成年後見人と葬儀のスタイル ☆成年後見vol.9⑤☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:成年後見と資格制限




こんにちは、司法書士佐井惠子です。
長いお付き合いを願っていても、いつかは叶わなくなる時が来るものです。
今日は、後見人をしている方の自宅アパートを明け渡す日。
引越会社にお願いして、家財道具一切を処分してもらいました。

家族と同じ宗教を信仰している場合は、さほど問題にならないのでしょうが、
大人になって、自分の信じる宗教に改宗した場合、
先祖のお墓に入れないということも起こるようですね。
ご本人が亡き人となって、お葬式あげるときに、どういった方式であげるのか。
確かに、難しいですね。

明け渡しの日を迎える前に、お仏壇を引き取ってもらっていたのですが、
その中に、遺言書があったと、ご本人のお友達から連絡をもらいました。
ええっ!遺言書?!
心の中で、「お仏壇に何かないか、もっと探さないといけなかった。」と、思いながら、
「遺言書」を、受け取りにいきました。

封筒には表書きがなかったので、開けてみたところ、
「遺言書 私は○○を信仰しています。葬儀は○○葬で行ってください。
平成9年○月○日 甲野乙子 印」と、書いてあったと仰います。
やれやれ。それを聞いて、ほっとしました。

一応、ご本人の筆跡がわかる家計簿を確保していました。
全てを処分してしまった後に、遺言が出てきたとしたら、
万一、争いが起きた場合に、対照するものがなくなってしまいますものね。

ご本人が亡くなると、成年後見人の役目は終わってしまいます。
身寄りのない方の場合は、お葬式を上げたり、骨上げや納骨まですることもありますが、
あくまでも、それは、業務の範囲外のこと。
仏教といっても、宗派によって様々です。
お付き合いのあったお寺がわかっていれば、そちらのお寺さんに読経をお願いしています。

一方、親族のいらっしゃる場合は、後見人は葬儀に口は挟みません。
葬儀についての今回の「遺言」は、法律的には効力を有しません。
けれど、ご親族には、こういった「遺言」を遺されていますと、予めお伝えしておこうと思います。
あくまでも、親族が葬儀を主宰するわけです。
それでも、やはり、ご本人の意向を伝えるのが、成年後見人の仕事ですから。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp


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