第27回 「隙間時間」の使い方がキャリアの差になる

毎週のように作られる仕入れ計画や販売計画。「前回の踏襲」や「義務感」だけで作られていませんか? 計画とは、あくまで「目的」を達成するための手段です。何のためにそれをやるのかという魂が入っていない計画は、ただの数字の羅列に過ぎず、現場を動かすことはできません。 第32回は、店長が仕入れ計画の「目的」を再定義し、スタッフと魂を込めて作り上げた、売れる陳列のエピソードです。
前回、顧客の声からカード決済導入という投資判断を下し、新規顧客を獲得した店長。店舗の売上は順調に伸びていました。 しかし、店長は次の課題として、仕入れの「精度の低さ」に悩んでいました。「計画通りに仕入れても、売れ残ってロスが出たり、逆に売れすぎてチャンスロスになったりします。スタッフも計画表を見るだけで、あまり深く考えていないようです」店長が作った仕入れ計画表は、確かに立派なものでした。しかし、スタッフからすれば「店長が作った指示書」に過ぎず、自分たちの仕事としては認識されていませんでした。私は店長に伝えました。 「数字を埋めるだけの計画は紙屑だ。計画とは、スタッフの意思と熱量を売場に反映させるためのものである。」
【計画に「魂」を込める二つの要素】私は店長に、計画表を「魂のこもった計画」に変えるための二つの要素を教えました。
「Why(目的)」の明確化: 「何を何個仕入れるか」だけでなく、「なぜその商品をお客様に届けたいのか」を言語化する。
例:ただの「鮭」ではなく、「新潟の旬の鮭を、地元の味として食卓に提案する」という物語。
スタッフの「想い」の反映: 計画を店長が一人で作らず、スタッフの声を聞いて反映させる。
例:鮭の担当スタッフに「どんなポップにする?」「どう売ればこの鮭の良さが伝わると思う?」と問いかける。
【週間の仕入れ計画が変わった日】店長は、翌週の「魚売り場」の計画を立てる際、魚担当のスタッフと一緒にホワイトボードに向かいました。 「今週は鮭をメインにしたいんだけど、どうかな?」 「店長、今の鮭は美味しいから、単に積むだけじゃもったいないです!新潟産っていうのをもっと押し出して、ポップも鮭の絵を描いて……」スタッフから次々とアイデアが溢れ出しました。店長が一方的に指示していた時は静かだったミーティングが、まるで楽しい企画会議のようになったのです。計画表には、具体的な仕入れ数だけでなく、スタッフのアイデアに基づく「見せ方の工夫」も書き込まれました。
【スタッフが自ら動く売場】この方法で作られた計画に基づいて陳列された売場は、スタッフの熱量が顧客に伝わり、商品は飛ぶように売れました。ロスはほぼゼロ。 何よりスタッフ自身が、「自分たちが立てた計画で売れた」という達成感を感じていました。「今まで計画は店長の指示だと思っていましたが、目的と私たちの考えが繋がった時、本当に仕事が楽しくなりました!」 スタッフの言葉に、店長は心から満足しました。
【コーチの視点】計画は、スタッフとのコミュニケーションツールです。 数字を埋めるだけで満足せず、その数字がどのような顧客の喜びを生むのかをスタッフと共有してください。 あなたの計画に「愛」と「目的」が宿った時、スタッフは自らその計画を実現するために動き出します。
次回は「第33回 お客さまの「反応」が最大の教師である」です。


