世界一わかりやすい「かんたん就業規則解説」~就業規則に記載すべき内容とは

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:就業規則に関すること

就業規則って何


就業規則とは何?


就業規則とは何でしょうか。
一言でいうと「役所に届け出る『わが社の働き方のルール』」です。

就業規則に関しては、法律(労働基準法という法律)に次のように決められています。
(1)1つの事業所で10名以上の従業員を雇う会社は
(2)法律で定められた内容が書かれている「就業規則」というものを作り
(3)その事業所を管轄する労働基準監督署に届け出なければならない

ですから簡単にまとめると
「社員10人雇ったら→働くルールを作り→役所に届け出る」ということになるわけです。

ちなみに、会社全体で10名以上になったら必要になるのではなく、「事業所ごと」で10名以上かどうかを判断します。

【参考動画:常時10人以上使用するって誰を含むの?】

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就業規則に書かなければならないこと、書いても良いこと

(必要記載事項)


就業規則には、「必ず書かなければならないこと(絶対的記載事項)」と、「社内で制度があるのであれば書かなければならないこと(相対的記載事項)」が定められています。

◇必ず書かなければならないこと(絶対的記載事項)
※法律用語そのままではなく、わかりやすい表現にすることを優先しています。法律用語で確認したい場合はこちら(厚労省リンク)を参考にされてください。

(1)始業時刻・終業時刻
(2)時間外労働(残業)があるかどうか
(3)休憩時間
(4)休日
(5)休暇
(6)お給料(退職金やボーナスに関しては除く)について(計算方法や締め日・支払い時期、昇給など)
(7)退職について(退職する場合はどんな場合か、解雇する場合はどんな場合かなど)


◇社内で制度があるのであれば書かなければならないこと(相対的記載事項)

(1)退職金について(支払い時期、方法、対象者など)
(2)ボーナスや臨時で払われるお給料、その他の手当の内容について
(3)社員が負担する食費その他の費用について
(4)安全管理について
(5)衛生管理について(健康診断の実施など)
(6)教育訓練について(研修制度や費用補助制度など)
(7)災害補償について(仕事中の怪我・病気などの補償)
(8)表彰制度について(永年勤続表彰など)
(9)制裁(ペナルティ)について
(10)休職について(期間やどういう場合が休職になるか、その時の取り扱いなど)

◇任意で書いても良いこと
上記の事柄以外については「任意記載事項」として、会社が独自に記載しても良いとされています。
例えば、経営理念や行動指針、採用に関して入れられているケースがあります。

【参考動画:絶対的必要記載事項って何?】


※なお、書かなければならないと制限されているのは「項目」だけで、その表現方法や記載方法については、実は法律の決まりはありません。
ですから、第○条という書き方をしなくとも、1.2.・・・と書いても構いません。

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就業規則の作成は「ひな型」ではダメなのか


いまや、「就業規則 ひな形」と検索すれば、山ほどの就業規則データが出てきます。

厚生労働省が出しているモデル就業規則もあります。
これらのひな形については、ある程度しっかり作られており、前述した「記載事項」が漏れているということはまずないでしょう。

時に「就業規則のひな形を作るのは問題なのでしょうか?」と質問をいただきます。
答えは「とりあえず形を整えたいということであれば、ひな形を使って作ってOK」です。

ひな形を使うときに気を付ける3つのこと


ひな形は使って就業規則を作るときに、押さえておくべきポイントが3つあります。

1つは、始業時刻や休憩時間、休日や、お給料の手当の名称など、
「会社の状況に合わせて」きちんとアレンジすること。
ひな形をアレンジするのは、パターンオーダーで作るスーツのようなもの。
自分のサイズに合わせて作らなければ、丈に合わないものになってしまいますよね。

もう1つの条件、それは「就業規則作成の責任者(担当者)は必ず内容を理解する」こと。
就業規則は「会社の制度」を表す大切なものです。「知らなかった」では済まされないからです。

最後に、「ひな形をベースにした就業規則は読みづらい(読みたいとは思えない内容が多い)」 ということ。
ひな形は、どうしても法律の条文をそのまま引用したものが多いです。
なぜなら、ひな形は「誰もが利用する可能性がある」として作成されたものですから、
なるべく「平準化」しているためです。読みづらいということは、
「作ったから読んでおいてね」と言っても誰も読まないということです。

これらの事柄を認識した上でひな形を利用するのは問題ないと思います。

【参考動画:「就業規則作成ツール」と使って就業規則を作る方法】

就業規則作成ツールの使い方と活用法【厚生労働省「就業規則作成ツール」活用~自分で就業規則を作る方法】



まとめ

就業規則は、法律で「1つの事業所で社員10名以上を雇う場合は作りなさい」と定められているものです。
また、盛り込まなければならない事柄も法律で決められています。

ですから、多くの企業では就業規則が存在するわけですが、経営者や働く社員にとって就業規則の存在は非常に薄いことが多いです。

「とりあえず形を整えたいということであれば、ひな形を使って作ってもOK」とお伝えしました。

ただ、もしもう一歩踏み込んで
「就業規則を作ることに合わせて社内の体制も整えたい」
「もっと全社員で働き方を考えたい」

そんな場合は、ひな形を使って作成し「読んでおいてね」ではなく、その作成の過程を企業の成長機会にするができます。
参考になれば幸いです!

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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