「勘当だ!」は、「排除だ!」に近い? ☆遺言・相続vol.6⑥☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:相続


こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
昔のドラマで、お父さんが放蕩息子に「勘当だ!」と、一喝している場面がありますね。
これに近いものが、民法の「排除」の制度です。
「排除だ!」では、言われた方も「えっ?!」びしっとは決まりませんね。

推定相続人が、被相続人に虐待をしてきたり、重大な侮辱を与えたり、
または推定相続人自身に、著しい非行があったとき、
本人に限り、排除の請求をすることができます。

具体的には、高齢者に対する身体的虐待、監護懈怠、性的虐待、
そして年金を取り上げるなどの経済的虐待も対象となりますし、
配偶者に対しては、ドメスティックバイオレンス 暴力行為も対象となります。
傍で歯がゆい思いでみている、ほかの推定相続人であっても、
本人に変わって、排除を言い出すことはできません。

排除はいつでも家庭裁判所に対して請求することができますし、また、その取り消しもできます。
また、遺言で排除の意思表示をすることもできます。

ただ、「勘当だ!」と、怒りに任せているだけでは今は通りません。
家庭裁判所が、後見的立場で、客観的基準で、排除の請求が正当であるかどうかを判断します。
遺言による場合も、心配無用。遺言執行者が裁判所に請求して行います。

今までに、仕事でも目にしたことがないので、どの位利用されているか、
法務省の統計で戸籍に排除の届け出をした件数を見てみました。
なんと、平成21年度は全国で47件。平成12年度に32件と、ほとんど利用されていません。

排除が認められると、相続権を失いますので、遺留分も認められません。
そういった意味では、遺言でほかの人に全て相続させるとしても、
遺留分までは剥奪できないのと、大きく違うところです。

「排除」の事件数が少ないことは、それ自体は、いいことかもしれませんが、
高齢者虐待やDVが問題となっている現代、本当にそんなに少なくていいいの?と、思ってしまいます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

佐井惠子プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

佐井惠子
専門家

佐井惠子(司法書士)

佐井司法書士法人

成年後見や家族信託、相続手続き・遺言書作成・遺言書執行業務など、シニアの悩みに応えるため、法律問題に関するワンストップサービスを提供。

佐井惠子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼