親族後見人 特有の留意点 ☆成年後見No.13⑦☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:親族後見人

誰だって、自分のことがどうなっているのかを知りたいと思うことは当然なことです。
親族後見人、保佐人、補助人(以下「後見人等」という)は、
本人を守ろう、本人のことは自分が一番知っていると思うあまり、
段取りよく、どんどん物事をはかどらせていくことが良いことだと考えてしまいがちではないでしょうか。
「私たちのことを私たち抜きで決めないで。」親族ならではの、留意すべきところです。

成年後見制度において、後見人等はあくまでも本人の良き代弁者に徹することが求められます。
本人は子どもではありません。
本人は、後見人等が全て相談なしに決定することを望んでいません。
成年後見制度は、本人が困っているところを後見人等が支援する制度です。
本人が自分の意思で判断できるよう助けることが、後見人等の役目です。

いちいち本人に相談しなくてもよい。
自分が、本人にとって一番良き理解者なのだから、本人の悪い様にするはずがない。
相談したって、本人は分からない。
そんな風に、思い込んでいませんか。

本人に相談なく本人のことを決めることは、後見人であってもできません。
本人に相談したら、意外な答えが返ってきたということがあります。

財産管理においても、本人は分からないと思うかもしれませんが、
それでも通帳や財産目録を見せてもらって、安心したい。
どこで暮らすかも、必ず本人の意向を確認してほしい。
そんな気持ちを、なかなか受け止めてもらえないという訴えを聞くことがあります。

例え、時間がかかったとしても、本人の意思決定を支援する過程を大切にすることが
重要なのではないでしょうか。
成年後見制度は、そういう制度です。

司法書士佐井惠子

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