自筆証書遺言を使いやすくする改正 ☆遺言・相続vol.10③☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
失踪宣告を受けて、ようやく葬儀を終えられた方が、
亡きご主人の相続登記手続きの相談にお越しになりました。
話しているなかで、お位牌に入れる死亡年月日をいつにするか、
僧侶と、あれこれと相談されたと聞いて、そういうこともあるのかな、
まあ、その気持ちも分かるわけだし・・・、などと思った次第です。
ご主人が消息を絶ってから、9年になろうとした頃に、
80代となった奥様が、ようやく、失踪宣告の申立てに踏み切りました。
家庭裁判所に対して失踪宣告の申立てをして、
不在者は生存の届出をするように,不在者の生存を知っている人はその届出をするように
官報や裁判所の掲示板で催告(「公示催告」といいます。)をして,
その期間内に届出などがなかったときに失踪の宣告がされます。
失踪宣告で死亡とみなされる日は、失踪宣告確定の日ではなく、
7年の生死不明の期間が満了した時というのが、法律的には正解です。
相続の日も、当然この満了した日となります。
ところが、7年を過ぎても、なかなか決心がつかずにようやく重い腰を上げたという場合、
手続きの終わる日が、7年の期間満了の日より2年も3年も後になるわけで、
その日を、死亡の日として告別式で読み上げられるのが、どうにも具合が悪いという話でした。
結局、いろいろと相談をされたようで、失踪宣告の審判確定の日を死亡の日、
命日とされたというお話しでした。
失踪宣告の申立てを勧めるのは、気の毒ではありましたが、
ご自分の手で亡き夫のお葬式をなさって、
ようやく区切りがついた、前向きに考えられるようになったと仰っていただき、
私も、ほっとしました。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com