入居希望者が外国人であることを理由に入居を拒否した家主

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:賃貸借契約

契約の自由


●入居者の選択の自由と家主の社会的責任

入居希望者が外国人であることを理由に、入居を拒否した場合、その契約締結段階によっては信義則上の義務に違反する可能性もあります。(あくまでも契約締結に向けての段階)

(事例)
入居希望者は、媒介業者を通じて、賃貸マンションの入居申込書を提出しました。
家主は入居申込書の内容から希望者が外国人であることは理解していましたが、媒介業者には「おまかせします。」とだけ返事をしていました。

ところが家主の家族から文化の違いもありトラブルも予想されるので、入居は拒否すべきだとアドバイスされ断りの連絡を媒介業者にしました。

納得ができない入居希望者は、外国人であることを理由にした入居拒否は不法行為にあたるとして、家主に対して損害賠償を求め裁判所に訴えました。


●裁判所の判断

家主の不法行為の責任については、媒介業者を通じて賃貸借契約の交渉行為が開始され、入居申込書も提出された。家主も「おまかせします。」と媒介業者に返事をしている。

入居希望者との間で契約交渉が相当進行し、入居希望者も当然借受けできるものと信じて期待するに至ったからには、合理的な理由なく契約の締結を拒否することは許されないとし、その責任を認めました。

●家主には少々酷な判断ではとも思いますが、入居申込書も確認したうえ、媒介業者にも「おまかせします。」と意思表示をし、入居希望者も契約の締結は間違いないと思った以上、何らかの責任は生じるかと思います。(契約締結上の過失)

ならば、入居募集の条件に「外国人不可」「高齢者不可」「女性専用」「男性専用」などの条件を付け、契約の締結に向けた交渉自体を拒否した場合、法的には問題ないのでしょうか?

あくまでも個人間の契約なので、家主も誰と契約をするのかは自由ですが(契約の自由)、今後の流れは否定的となりそうです。

●「入居者選択の自由」と「貸主の社会的責任」、どちらが優先されるのでしょうか?現在でも、その判断は難しいです。



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有限会社富商不動産販売

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