なぜ眠り方より睡眠の基礎を学ぶべきなのか

「いったい何時間寝たらいいんですか?
「睡眠は8時間寝ないとダメなんですよね?」
睡眠についてお話ししていると、よく聞かれる質問です。
「昨日は6時間しか寝られなかった」
「これって睡眠不足ですよね?」
「7~8時間は寝ようと思って、いつもより早く布団に入っています」
そんなふうに、睡眠時間の数字を気にしている方は少なくありません。
では、本当に誰でも毎日7~8時間眠らなければいけないのでしょうか。
結論からお伝えすると、
すべての人に「8時間睡眠」が当てはまるわけではありません。
ただし、ここで気をつけていただきたいことがあります。
「8時間必要ではない」ということは、
「睡眠時間は短くても大丈夫」
「〇時間くらい寝れば十分」
という意味ではありません。
大切なのは、数字に自分を合わせるのではなく、
自分に必要な睡眠時間を確保できているかということです。
必要な睡眠時間は、みんな同じではありません。
なぜならば私たちは、身長も体重も年齢も生活環境も一人ひとり違います。
睡眠も同じです。
必要な睡眠時間には個人差があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
健康づくりのための睡眠ガイド2023
では、成人について、
適正な睡眠時間には個人差があり、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
ことが推奨されています。
さらに同ガイドでは、成人のおおよその適正睡眠時間として6~8時間を示しながらも、6時間未満で充足する人もいれば、8時間以上必要な人もいることが説明されています。
つまり、
「全員8時間」が正解ではないということです。
一方、米国睡眠医学会(AASM)と睡眠研究学会(SRS)は、健康な成人について、健康維持のために定期的に7時間以上の睡眠をとることを推奨しています。
ここで、
「じゃあ6時間?」
「7時間?」
「8時間?」
「結局、何時間寝たらいいの?」と言いたくなりますよね。
でも、今回お伝えしたいのは、その数字を比べることではありません。
「何時間寝たか」だけで睡眠を評価していませんか?
睡眠時間は、自分の睡眠を考えるうえで大切な目安の一つです。
そこで、数字と同じくらい見ていただきたいのが、
「その睡眠で、あなたの心と体がきちんと休めているか」という視点です。
たとえば7時間眠ったとします。
でも、
朝から体が重い。
午前中から眠い。
仕事や家事に集中できない。
休みの日になると昼近くまで寝てしまう。
そんな状態が続いているとしたら、
「7時間寝たから大丈夫」とは言い切れません。
反対に、
8時間を目指し、まだ眠くもないのにいつもより早く布団に入っている方もいます。
また、「明日は大事な仕事だから」「明日は旅行だから、しっかり寝なくては……」
と早めに布団に入ったのに、なかなか眠れない。そんな経験はありませんか。
そんな時に何度も時計を見て、
「あと7時間しか寝られない」
もう一度時計を見て、
「あと6時間になってしまった」
「早く寝ないと」
と焦り、時間の経過とともに焦りが増し、目が冴え、結局なかなか眠れないまま朝を迎えた。
そんな夜を経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
睡眠は、
「頑張って寝よう」とすればするほど、眠れない悪循環に陥ることがあります。
必要以上に長く寝床に入れば、それだけ良い睡眠になるとも限らないのです。
大切なのは「睡眠休養感」
そこで、一つ覚えていただきたい言葉があります。
「睡眠休養感」です。
少し難しい言葉に聞こえますが、
簡単にいうと、
「眠ったことで、ちゃんと休めたと感じられるか」ということです。
朝起きたときに、
「よく眠れた」
「体が休まった」
「今日も動けそう」と感じられるか。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、睡眠時間の確保とともに、この「睡眠休養感」を高めることが重要とされています。
私は、この考え方をぜひ知っていただきたいと思っています。
なぜなら、「8時間眠れなかったから、今日の睡眠はダメ」
と、数字だけで自分の睡眠に点数をつけなくてもよくなるからです。
「7時間寝たから大丈夫」とも限りません
以前のコラム、
「眠れない人だけの話ではない 『なぜ眠るのか』を知ることが、子どもと大人の明日を変える」
でも、睡眠は単に「何時間眠ったか」だけで判断できるものではないことについて書きました。
睡眠は、ただ体を横にして休んでいる時間ではありません。
眠っている間にも、私たちの脳や体ではさまざまな働きが行われています。
だからこそ、睡眠時間だけではなく、眠ったあとの自分がどうなのかを見ることも大切です。
眠れない人だけの話ではない 「なぜ眠るのか」を知ることが、子どもと大人の明日を変える
あなたの睡眠、こんな状態になっていませんか?
ここで、自分の睡眠を少し振り返ってみてください。
・朝起きても疲れが残っている
・朝起きるのがつらい
・日中、座っていると眠くなる
・仕事や家事に集中しにくい
・休みの日になると平日よりかなり長く寝てしまう
・目覚まし時計を何度も鳴らさないと起きられない
・寝る時間や起きる時間が日によって大きく違う
・「早く寝なきゃ」と考えることがストレスになっている
いかがでしょうか。
実は以前、
「あなたの睡眠は大丈夫?睡眠セルフチェック10項目」
というコラムを書きました。
その中でも、
「寝ても疲れが取れない」
「朝起きるのがつらい」
「日中に強い眠気を感じる」
「休日は平日より大幅に長く寝ている」
など、10項目から普段の睡眠を振り返っていただいています。
睡眠を考えるときは、
「私は〇時間寝ているから大丈夫」と時間だけを見るのではなく、
起きている時間をどのように過ごせているかを見ることも大切です。
あなたの睡眠は大丈夫?睡眠セルフチェック10項目
では、自分に必要な睡眠時間を知るには?
ここで最初の質問に戻ります。
「結局、私は何時間寝たらいいんですか?」
まずおすすめしたいのは、自分の睡眠を1~2週間ほど観察してみることです。
記録方法は、下記の通りです。
難しいことをする必要はありません。
・何時ごろ布団に入ったか
・何時ごろ起きたか
・だいたい何時間眠ったか
・朝、休めた感じがあるか
・午前中に眠くならないか
・午後に強い眠気がないか
・仕事や家事に集中できたか
・休日に極端に長く眠っていないか
こうしたことを簡単に記録してみます。
すると、
「6時間の日は、午後になるとつらいな」
「7時間くらい眠ると昼間が楽だな」
睡眠時間より、夜更かしした翌日の方が調子が悪いな」
「休日になると2~3時間長く寝ているな」
など、ご自身の睡眠パターンが少しずつ見えてきます。
睡眠は、
「日本人の平均は〇時間」
「〇歳なら〇時間」
という数字だけを見ていても、自分に必要な睡眠時間までは分かりません。
大切なのは、ご自身の体の反応を知ることからです。
「自分の睡眠、これでいいのかな?」と思ったら
以前のコラムでも、
「自分の睡眠、これでいいのかな?」
という問いについて書きました。
眠れなくて深刻に困っているわけではない。
でも、朝が少しつらい。昼間に眠くなる。疲れが取れない。休日になると長く寝てしまう。
「まあ、こんなものかな」
と思いながら毎日を過ごしている。
そんな方は意外と多いのではないでしょうか。
誰かにとって良かった睡眠方法が、そのまま自分にも合うとは限りません。
だから、
「みんな何時間寝ているんだろう?」
ではなく、「私はどうなんだろう?」と考えてみてください。
「自分の睡眠、これでいいのかな?」と思ったら 毎月開催・少人数で学ぶ睡眠講座
睡眠について知れば知るほど、
「〇時間寝ればOK」
という一つの数字だけでは、良い睡眠を説明できないことが分かります。
私が見ていただきたいのは、
① 必要な睡眠時間が確保できているか
② 眠ったことで休めたと感じられているか
③ 日中を元気に過ごせているか
この3つです。
「8時間眠れなかった」
というだけで必要以上に不安になる必要はありません。
でも反対に、
「私は5時間でも平気だから」
と慢性的な睡眠不足をそのままにすることもおすすめできません。
数字に自分を合わせるのではなく、
「私は今、ちゃんと眠れているだろうか?」
と自分の睡眠に目を向けてみてください。
日中の強い眠気が続いている。
眠れない状態が長く続いている。
大きないびきや、眠っている間に呼吸が止まっていることを指摘された。
そうした症状がある場合は、「生活習慣の問題」と自分だけで判断せず、医療機関に相談することも大切です。
睡眠は毎日のことだからこそ、
「いつものこと」として見過ごしてしまいます。
だから最後に、もう一度お聞きします。
あなたは今、何時間眠っていますか?
そして、もう一つ。
その睡眠で、ちゃんと休めていますか?
「自分の睡眠はこれでいいのかな?」
と思った方は、まず現在の自分の眠りを知るところから始めてみてください。
「何時間寝ればいい?」から、
「私は今、ちゃんと眠れている?」へ。
数字だけではなく、自分自身の眠りを見つめるきっかけにしていただければと思います。
「寝ても疲れが取れない方へ|大阪・本町で毎月開催する睡眠講座」
最後に、もう一度。
あなたにとって「睡眠」とはなんですか?
この問いに、すぐ答えが出なくても大丈夫です。
今日の「睡眠の日」が、自分の眠りを少し考えてみるきっかけになれば。
そして、その続きを一緒に考えてみたいと思われたら、ぜひ講座でお会いしましょう。
皆さんからの質問やメッセージも、お待ちしています。
寝ても疲れが取れない方へ|大阪・本町で毎月開催する睡眠講座


