保佐人の権限 基本形 ☆成年後見vol.11④☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
被保佐人には、生活費を受け取るための預金口座が必要でした。
「被保佐人は、預金通帳を持てない?」「そんな筈はない!」
そんなやりとりを、ある金融機関とすることとなりました。
保佐人は、民法13条1項に定められている「重要な法律行為」9項目に関する
同意権と取消権を有しています。(http://mbp-japan.com/osaka/sai-shihou/column/21699/)
これらについては、保佐人の同意がなければ、本人も、保佐人も、
その法律行為を取消すことができます。
もっとも、その法律行為は、取消すまでは有効です。
そして、「預貯金の払い戻し」は、この規定の「元本の領収又は利用」に該当します。
従って、保佐人が就任したからといって、金融機関は、当然に口座を凍結したり、
保佐人口座に変更して、以後、被保佐人が払い戻しをできないようにするのはおかしなことなのです。
例え、保佐人に預貯金の払い戻しができるよう代理権を付与する旨の審判がなされていても、
それが、被保佐人本人が、保佐人の同意のもと、預貯金の払い戻しをする妨げになるものではありません。
毎週1回の生活費の振込を受け取るための口座として、
被保佐人が管理して使うことを、保佐人は同意しています。
何度もやりとりを続け、ようやく、「この事例については認めます。」という結論となりました。
本当は、本人の能力を活かしながら財産を守る、優れた類型であるのですが、
後見と比べ、保佐という類型が普及していないためか、
なかなか、金融機関においても理解が進まず、エネルギーを要するところがあります。
私どものような専門職でさえ、こんな状況ですから、
保佐人に親族が就任した場合、後見類型と変わらないような運用になってしまいそうです。
そこを頑張って、無駄なエネルギーなしに制度が利用できるようにするのは、
やはり私ども専門職保佐人しかいないでしょう。
粘り強く、進めていきます。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755