古い長屋を現代の暮らしに合わせたリフォーム
大阪では大正の末期から昭和にかけて都市計画法の一環として、市街地の拡大と近代長屋が多く建てられました。
大正末期の都市計画法を受けて始まる土地区画整理事業は、大大阪新開地(だいおおさかしんかいち)と銘打ち、サラリーマン向けに長屋建ての貸家が多く建てられました。なかでも現在の大阪市南部の洋風、和風などの様々な意匠を凝らしたユニークな外観や、商店街に面した店舗付き長屋などが建てられ新しい風景を作り出しました。
今回着工したのは西成区の動物園前商店街の長屋のひとつです。
当時隆盛を極めたルナパーク、現在の新世界の南側にあるこの商店街もまたルナパークの隆盛とともに栄えた商店街でした。しかし年月の移り変わりと西成区の様相の移り変わりとともに、シャッター商店街と変わり、そしてさらに労働者の受け皿として推移してきました。
築80年以上の商店街に面した1区画です。以前は洋服店として長年その役割を担ってきましたが、近年の需要に合うことなく長い間シャッターが閉じられていたこの店舗。
今後のこの地域の需要として、一階を居酒屋に、2階を単身労働者向けの1Kのアパートに改装する計画です。
裏側も長い間、閉鎖された雰囲気です。
1階部分をセットバックし、2階アパートの入り口として機能させる予定です。
2階の内部は通し間取りの和室です。
すべての内装を解体しスケルトン状態にし、2世帯の1Kのアパートをつくる予定です。
1014のユニットバス、W1200のミニキッチン、セパレートタイプのトイレ、3尺のクローゼット、6畳の洋間という仕様です。
工事は着工したばかりです。
この古い建物をいかに蘇えらせることができるのか、乞うご期待です。
様々な地域のその建物も、時代の移り変わりとともにまわりの環境や住む人のニーズなどは多様に変化していきます。
築80年、昭和初期の建物も同じことが言えるでしょう。
その時代、年代に求められる暮らし方、住み手のニーズに応じて、過去のいいところを残し、新しいものを取り入れ作り、提供することはその街に息づくニーズに応えるという事です。
特に商店街に面した長屋は取り壊し、新しく建てるという事が難しい地域でも、必ずニーズがありそのニーズに応え、提供することが建物を蘇らせ、街を活性化させることにつながるのです。
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