養子縁組は何度でもといいますが ☆遺言・相続vol.8④☆
こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
夫亡きあと、母親として一人で幼い子を育てていかなければならないというのに、
どうして未成年の子との遺産分割協議に、裁判所の手続きが必要なのですか?
もっともな質問です。
今後、母親の力で子どもを養育していかなければなりません。
子どもと利益が相反するどころか、母親一人で子どもの生活を全面的に支えていくという事態です。
そんな場合、未成年の子の取り分をゼロに、母親が全て相続するのは、自然な事ですし、
何より、その方が、その後の財産管理がしやすいでしょう。
ところが法律では、未成年者の法定代理人は、父親と母親ですが、
父親が亡くなったりすると、共同相続人である母親と未成年の子が遺産分割をする際、
母親は未成年者の代理人となることはできません。
これは、それによって法律上、母親と未成年者の子との利益が相反するケースであり、
母親が未成年の子の代理人として行為することを原則として認めると、
場合によっては、子の利益を害するおそれがあるからです。
とは言っても、実際には、子の扶養義務が母親にはあり、母親が全てを相続する場合がとても多いです。
実際、家庭裁判所でも、その点はあまり問題にしていないのでしょうが、
やはりフリーパスとしないで、いったん裁判所でチェックを受けて、
未成年者の特別代理人を選任するというクッションを置くことによって、
未然に権利の侵害を防止するという意義があるのでしょう。
一般に、特別代理人には、親の親族が候補者となり、就任するケースが多いです。
特別代理人は、その法律行為に限定して、未成年者を代理します。
もちろん、それ以外の事項については、母親の親権者代理権が復活します。
なんと形式的なことで・・・と、思われるかもしれませんが、
そういう制度で救われる子どもがいるのならばと、ご理解いただきたいです。
その遺産分割に裁判所のお墨付きをもらったと思ってもいただいてもいいですね。
司法書士佐井惠子
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