仕事と不妊治療の両立

神野沙樹

神野沙樹

現在、日本で不妊症に悩むカップルは6組に1組と言われています。不妊治療を行っている男女の年齢層は、30~40代です。
治療を受けている人は、50万人近くいると推測されています。働き盛りで、女性でも「リーダー職」などの管理職についている場合もあるようです。

せっかく積み上げたキャリアを無駄にはしたくない思いと、子どもを授かるための不妊治療…この両立に悩んでいる人がたくさんいます。


【仕事と治療を両立するために】
NPO法人「Fine」によると、去年の5月~今年1月までに、アンケートを行ったところ(約2200人対象)、9割以上の人が、「不妊治療と仕事との両立は難しい」と答えています。

では、両立が難しい理由は何でしょうか?


【両立が難しいと感じるのはなぜ?】
難しい理由として次のようなことが考えられます。

・上司や職場の理解が得られない。
不妊治療中は、卵巣や子宮の状態により、急に診察が入ったり、注射などの通院で頻繁に休んだりすることがでてきます。
上司や同僚などに迷惑をかけてしまうというストレスも出てきます。

・休暇の制度などがない。
大手の企業では不妊治療のための休暇制度を設けているところもあるようです。
しかし、そのような制度が整っている企業はごくわずかです。
治療を受けている人にとって希望する休みの取り方は様々です。
たとえば、検査や注射のためだけのスポット的な時間単位の休暇が欲しいひともいれば、数カ月まとめて集中して治療に臨みたい人もいます。
また、治療費の補助をしてもらいたいと考える人もいるでしょう。


【働き方を変える】
仕事をどうしても続けられないと思った時に、どうするか。

・退職
・転職
・ワークダウン
・休職
・異動

これらの変化が考えられます。

休みの取りやすい業界へ転職する。働く時間を短くする。休みを取りやすい部署に異動を願い出る。
などです。


【企業に希望するサポート】
実際に不妊治療を受けている人が希望するサポートは
休業・休暇の制度
就業時間の短縮
治療費の融資・補助
再雇用制度
が挙げられています。

これらのうち、
働き方に関する「休暇・就業時間の短縮」については7割以上の方が希望しています。
まず取り組むとした場合は、このような「就業時間の短縮」から取り組まれるのが一番取り組みやすいかと思います。

しかし一番重要なことは「不妊治療をしていることを打ち明けられる関係にあるか」ということではないかと考えます。やはりナイーブな話ですから、信頼を置いた方にしか話せないというのが現状です。
そうなると、自分自身で考え悩み、結局「退職」という結末を迎えることもあります。

企業の規模、事業の種類、それぞれで異なるとは思いますし、すべての希望を叶えることは出来ません。
しかし、退職してしまうとこれまで培ってきた経験が水の泡になってしまいます。さらには、未来を支える子どもを授かるために治療されている方々です。よく話をし、お互いに納得のいく働き方が出来るようにすることがベストですね。

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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