「エンディングノート」をみた ☆遺言・相続vol.9⑨☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
家族の崩壊、急速な生涯未婚率の上昇という社会の変化の中、
本当に、親の成年後見人に子を選任するのが、その家族にとって最良の選択なのか。
そこまで、裁判所は判断すべきではないかと考えます。
2014年2月13日、中小企業家同友会の全国研修が広島で開催されました。
私は、その分科会「超高齢化社会と企業経営」に参加しました。
成年後見については自分がよほど実態を知っているつもりでいました。
ところが、社会の変化がそこまでとは。
介護の社会化と言われ、介護保険制度が制定され、親の介護は嫁の仕事といった世の中の風潮が、
ヘルパーさんの力を借りながら、息子や娘が中心となってあたるのが一般的と、
変わってきました。
その、介護保険制度と一緒にスタートした成年後見制度ですが、
最近でこそ、資産が高額である場合には、後見人を監督する監督人として第三者を選任したり、
後見人自体、第三者を選任することもありますが、
創設当時は、親族が後見人候補者として申し立てれば、親族間に異議がなければ、
基本的にはそのまま選任されていました。
まだまだ、財産の管理等には他人に関わってもらいたくないと家族は思っていますし、
裁判所も、家族で担うのが最善の策であるという認識であると思われます。
ところが、分科会報告では、「生涯未婚率すなわち50才時点での未婚率は、
2010年男性19.1%、女性9.9%。
親と同居する独身中年男性社員が増大し、介護問題が女性だけの問題ではなくなっている。
高齢の親と同居する働き盛りの男性社員が、突然、介護を理由に退職する。
企業にとっても、放っておけない社会問題である。」というものでした。
両親の離婚にあたり、未成年者の親権者を選任する際、
裁判所は、子どもを育てながら、生活を維持していけるのか?子どもの年齢は?
経験の積み重ねにより、到達した判断基準を持っています。
年老いた親を介護する子どもに、成年後見人としての任務を与えることが、
果たして、良い結果となるのかどうか。
職を失い、先の見えない介護に、閉鎖された家庭の中に親子ともに閉じこもることにならないか。
子は、仕事を続けながら第三者後見人を活用し、あくまでも家族として相談しながら関わることが、
親子双方にとって最善のことかもしれません。
資産の額だけではなく、親族の仕事の継続の可否や収入などを総合的に判断して、
後見人を選任するという視点が必要ではないかと考えています。
親族後見人に就任する方の仕事の継続まで考えて、
相談をお受けしなければならないと考えています。
笑顔の和が広がりますように
司法書士佐井惠子
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