第13回 「機会がなかった」は、自らチャンスを捨てた証拠

「なぜ、伝えた通りに動いてくれないんだ……」。 指示を出すたびにそんな不満を感じているなら、あなたはスタッフの「行動」だけを管理しようとしているのかもしれません。 行動は結果に過ぎません。本当に人を動かすのは、その背景にある「目的」や「意図」です。 第24回は、表面的な指示を廃し、スタッフの自発的な行動を引き出す「伝え方」の技術についてお話しします。
前回、仕組み化によってチラシ原稿の遅延問題を解決した店長。 仕組みは機能し始めましたが、スタッフの動きにまだ「受動的」な面が残っていることを感じていました。 特に、開店前の準備時間について悩んでいました。「『開店10分前には準備を終えて、朝礼を始めよう』と何度も言っているのに、ギリギリに駆け込んでくるスタッフがいて……。時間にルーズなのが許せないんです」店長はそう言って、スタッフの「行動」を責めていました。 しかし、私はその指示の仕方に問題があることに気づきました。「『10分前に来て』は、ただの作業指示だ。スタッフからすれば『なぜそんなに早く行かなきゃいけないの?』と疑問に思っている。行動だけを命令しても、人は心から動かない。」私は店長に、指示を出す際に必ずセットにすべき「意図」の伝え方を教えました。
【「意図」を伝えることで、行動の価値が変わる】ただ「10分前に行け」と言うのではなく、その行動が「誰の、どのようなメリットに繋がるか」をセットで伝えます。
× 表面的な指示: 「開店10分前には準備を終わらせて」
〇 意図の明確化: 「開店前のお客様は、店に入った瞬間の空気感で『良い店か悪い店か』を判断する。だからこそ、10分前に準備を終えて、スタッフの笑顔が揃っている状態で出迎えたいんだ。そうすることで、お客様の滞在時間が延び、売上が安定する。」
「意図」が伝わると、スタッフの中でその行動の「価値」が変わります。 ただの「ルール遵守」から、「売上アップのための戦略的行動」へと認識がシフトするのです。
【スタッフの納得感を引き出す「言葉の力」】店長は、この指導を受けた翌朝、朝礼でこのように伝えました。 「皆さんが朝ギリギリに準備をしてバタバタしていると、その焦った空気がそのまま売場に伝わってしまいます。お客様に気持ちよく買い物をしていただくために、10分前にはすべての準備を整え、心を落ち着かせて笑顔で迎えましょう。」この言葉を聞いたスタッフは、「ただ叱られるのが嫌だから早く行く」のではなく、「お客様のために早く行く」という主体性を持って行動を変えました。ギリギリに来ていたスタッフも、それ以降は余裕を持って出勤するようになりました。
【コーチの視点】リーダーが発する言葉は、スタッフのエネルギー源です。 作業の手順だけを伝えていませんか? その作業がなぜ必要なのか、どの未来に繋がっているのか、その「意図」を伝えられるリーダーこそが、スタッフの心に火をつけることができます。
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