社内で実践!働き方改革の進め方(3)知る~多様な働き方って、例えば何?(社外編)

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:いきいき職場づくり(組織活性など)

多様な働き方

個人事業主、ノマドワーカー、副業

パラレルキャリア、シームレス…これってどんな意味?




いまの時代、様々な働き方が登場しています。

その時代々々で言葉が生み出されているので、
明確な区切りがあるわけではなく、重なり合う内容も多いです。

まず、それぞれがどのような働き方なのか、見ていきましょう。

●ノマドワーカー
「Nomad(ノマド)」とは、英語で「遊牧民」を意味する。
遊牧民のように働く人という意味から「場所を特定せず、色々な場所で仕事をする人」を
ノマドワーカーと呼ぶ。

2つのタイプがある。
(1)特定の会社に勤めていないタイプ
 いわゆるフリーランスとして、オフィスもデスクも持たずに仕事をする

(2)特定の会社に勤めているタイプ
 仕事柄様々な場所で働く場合や、
 会社自体がデスクではなく自由な場所で働くことを認めている場合など

●パラレルキャリア・パラレルワーク
パラレルキャリアとは「本業を持ちながら第2の活動をすること」。

※そもそもパラレルキャリアとは、
「もしドラ」(もしも高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら」)で
認知度が上がった経営学者ドラッカーが、その著書(明日を支配するもの)の中で唱えた働き方。

第2の活動とは、自営業を始めることや他の企業へ就職(副業)はもちろんのこと、
ボランティア活動やNPO法人の活動への参画など幅広い活動を総括しています。

●シームレス
「Seamless(シームレス)」とは、継ぎ目のない状態のこと。
働くことと生きることの継ぎ目(境目)の無い状態で働くことを「シームレスワーク」と呼びます。

※そもそもシームレスとは、下着(ストッキングやブラジャーのカップなど)の
継ぎ目や縫い目が無い衣類を指す言葉としてありましたが、それらが転じて様々な時に使われています。

現在は、「場所に捉われない」という意味合いでシームレスな働き方が取り上げられることが多いです。
(例:テレワークの活用で場所に捉われない働き方を実現する、
   IoTの発達で「その場に行かなくても診察(仕事)ができる」など)

元来、農業などの自営業は、生きることと働くことの継ぎ目がない「シームレスな生き方」です。

それらを考えると、今後さらに「起業が簡単に・気軽に」
「やりたいことを仕事にする」という文化が広まれば、
場所の継ぎ目だけではなく、生き方そのものも「シームレス」
(働くことと生きることの継ぎ目のない状態)とする選択肢が増えるでしょう。


●兼業・副業
2つ仕事をすること。
これを「兼業」または「副業」と言います。

兼業と副業の差は、2つの仕事の力の入れ具合(時間のかけ具合)の違いです。
場合によっては、収入で判断することもあります。

具体的には次のとおり。

兼業は、どちらも同じくらい力を入れて仕事をすることです。
副業は、どちらかが主(メイン)で、どちらかが副(サブ)とすることです。

●個人事業主(自営業)・フリーランス・起業
特定の企業や組織に属さず、自分で事業を立ち上げ、仕事をしていくスタイル。

身につけた技術やスキル(プログラミング、デザイン、料理、国家資格等)を活かして、事業を行う。

世間が認め始めた「副業・兼業」



みなさんの会社の就業規則を見てみると、次のような規定があるのではないでしょうか。

「社員は、副業をしてはならない」
「社員は、会社の許可を受けないで、他の会社・団体等の役員または社員を兼務し、
 あるいは密かに営利を目的とする業務を行ってはならない。」

これは、いわゆる「副業禁止」「兼業禁止」の規定です。

データによると、85%の企業の就業規則において、
上記のような「副業・兼業禁止」の規定が盛り込まれています
(中小企業庁「兼業・副業に係る取組み実態調査」2014年)。

それはなぜかというと、理由は2つ。

1つは、厚生労働省が出している「モデル就業規則」や、
流通している「ひな型」が「副業・兼業禁止」だったから。

もう1つは、特定の会社において定年年齢まで勤め上げます、
という「終身雇用」を前提としている働き方では、「副業・兼業」は不要だったから。

しかし、2016年、目薬で有名なロート製薬さんが
「社外チャレンジワーク(副業を認める制度)」を導入したというニュースを契機に、
少しずつですが副業・兼業が認められる流れにあります。

さらに、働き方改革の実施の時期とマッチし(参考:3分で分かる働き方改革)、
厚生労働省がモデル就業規則を
「副業・兼業を認める内容に変更する」と発表したことで、その流れに拍車がかかりました。

とはいえ、みなさんの会社の就業規則はまだまだ「副業・兼業禁止」のままだと思います。

また、いま副業してもいいよと言われても、そもそも会社から帰るのは遅いから…という方も多いでしょう。

社外での多様な働き方を取り入れるためには、
社内での多様な働き方とともに進めて行くということが言えます。

「様々な働き方」とは「生き方」の選択肢が増えているということ




前述のとおり、働き方の選択肢が増え、
「こうでなければならない」という枠組みが少しずつ外れてきています。

例えば、これまでは特定の会社一社で働いており、
土曜日や日曜日はだらだら過ごしていた方が、ボランティア活動に参加することになったら。

あるいは、副業として帰宅後プログラミングをするようになったら。
それまでと比べると、「時間の使い方」が変わってきます。

時間の使い方が変わると、今までとは違った世界にふれ、
考え方や、見る視点、価値観をも変えるかもしれません。

また、どうしてもやりたいことが出てきて、会社を辞めフリーランスになるということは、
働き方だけではなく「生き方」そのものも変化しています。

世に言われている働き方改革。

これは、「どう働くか」にとどまらず、「どう生きるか」ということにもつながります。

生き方改革だと考えると、その問いに「正しい答え」があるわけでなく、
働き方の選択肢が増えてきているのも自然な流れということができるのではないでしょうか。

みなさんが、どう働きたいか、どう生きたいか。

もしこれをお読み頂いている方が経営者の方の場合は、
御社の社員のみなさんには、どう働いてほしいか、どう生きてほしいか。

多様な働き方を認めていかなければならないとか、終身雇用がダメといった話ではなく、
生き方から「選択肢」を考えていくと、自由な発想で考えられるかもしれません。


■まとめ


今回は、多様な働き方~社外編ということで、
社内ではなく、会社を離れて活動する場合の「働き方」を取り上げました。

社外も含めた働き方は本当に多様化しています。
また、世の中もその「多様性」を認めつつあります。

まずは現状を知っていただいて、自分として、あるいは自社として、
働き方改革は本当に必要なのか、どうすれば良い選択ができるのかを、
考えるきっかけにしていただけましたら幸いです。

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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