第23回 事前対策と事後対策。二段構えでミスを防ぐ

中坊崇嗣

中坊崇嗣

テーマ:スーパー店長育成コーチング実践録



「なぜ何度も同じミスが繰り返されるのか」。そう嘆くリーダーの多くは、トラブルが起きた後の「事後対策」には熱心ですが、起きる前の「事前対策」を怠っています。 ミスは、個人の能力不足ではなく、その人がミスをしてしまう「環境」や「仕組み」に原因があります。 第23回は、店舗の慢性的な悩みであった「チラシ原稿の遅延問題」を、二段構えの対策で根底から解決したエピソードをお話しします。

前回、苦手な相手を受け入れることで、多様性を強みに変えた店長。チームの雰囲気は良くなり、スタッフ間の連携もスムーズになってきていました。 しかし、経営上の大きな課題が一つ、慢性化していました。それは、毎週水曜日に発行するチラシの原稿制作が、毎回締め切りギリギリ、あるいは遅延してしまうという問題です。店長は毎回、担当スタッフを叱責し、「次は早くやって」と伝えていましたが、一向に改善しませんでした。 「忙しくて後回しにしてしまうんです」という言い訳が繰り返されるだけです。私は店長に言いました。 「叱るだけで改善しないのは、ミスをする仕組みになっているからだ。事後の説教ではなく、ミスの原因を根絶する事前対策を立てろ。」

【ミスの原因を深掘りする】原因を分析すると、担当者が「チラシの内容を決める」ことと「パソコンで原稿を作る」という二つの負荷の高い仕事を、水曜日ギリギリに行っていたことが分かりました。私は店長に、具体的な二段構えの対策を提案しました。

事前対策(ミスが起きない環境作り)

・締め切りの前倒し: パソコン入力の締め切りを水曜日の午前中から、火曜日の夕方に変更した。・タスクの細分化: 前週の金曜日に「商品選定」、月曜日に「価格設定」、火曜日に「入力」と、タスクを曜日ごとに分散させた。これにより、水曜日ギリギリに負荷が集中する状況をなくした。

事後対策(ミスを仕組みで防ぐ)

・チェックリストの導入: 原稿作成時に、「価格間違いはないか」「写真は正しいか」を確認するチェックリストを導入した。・ダブルチェックのルール化: 担当者が作った原稿を、店長以外の別のスタッフが最終確認する体制を作った。

【主体性がミスを防ぐ環境を作る】店長は、この仕組みをスタッフに押し付けるのではなく、担当スタッフと一緒に作り上げました。 「火曜日にやるのが難しい時は、どのタイミングならできる?」と尋ね、スタッフが自分でスケジュールを決められるようにしたのです。スタッフは「自分で決めたルールなら守れる」と納得し、新しいスケジュールに基づいたチェックリストの作成を自ら買って出てくれました。結果、チラシ原稿は締め切り前日に完成することが当たり前になり、店長がスタッフを叱責するストレスは皆無になりました。

【コーチの視点】ミスを個人の責任にするのは簡単ですが、リーダーの仕事は、その人がミスをしない環境を作ることです。 今、あなたの現場で繰り返されているミスは何ですか? そのミスが起きる「流れ」を断ち切る、具体的な事前対策を今すぐ実行しましょう。

#コーチング#パーソナルコーチング#リーダー育成#店長育成

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中坊崇嗣
専門家

中坊崇嗣(経営コンサルタント)

株式会社NMR流通総研

経営者の「右腕」的立場で、組織活性化・経営支援・マーケティングの3本柱でコンサルティングを提供。小売経営や事業承継など実体験をもとに、現場を深く理解して施策を提案。企業の強みを生かし、成果を導きます。

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