誰も教えてくれない!リフォーム予算の考え方についての話
昨今の空き家増加による空き家対策はスマート住宅循環支援事業として、既存住宅の市場流通を促進、拡大を目指した事業が国を挙げて推進されています。
つまり空き家の放置に歯止めをかけ、リフォームによって住む、貸す、泊まるなどいずれかの目的のために環境保全のみならず空き家対策特別措置法に基づき法的にも、古い空き家の改善が迫られているのです。
さて、長年放置してきた古い長屋は現在の暮らしに合わせた改良は可能なのか?
江戸時代の長屋は九尺二間の棟割長屋と言って、間口が1間半(約2.7m)、奥行きが2間(約3.6m)の住戸を連ねた連棟建てでした。九尺二間の長屋とは畳6畳の部屋とほぼ同規模の大きさでありそのうち約1畳半を土間として、4畳半を部屋として区画されているのが一般的でした。
長屋で暮らす庶民は家族持ちで、この狭いワンルームタイプの長屋で暮らしていました。
ガラリと入口を開ければ家全体が丸見えで、壁が薄く生活音は丸聞こえなのでプライバシーは皆無です。
たとえばこんな川柳があります。
「椀と箸 持って来やれと 壁をぶち」
隣の住人のお腹が鳴るのが聞えちゃったんでしょうね。「おーい、今から飯だから椀と箸持ってお前もうちにこいよ」なんて言いながら壁をドンドン叩いているわけです。現代なら考えられない密な関係です。
まさに薄壁一枚の共有壁、お腹の鳴る音が聞えるほどですから。
大阪では大正の末期から昭和にかけて都市計画法の一環として、市街地の拡大として近代長屋が多く建てられました。
大正末期の都市計画法を受けて始まる土地区画整理事業は、大大阪新開地(だいおおさかしんかいち)と銘打ち、サラリーマン向けに長屋建ての貸家が多く建てられました。
その時代の長屋は九尺二間というものよりも2階建てのもう少し大きな建物になっていましたが、当時の名残で、間口九尺いわいる1間半間口の建物は今でも多く残っています。
ではその昭和初期に建てられ、長い間空き家になっている当時の間取りのままの古い長屋は、現代の暮らしに合わせて納得できる住まいへと再生、改良できるのでしょうか。
2間間口の長屋です。
何度か手を加えられていますが基本間取りはそのままです。
入口は土間になっており車庫として使われていました。
この建物を車が置けて、3人家族が暮らせる住まいに再生できるのか?
ガレージ付きの3LDKが完成しました。
ガレージを設けるため玄関はは奥に設けました。
正面右の窓はお風呂の窓です。
玄関です。
2間間口なので広い玄関はとれません。
玄関の先は奥の洋室に続く廊下があります。
廊下の右側がトイレ、洗面所お風呂です。
既存のお風呂は狭い間口に合わせた小さなお風呂です。
1216サイズのお風呂です。
やはり最低1216サイズのお風呂は現代のファミリーライフにとっては不可欠です。
洗面所です。
W750の洗面化粧台と、洗濯機パンを設けました。
脱衣所として洗面化粧台と洗濯機を設けることも現代の暮らしには欠かせません。
清潔感溢れるトイレは現代社会の象徴です。
1階、廊下の奥の洋室です。
クローゼットを設け個室として機能しなければなりません。
2階にLDKと洋室を2室設けました。
昔の暮らしにはなかったLDK。
LDKとシステムキッチンは今の暮らしにはなくてはならないものに位置付けられています。
LDKに隣接する洋室です。
ベランダも設け、今の暮らしに困ることがないようプランニングしました。
昔の長屋暮らしには隣との壁が共有の薄壁1枚で近隣とのプライバシーさえもない状態でした。
また屋内の家族間のプライバシーも、通し間取り故、部屋間の移動も各部屋を通っていかねばならず、個人部屋というものもなき、プライバシーという概念事態がありませんでした。
しかし長屋の共有壁は遮音シートを貼る事である程度の音の問題を解決しています。
また家族間のプライバシーも廊下を設け、間仕切り壁を設置し、各個室を確保する事とLDKを設けることで、共有スペースとの棲み分けを明確にすることができプライバシーの確保が保たれます。
現代の暮らしとは、ゆとりを持った生活を確保することではないでしょうか?
各々の余裕を持った距離感、余裕を持った各所の広さの確保という要素が保たれれば、古い長屋でも現代の暮らしを実現でるのではないでしょうか。
1間半間口の長屋に無理なく1216サイズのユニットバスを入れ
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