第25回 年上の部下から「あなた成長したね」と言われる日

あなたの店舗の陳列や接客は、正しいのでしょうか? その答えは、店長であるあなたやマニュアルの中にはありません。唯一の答えは、店舗を訪れる「お客様の反応」の中にあります。 顧客の行動を深く観察することで、店舗は劇的に進化します。 第33回は、店長がスタッフとともに「霧吹き一つ」の行動を検証し、商品への愛着と対話を生み出した物語です。
前回、計画に目的とスタッフの想いを込めることで、売場を活性化させた店長。店舗の売上は安定し、スタッフの主体性も育ってきました。 しかし、店長はさらなる質の向上を目指し、現場の小さな「動作」に目を向けました。「野菜売場で、スタッフが霧吹きをかけているんですが、その動作がなんとなく機械的で……。霧吹き一つで、野菜の鮮度が変わるのでしょうか」店長は、日々の業務が「形式」になっていないかを懸念していました。 私は彼にこう伝えました。 「答えはお客さまの反応だ。スタッフの動きが、顧客にどう見えているか。そして、顧客がその野菜を手に取ったか。その観察こそが、スタッフをプロフェッショナルにする。」
【「正しい動作」を顧客行動から導き出す】私は店長に、野菜売場の前にお客さまと一緒に立ち、観察する時間を取るよう提案しました。
顧客の視点に立つ: スタッフが霧吹きをかける様子を、顧客として見てみる。雑に水をかけていないか? 野菜に愛を感じるか?
行動の因果関係を観察する: 「霧吹きを丁寧にかけている時」と「そうでない時」で、顧客の足を止める人数に差はあるか?
直接話を聞く: 「霧吹きをかけたばかりの新鮮な野菜ですよ」と一言添えた時、お客様はどう反応するか?
【霧吹き一つが「物語」を伝える】店長はスタッフを集め、検証結果を共有しました。 「ただ水をかければいいんじゃない。お客様は、霧吹きの水の粒を見て『新鮮さ』を感じているんだ。もっと愛情を込めて、優しくふんわりと霧をかけるようにしよう」スタッフは、霧吹きの「意味」を理解すると、動作が一変しました。 霧をかける時、まるで野菜に話しかけるかのように丁寧な動作になり、その様子自体が顧客の目を引く「売場のパフォーマンス」になりました。さらに、霧吹きをしているスタッフに顧客が話しかける機会が増え、自然な接客対話が生まれたのです。
【現場の「細部」が信頼を生む】この取り組みの結果、野菜の廃棄ロスがさらに減り、スタッフの顧客対応能力も向上しました。 顧客は野菜だけでなく、その「愛情のこもった対応」を買いに来るようになったのです。「霧吹き一つで、ここまで顧客の反応が変わるなんて……。やはり、答えは常に現場にあるんですね」 店長は、顧客の行動を観察することの重要性を改めて深く実感しました。
【コーチの視点】リーダーの仕事は、現場を細かい「仕組み」で縛ることではありません。 スタッフが顧客の反応を観察し、自ら気づきを得て、行動を修正できる「環境」を作ることです。 今、あなたのスタッフは、お客さまと会話をしていますか? それとも、作業という名の「ひとりごと」をしていますか?
次回は、「第34回 「新潟産鮭」と「おにぎり」が教えてくれたこだわり」です。


