第12回 「質」の伴わない効率化は、ただの手抜きである

中坊崇嗣

中坊崇嗣

テーマ:スーパー店長育成コーチング実践録



「効率化」という言葉を履き違えていませんか? 作業時間を短縮することだけが効率化ではありません。質の高い仕事を高負荷で回すための準備こそが、本当の効率化です。 第12回は、優秀な新人スタッフの分析から店長が導き出した、「質」と「効率」の本当の関係についてお話しします。

前回、新人スタッフが「自分より売場づくりが上手い」ことに気づいた店長。 私は彼に、そのスタッフの行動の裏側にある「思考の型」を分析させました。その分析を通じて、店長は自分自身が追求していた「効率化」という言葉の誤りに気づきました。
これまで店長は、「仕事を効率的に進めること」を最優先にしていました。 しかし、彼が言う「効率」とは、単に作業の手順を早くすることや、難しい業務を避けることと同義になっていたのです。
私は、店長に厳しい事実を突きつけました。 「効率化を求めるのは、質の高い活動ができるようになってからだ。まずは『効果的な活動』をすることが最重要事項である。」

【キャリアの蓄積が効率を生む】
新人スタッフは、指示を受けた際に「なぜこの仕事が必要か」「どうすれば効果的か」を考え、自分のキャリアを活かして動いていました。 効率的に仕事を進めたいと願うなら、まず必要なのは「仕事の質を高めるための経験(キャリア)」を積むことです。
私は店長に、以下の真理を伝えました。
•①: キャリアを持っているから、判断の質が高まり、質の高い仕事ができる。
•②: 質の高い仕事ができるから、次にその仕事を効率的に進める方法が見えてくる。
キャリアがない状態で効率化だけを求めても、それは単なる「作業の省略」であり、抜け漏れやミスの原因になります。質の伴わない効率化は、ただの手抜きです。
【具体的な行動スケジュールの作成】
この気づきを得て、店長は自らの行動を改めました。 効率化の前に、まず「効果的な業務の型」を作ることに注力したのです。
まず、新しい仕入れ商品をすぐに売場に出すための「行動スケジュールのひな形」を作成しました。 これにより、入荷した商品の陳列が遅れる「販売機会ロス」を防ぎ、確実に売上高・利益の向上を図るという「効果」を出しました。その上で、無駄な動きを省く「効率化」を進めるのです。
店長は、「これまでは効率ばかりを求めて、根本的な仕事の質に向き合っていなかった」と深く反省しました。 仕事の目的を理解し、正しい手順で質の高い結果を残す。その積み重ねが、真の効率化へとつながるのです。

【コーチの視点】
あなたのチームのスタッフは、「効率化」のために仕事の目的を省略していませんか? 目的を理解していない効率化は、組織を砂上の楼閣にします。 リーダーは、まず「質の高い仕事」の定義を共有し、スタッフがそれを再現できるようにサポートしてください。効率は、質の追求の後に自然とついてくる結果です。


次回は、「第13回 「機会がなかった」は、自らチャンスを捨てた証拠」です。

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中坊崇嗣
専門家

中坊崇嗣(経営コンサルタント)

株式会社NMR流通総研

経営者の「右腕」的立場で、組織活性化・経営支援・マーケティングの3本柱でコンサルティングを提供。小売経営や事業承継など実体験をもとに、現場を深く理解して施策を提案。企業の強みを生かし、成果を導きます。

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