社内で実践!働き方改革の進め方(1)知る~3分で分かる「働き方改革」解説
「大切なものは、目に見えない」
誰しも、一度はそのタイトルを聞いたことがあるであろう「星の王子さま」の一節です。
200以上の国と地域の言葉に翻訳され、
世界中で総販売部数1億5千万冊を超えたロングベストセラー。
【名著から考える人材育成シリーズ】
「星の王子さま」vol.1~おとなは、だれも、はじめは子どもだった。に続いて、
第2弾「大切なものは、目に見えない」を見ていきましょう。
また、今回はリーダー同士やチームメンバーで話す時にも使える「問いかけ例」もでてきます。
ぜひ、メンバーで話し合ってみてください。
目に見える「数字」で判断してはいませんか
~かんじんなものは目に見えない
売上高、生産性、GDP…目に見える「数字」で判断してはいませんか?
「星の王子さま」の代表的なフレーズの一つが「かんじんなものは目に見えない」というフレーズ。
自分の星を出るときに、バラを置いてきた王子さま。
このバラは著者であるサン=デグジュペリの奥さんを象徴しているとも言われています。
そのバラについて、王子さまが最後に出会うキツネがこう言います。
「いいかい。かんじんなものは目に見えない。
人間は大切なことを忘れている。
けれど、あんたはこのことを忘れちゃいけない。
めんどうをみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。
まもらなけりゃならないんだよ。バラの花との約束をね…」
みなさんは「かんじんなものは目に見えない」と聞いて、どのように感じますか。
今の世の中、「見える化」「言語化」しておくことが大切と言われています。
何でも見えるようにしておかなければ、
争いの元となったり、変化・成長に気づくことができないから、と。
会社の価値を業績や生産性、経常利益率や離職率などで表すのも同じです。
しかし、本当に「目に見えるものだけが大切」でしょうか。
例えば世の中にはGDP(経済成長率)という数字があります。
確かに一つの指標にはなります。
しかし、矛盾が生じているのも事実です。
例えば、病気が治らず、ずっと治療し続けている方が、
医療費がかかり続けるわけですから、GDPは高くなります。
しかし、人が健康に生きるためには、
GDPが下がっても病気が治った方が良いのではないでしょうか。
反対に、目には見えないけれど、大切なこともたくさんあります。
先ほど例に挙げた「健康」もまさにそうですし、
思いやり、愛、優しさ、絆などは、この世の中を支える大切な存在です。
【名著から考える人材育成シリーズ】「星の王子さま」vol.1 でも取り上げましたが、
分かりやすさを求め、大人はつい「数字」に頼りがちです。
しかし、数字のように目に見えるものだけでなく、
思いやりや愛といった目に見えないものも大切にしてこそ、
人・組織は豊かになっていくのではないでしょうか。
【問いかけ】
1.私たちが大切にする「目に見えるもの(こと)」はなんだろう
2.私たちが大切にする「目に見えないもの(こと)」はなんだろう
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無意味に指令を出す王さま、決められたことをこなす点燈夫
~あなたの組織にはいませんか?
王子さまは、自分の星を出た後、様々な星を巡ります。
それぞれの星には、多種多様な「職業」の人がいます。
例えば、「第一の星」には王さまが住んでいました。
普段家来のいない王さまは、王子さまに対して何でも「命令」します。
ついあくびをした王子さまに対して「あくびとはけしからん」と叱った後、
「長い間旅をしてきて、我慢できないんです」という王子さまに対しこう言います。
「そうか、では命令する。あくびをしなさい」
二番目の星には「うぬぼれ屋」が
三番目の星には「呑み助」、
四番目の星には「実業家」、
ある時には「点燈夫」といって、時間になったらひたすらガス燈に火を灯し、
時間になったら消すという人も出てきます。
そして、五番目、六番目…その後も続きます。
これらの登場人物は、
私たちの住む現実世界を皮肉を込めて描いているようにも取ることができます。
また、「会社の中はどうだろう」と見渡してみた時、振り返る機会をもらうことができます。
「役職」という地位に満足し、
(本質的な)意味もなく威張って指示を出している人はいないか。
「自分はすごい」とうぬぼれている人はいないか。
時間になったら「作業を開始」をし、時間になったら「作業を終了」する人はいないか。
あるいは、自分自身がそんな人間になっていないか。
素朴な表現こそが、私たちに痛烈に問いかけてくれています。
一度、リーダーやチームメンバーで次の対話してみてはいかがでしょうか。
【問いかけ】
1.星の王子さまに出てくるような「職業」を演じている人は居ないか
2.職業を演じている人は「見て見ぬ振りをしている」ことはないか
3.私たちの組織にはどのような「役割」が存在するのだろうか
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「忙しい、忙しい」と言うが、何がそんなに忙しいのか
パイロットである主人公が王子さまと出会った時、飛行機が故障していて大変な時でした。
しかし、王子さまは気になったことを聞かずにはいられない性格です。
そのためアレヤコレヤと聞いてきます。
はじめは丁寧に返事をしていた主人公も、
修理が大変で「その話のどこが大切なんだい?」という返事をしたとき。
王子さまはこう言います。
「花はなん百年も前からトゲを作っている。
花が、なぜ、さんざ苦労してなんの役にも立たないトゲを作っているのか、
そのわけを知ろうとすることが大事じゃないっていうのかい!」と。
さらに、その後出会う実業家やあきんどもまた、
「数字を数えること」に必死で王子さまとまともに話そうともしませんでした。
私たちは、毎日「忙しい」です。
やることがたくさんあり、片付けても片付けても仕事はやってきます。
しかし、そんな私たちに王子さまの素朴な問いが心に響いてきます。
本当にその仕事は必要な仕事なのだろうか。
その作業は必要だろうか。
「忙しい」という便利な言葉で、部下の言葉を遮っていないだろうか。
どんなに忙しくても、向き合う必要があること(もの)があるのだろうか。
忙しいというのは、「心」を「亡くす(なくす)」と書きます。
確かに時間に追われ大変なことはわかりますが、本質を見失わないようにしたいものです。
一度、リーダーやチームメンバーで次の対話してみてはいかがでしょうか。
【問いかけ】
1.「忙しい」ことで、見失っていることはないか
2.「忙しい」と感じるのはなぜだろう。どんな時だろう
(組織の都合と、個人の都合を分けて考えてみよう)
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■まとめ
今回は、「 【名著から考える人材育成シリーズ】
「星の王子さま」vol.2~かんじんなものは、目に見えない」というテーマのもと、
星の王子さまを読み解いてみました。
私自身、このコラムを書くために何度もなんども読み返しました。
読めば読むほど、新たな気づきや深い問いかけが入っていることに気付かされます。
以下に、コラム内で紹介した「問いかけ例」を列挙しますので、
ぜひ、リーダー同士、あるいはチームメンバーで話し合ってみてはいかがでしょうか。
きっと、深い対話がなされることと思います。
◆かんじんなことは目に見えない
1.私たちが大切にする「目に見えるもの(こと)」はなんだろう
2.私たちが大切にする「目に見えないもの(こと)」はなんだろう
◆様々な職業・役割
1.星の王子さまに出てくるような「職業」を演じている人は居ないか
2.職業を演じている人は「見て見ぬ振りをしている」ことはないか
3.私たちの組織にはどのような「役割」が存在するのだろうか
◆「忙しい」というが、何がそんなに忙しいのか
1.「忙しい」ことで、見失っていることはないか
2.「忙しい」と感じるのはなぜだろう。どんな時だろう
(組織の都合と、個人の都合を分けて考えてみよう)
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