経営の覚悟 「不敗の右腕」と共に刻む、一人ひとりが主役となる【価値創造の航海術】~現場の不思議や疑問を利益に変え、店長が自走組織を創り上げる12ヶ月の全記録~

スタッフに指示をしたのに、思った通りに動いてくれない。そんな悩みを持つリーダーは多いです。 しかし、その原因はスタッフの能力不足ではなく、リーダーの「伝え方」、特に「フィードバック」の質にあるかもしれません。 第16回は、相手の行動を劇的に変える、具体的で効果的なフィードバックの技術についてお話しします。
前回、トラブル対応を教育のチャンスに変える手法をお伝えしました。店長がスタッフの前で対応を実演することで、チームの対応力は確実に向上し始めました。 しかし、私は次のステップとして、店長がスタッフの行動を改善するための「フィードバック」の質に目を向けました。ある日のミーティングで、店長はこう報告しました。 「スタッフの作業が遅いので、『もっとテキパキやって』とフィードバックしたのですが、全然変わらなくて……」私はため息をつきました。これは、最も典型的な「動かないフィードバック」の例です。 「それはフィードバックではなく、単なる『感想』だ。具体性がなく、相手はどう行動を変えればいいのか分からない。」
【行動を変える「3つのフィードバック」】私は店長に、スタッフの行動を具体的に変えるための技術を伝えました。
「何」がダメだったか具体的に伝える(行動の事実): ×「テキパキやって」 〇「この商品の品出しに、目安の3倍の時間がかかっている」
「なぜ」ダメだったか伝える(影響の理解): 「時間がかかると、顧客が商品を買うチャンスを失い、店舗の売上が下がる」
「どう」すればよいか伝える(具体的な代替行動): 「品出しの前に、商品は部門ごとにまとめておくと、歩く時間が減って早くなるよ」
店長はこの「事実・影響・代替行動」の3ステップを聞いて、自分の言葉の浅さを理解しました。 これまでは「感情」で注意していたため、スタッフは「店長が怒っているから急がなきゃ」という恐怖の感情しか受け取っていなかったのです。これでは根本的な解決にはなりません。
【信頼関係がフィードバックを機能させる】この具体的なフィードバックは、第4回で築いた「信頼関係」があって初めて機能します。 相手を否定するのではなく、成長を願っているという背景があるからこそ、厳しい事実も受け入れられるのです。店長は翌日から、スタッフへの注意をこのステップに当てはめて行うようにしました。 結果として、スタッフは「怒られた」のではなく「指導された」と感じ、自分自身の行動を振り返り、改善に向けた具体的な行動を起こし始めました。
【コーチの視点】あなたのフィードバックは、相手の行動を修正できていますか? 「ダメだ」と言うだけなら誰でもできる。 リーダーの仕事は、相手の成長のブレーキになっている行動を特定し、アクセルを踏むための具体的な方法を教えることです。
次回は、「第17回 店舗の未来を創る「判断基準」の共有」です。


