成年後見制度を利用した賃貸借契約

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:契約の意味と意義

成年後見人・保佐人・補助人とは


●成年後見制度の利用

賃貸借契約においても、成年後見制度を利用して契約する人が増えています。成年後見人・保佐人・補助人、それぞれに権限などが異なるので注意が必要となります。

●成年後見人

成年後見制度は精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない人が不利益を被らないように家庭裁判所に申し立てをして、その人を援助してくれる人をつけてもらう制度となります。

判断能力が低下した人の財産管理と身の上の看護をすることができたり、成年後見人には取消権があるので本人が締結した契約行為を取り消したりすることができます。

(賃貸借契約上でのメリットは?)

財産に関する行為は成年後見人が本人に代わって行います。そのため、家賃の支払いも安定し、万一の場合の残置物の取扱いもスムーズとなります。

●保佐人

本人が財産に関する重要な行為を行なう場合、保佐人の同意がないと行なうことができません。また、本人が保佐人の同意なく行った行為について、保佐人は取り消すことができます。
成年後見人との違いは「重要な行為」(注1)についてのみに限定していることです。

(注1)、「重要な行為」の一例
○不動産等を購入または売却すること
○裁判を起こすこと
○家を新築したりリフォームすること
などとなります。

●補助人

家庭裁判所で認められた行為について、本人が財産に関する重要な行為を行なう場合、補助人の同意がないと行なうことはできません。
また、本人が補助人の同意なく行った行為について、補助人は取り消すことができます。
保佐人との違いは、保佐人が重要な行為全てにおいて取り消すことが可能なのに対して、補助人は家庭裁判所から認められた行為のみ取り消すことが可能となっています。

●保佐人、補助人の選任には、後見人の場合と異なり、本人の同意が必要となります。



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宮本裕文
専門家

宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

障がい者(心と体)に特化した賃貸住宅入居支援の専門店です。また、宅建士として37年の知見を基に不動産お役立ちコラムを発信しています。

宮本裕文プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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