養子縁組は何度でもといいますが ☆遺言・相続vol.8④☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
財産を残す方法として、遺言より養子縁組が簡単ではないでしょうか。
そんな質問をいただきました。
養子縁組は、結婚と同様に、双方の縁組の意思表示と、市役所への届け出によって成立します。
養子縁組は、結婚と同様に身分行為です。扶養義務も発生します。
未成年者の福祉のためには、一般に養子がいいと思うのですが、
今回は、成人を養子にする場合を考えてみます。
仕事柄、結婚といえば、離婚。養子縁組といえば、離縁。
ついつい、連想してしまうのは、個人的には悲しいことですが・・・。
遺産を残すという一点からすれば、養子という方法は、遺言も必要なく簡単という一方、
人間関係が難しくなったとしても、養親・養子双方の合意がなければ、
家庭裁判所の審判を待つことになります。
遺言のように、単独で取り消すことはできません。
配偶者のある者を養子にするときに、配偶者とともに養子とするか、
一方だけを養子とするのであれば、その配偶者の同意が必要です。
養子が先に亡くなってしまった場合、その夫婦に子どもがいなければ、
養親も配偶者と共に相続人となり、配偶者にとっては影響が大きいですね。
また、養子は養親の扶養義務も負います。
以前、A子さん(83歳)の介添えをして遺言書を作成しました。
親身にお世話をしている姪C江さんに、全ての財産を遺贈するという内容のものです。
しかしながら、A子さんは亡夫の子B男さん(68歳)と、夫の死後、養子縁組をしていました。
ここ15年、行き来も、電話のやりとりすらない関係ですが、B男さんには遺留分があります。
将来、相続が発生すると、C江さんとの間で遺産をめぐる争いとなることは覚悟の上です。
このケースは、養子縁組の解消が難しく、今日までそのままとなっています。
全てではないでしょうが、実際に困っている方がいらっしゃいます。
養子縁組みには、双方それだけの覚悟が必要ではないでしょうか。
司法書士佐井惠子
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