自筆証書遺言を使いやすくする改正 ☆遺言・相続vol.10③☆
こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
兄弟二名の共有名義でとりあえず相続した農地。
次の世代のために、単独名義にしておきたいとの依頼がありました。
農地ですので、贈与税の心配は少ないし、
売買であっても、代金はそんなに高額にはならないと思っていましたが、
思わぬ落とし穴が待っていました。
宅地であれば、問題ありません。税金の問題があったとしても、それは別の次元の問題です。
ところが農地では、そもそも贈与も売買もできない場合があります。
農地について、売買や贈与をするときは、農業委員会又は都道府県知事の許可が必要です。
権利を取得する人は、誰でもいいのではなく、農家の資格のある人や農業生産法人など限定です。
農家の資格というのは、ある一定規模以上の農地を耕作している人で、
本当に耕作できるかどうかという基準で判断されているようです。
そのご兄弟は、農地を取得する資格を有していなかったため、
農業委員会の許可申し立てができず、所有権を移転することができません。
兄弟間の譲渡についても、農家の資格の例外を認めていません。
従って、権利を取得する側が、一定規模以上の農地を他に有していなかったら、
これを取得することは難しいのです。
農家の資格ある第三者に売却して手放すか、
場所によっては、他の用途に転用する許可を得て、移転するしかありません。
とりあえず、兄弟で共有にしておこう・・・は、農地の場合は厳禁です。
司法書士佐井惠子
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