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専門職後見人に辞めてもらいたい親族 ☆成年後見vol.13⑤☆

2016年6月29日

テーマ:親族後見人

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 成年後見 手続き

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
親族の方から、「裁判所が決めた後見人が、働かない。
今、財産がどうなっているか尋ねても、明らかにしてくれない。」という不満を聞くことがあります。
最後には、「外れやったわ。辞めてもらうには、どうすれば良い?」と、相談されます。
理由は、コミュニケーション不足だけでしょうか。

親族に、できるだけ関与してもらう体制を作ることが大切です。
「辞めてもらう」といっても、それなりの理由がなければ難しいことです。
選任した裁判所も、客観的に不適任であると判断するだけのことがなければ、解任はできないでしょう。
私は、可能であれば、親族自身が、もう一人の後見人となること。
専門職後見人に、追加して親族後見人の選任を裁判所に求めることを提案します。

確かに、専門職後見人の、親族とのコミュニケーションの取り方に原因がある場合も考えられます。
後見人の仕事は「財産管理」だけだと思っていれば、いちいち親族の協力を求める必要はありません。
「親族は、文句を言うだけ。」「後見業務について、何も、分かっていない。」
そんな風に考える、専門職後見人がいるかもしれません。
でも、ご本人の立場で考えれば、
後見人には、「良い身上監護」をするための「財産管理」を求めているのです。
「良い身上監護」をするためには、親族を通じて、ご本人を理解する努力が不可欠です。

一方で、後見人には、守秘義務があります。
親族だからと言って、誰にでも、本人の情報をオープンにはできません。
そこは、葛藤するところです。

私は、親族の方が、権限をもって、引き続き関与できる様に、
最初の申立時から相談いただいた場合には、親族後見人と専門職後見人の複数後見を
裁判所に求めることをお薦めしています。

それなら、仕事を続けながらでも関わることができますし、
財産状況を知ることも、後見業務を行うために必要なことですので、
専門職と情報を共有しながら相談できるメリットがあります。

専門職後見人が選ばれた後であっても、
やはり、親族として関わっていきたいという希望に対しては、
追加で、親族後見人の選任申立を行うことも可能です。

専門職後見人に、支払いや会計の記帳等の財産管理や、裁判所への報告等の対応を任せ、
親族後見人は、ご本人の身の回りの環境を整える「身上監護」を通じて、
専門職と情報を共有しながら
最期まで、ご本人らしい暮らしができるよう、支えていっていただきたいと思います。

私たちは、笑顔の和を広げます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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