいます。
すなわち、①被担保債権の存在を前提として、②債権者を転抵当権者とし、③抵当権を設定目的として、④設定者である抵当権者と転抵当権者とが締結する一種の抵当権設定契約です。
文字だけ読むと難しいので、具体例を挙げます。
AさんがBさんに1,000万円を10年後に返済の予定で貸し渡し、その担保としてBさんの自宅に1,000万円の抵当権を設定したとします。
その直後、Aさんの資金繰りが悪くなりお金(700万円)がどうしても必要になった場合、10年後に返済の約束で貸したBさんに対してすぐに返してくれとは言えません。
そこで、転抵当が活用できることになります。
AさんはCさんとの間で、AさんのBさんへの抵当権(1000万円のうち700万円分)を担保にすることを条件にCさんから700万円を借りることができました。
この時に、利用する登記を「転抵当」といい、抵当権に付記登記という形で登記されます。
転抵当の効果
転抵当が登記された後もB さんはAさんに債務を弁済することになり、Bさんから見た債権者はAさんのままです。
転抵当権が実行されるとBさんの不動産の売却代金からまずCさんが700万円分の配当を優先的に受けて残金があればAさんにも300万円が配当されます。
もちろん、抵当権を実行するためには、BさんのAに対する弁済期と、AさんのCに対する弁済期が到来していることが条件です。これは、Bさんが不利益を被らないようにするためです。
転抵当の便利さ
- 登記手続きにBさんの承諾はいりません。
- 登録免許税は1筆につき1000円(安いです)
- 抵当権の一部(1000万円のうち700万円)を目的にすることも可能。
- 共同担保の一部の不動産を目的とすることも可能
- 転抵当を更に転抵当することもできる。
しかしながら実際には『転抵当』はそこまで利用されていない制度です。
司法書士の目線からすると使い勝手の良い制度ですし、もっと気軽に利用されても良いのになと思っています。
利用されない理由は、制度に関する知名度の低さと、Aさんのような方がお金を借りる場合、他に資産を持っているケースが多いため、お金を貸そうという人はAさんの持つ不動産に直接抵当権を設定したいと考え、あえてAさんの持つBさんへの抵当権を担保にしたくないという債権者が多いのでしょう。
しかし、転抵当の場合、登録免許税は1筆につき1000円なので活用の余地は多いにあるはずです。活用するには債務者(Aさん側)からの積極的な提案交渉が必要ですね。
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【司法書士 山 添 健 志】
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