自筆証書遺言を使いやすくする改正 ☆遺言・相続vol.10③☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
平成元年11月24日最高裁判所判決により、共有者の一人が死亡したときは、
直ちに他の共有者に帰属するのではなく、
相続人がいないことを確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続きが終了して、
先ず、その持分は、特別縁故者に対する財産分与の対象となり、
特別縁故者がいなくて財産分与がされないときに、初めて、他の共有者に帰属することとなります。
上記、最高裁判所判決は、マンションの土地の敷地権も、今のように建物と一体化されていなかったころのもので、土地の登記簿は、バインダー何冊にわたることも珍しくありませんでした。
一つの土地をマンション区分建物の所有者たちが、23456789分の7456といった細かい割合で所有している。
そのような時代の判決です。
ところで、特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた人、
被相続人の療養看護に努めた人、その他、被相続人と特別縁故があった人です。
その人の請求によって、家庭裁判所が清算後残存する財産の全部または一部を与えることができます。
ところが一方で、共有持分については、共有者の一人が、その持分を放棄したとき、
または死亡してその相続人がいないときは、その持ち分は他の共有者に帰属すると定めた
民法255条があります。
この特別縁故者を優先すべきか、あるいは他の共有者に移転するのを優先すべきか、
判決は、これを判断したものでした。
これによって、マンションの一室も、その敷地の権利も、特別縁故者に移転することができるようになりました。
20年ほど前から、農地のために移転登記ができなかった不動産について、
今回、ようやく手続きできるようになったいうことで、準備をしていたところ、
二次相続が発生していて、その相続人全員が相続放棄をしていることがわかりました。
つまり、相続人がいない。
そうなると、相続人不存在に関する一連の手続きをふんで、特別縁故者からの請求が無いことを確定させて、
初めて、一次相続の他の相続人に、持分を移転できることになります。
今年中には、皆目できそうにありません。
昨日は、日曜出勤したのですが、本当にこういうことって、あるのですね。
司法書士佐井惠子
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