第2回 他力本願では店舗は救えない

スタッフとの深いコミュニケーションを促した時、多くの店長が「今週は機会がありませんでした」と言い訳をします。 しかし、リーダーの仕事は、待っていることではありません。自らコミュニケーションの場を「作り出す」主体性こそが、チームの信頼関係を劇的に変えるのです。 第13回は、店長が自らの壁を破り、現場に飛び込んだエピソードをお伝えします。
前回のミーティングから一週間後。 「相手に興味を持って取り組む」「自ら歩み寄って連絡を密にする」という宿題に対し、店長から返ってきた言葉は「特に進展はありませんでした。今週は仕事の単なる指示しかする機会がなかったので……」というものでした。
私は、この店長の言い訳を決して許しませんでした。 「それは『機会がなかった』のではない。『自ら機会を作らなかった』んだ。」
リーダーが「忙しいから」「話す場がなかったから」と現状を甘受している限り、チームは冷え切ったままです。店長は、自分の受け身な姿勢がチームの成長を止めていることに気づいていませんでした。
【クレーム対応で見せた「安心」の魔法】
私は彼に、具体的な行動のヒントを与えるため、私がその週に体験したある事例を話しました。
店舗でクレームが発生した時のことです。スタッフが顧客の担当者と課長の意図を察しきれず、対応が至らなかった。 私は途中で入り、顧客が何を望んでいて、どう対応すれば安心できるのかを察して対応しました。 ポイントは、単に謝罪することではない。顧客が知らないこと、理解できていないことを知らせ、安心させてあげること。すなわち「この人に任せておけば大丈夫」という信頼を獲得することです。
「これを、毎日の仕事の指示の際にも取り組むべきだ。」
指示をする時、「なぜこの仕事をあなたに頼むのか」「これをやることでどう顧客が喜ぶか」を伝える。それだけで、単なる業務連絡は、相手に安心感と意義を与えるコミュニケーションに変わります。
【自ら機会を作り出す主体性】
店長はこの指導を受け、翌日から「仕事の機会を待つ」のではなく「自ら機会を作る」アクションを起こしました。 具体的には、部下への業務指示の前に、必ず相手の表情を見、一言「最近、調子はどう?」と声をかけることから始めました。
それは小さな変化ですが、店長にとっては大きな挑戦でした。 彼の中で「仕事をする」とは、業務を処理することでした。しかし、リーダーの仕事とは「スタッフと共に働く環境を作ること」だと理解が変わったのです。
「自分から話しかけるのが、こんなにドキドキするとは思わなかった。でも、スタッフが笑顔を見せてくれた瞬間、チームが変わる手応えを感じました」
店長が受け身の立場から、能動的なリーダーへと変貌を遂げた瞬間でした。
【コーチの視点】
コミュニケーションの機会は、待っていてもやってきません。 あなたのチームにおいて、リーダーが「主体性」を持って機会を作り出しているか。その一歩が、店舗の空気と売上を劇的に変えます。 明日、あなたからスタッフに歩み寄る小さな一言を、手帳に書き込んでください。
次回は、「第14回 「報・連・相」の定義、間違えていませんか?」です。


